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第五話



ジャーッと水道の水が勢いよく流れる。

頭の中で先ほどの写真が思い出されるが、初めに観たときに比べれば落ち着いている方だ。

冷たい水に触れればだんだん頭も冷静になっていく。

あれはただの写真だ。

もし私がJUNと同じ第一発見者だったら、面白半分で写真を撮っていたかもしれない。


「……あれ?」


キュッと水道の水を止めハンカチで手を拭こうとしたら、あるものがない。

何度も探すが、やはり見つからない。


「もしかして!」


先ほどの部室に忘れてきたかもしれない。

急いでたし、あんな変なもの見ちゃったせいで……。


私は他の教師にアレが見つかる前に持ってこなくてはと急いで廊下に出た。

だが、運悪く丁度廊下を歩いていた先生に見つかり教室に戻るよう言われた。

付き添われる中、ドアが開いている教室の時計を見れば授業が始まって十分程度過ぎている。


(授業が終わるのは、後四十分後……。終わったらすぐに取りに行けばいい)


そう自分の中で納得させ、私は教室まで戻った。




ベルが鳴り授業が終わると同時に教室を出る。

電源は消したがもしかしたらチャットでJUNが他の人にあの写真を見せてしまっているかもしれない。



子供じみた独占欲



最初こそ怖さはあったが、あの写真の存在を知っているのは私とJUNだけ。

他の人が知らぬニュース。

この学校の中でも私と第一発見者のJUNだけが知らない。

それはどこか優越感にも似ている。


バタンとドアを開ければ、机の上に私の携帯電話があるはずだった。

しかし、そこには見知らぬ生徒が三人だけ。

リボンの見る限り、私よりも一つ下の学年だろう。


「えっと、ここに、携帯電話がありませんでした?」

「え~、そんなものありませんでしたよ?」


「ねえ?」とその子が他の子に聞くが皆知らないと首を横に振るだけ。

……もしかして、先生に持って行かれたのだろうか?

嫌な予感がしてその部屋からすぐに出た。

だが、それと同時に授業が始まるベルが鳴る。

なんでこんな時にっ!

バラバラと散っていた生徒が再び教室に入っていくのが見える。

悔しい気持ちで溜息を吐き、私も自分の教室へと帰って行った。


授業の内容なんてほとんど覚えていない。

頭の中は携帯電話の行方とあの写真の事だけ……。


何故JUNはあの写真を撮ったのか?


あの殺された人……えっと、確か女の人だっけ。名前は、言ってなかったと思う。


でも何故目を?光を遮る為とか犯人の顔を見せないため?(それにしては残酷すぎる)


そして、何故あの人は




笑っていたの?




だけど、小説やサンペンスのドラマとか興味のない私にはわからないことが多すぎる。

答えは犯人だけが知っている。

ああ、なんで、どうして?

空を見上げれば、どんよりと雲が浮かんでいる。

……雨になりそうだ。





結局その日、私は携帯電話を見つけることはできなかった


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