猫可愛がり
「あー、今日はみんなに話したい事がある」
廊下で待たされた俺と雑賀さん、先生が事情説明のために転校生と同じように紹介するぞと言いだして、雑賀さんがその方がトラブルが減りそうだと了承した結果だ。
ちなみに俺は特に異論なかったので了承。
「三上いるだろ、放課後ダンジョンに行ってるあいつ」
「あのダンジョン狂いになにか……」
「ついに死んだか……?」
「この前のあれ関係じゃない?」
「あぁ、脳内アナウンス」
「また宗教が荒れるな」
俺の認識、ダンジョン狂いなの?
「その脳内アナウンスだ。あいつそれで見た目がちょっと変わっちまってな。あまり邪険にしないでやってくれ。というわけで入っていいぞ三上」
「うす」
ガラガラと教室のドアを開けるとザワッという声。
みんなすごく驚いているようだ。
「三上幸助、猫耳美少女になりました」
「というわけで改めてよろしくしてやってくれ。お隣はDの雑賀さん、三上と、ある意味でお前らの護衛な」
どういうこと? みたいな反応が相次いでいる中で1人のギャルが手を上げた。
名前は確か……。
「どうした相沢」
「三上! その猫耳と尻尾、本物?」
「ん? あぁ、本物だぞ」
「触っていい!?」
「え、あ、どぞ」
ずずいと、本物の猫に近寄るように寄ってきた相沢。
恐る恐ると言った様子で耳に触れてくる。
うわっ、またぞわぞわした。
続けざまに尻尾を軽く握られて……。
「ひゃんっ」
妙な声が出てしまった。
「あ、ごめん。痛かった?」
「いや、なんかぞわっとした。なんだろ、くすぐったいの延長線にあるような……」
「なるほど……ちなみにこっちはどうかな?」
「な、なにを……ごろごろごろごろ」
喉を撫でられると同時にゴロゴロと音がする、こんな所までネコ化してたのか……。
「うひゃあ、かわいいなぁ」
文字通り猫可愛がりされている俺はされるがまま、もうどうにでもなれと思っていたら再び尻尾に衝撃。
気がつけばクラスの女子が群がっていた。
雑賀さんに視線をやれば、許容範囲内だろ? みたいな視線を投げられた。
……ちくしょう。
ちなみに男子は女子からブロックされてたのである。
お前ら……いや、まぁ確かに尻尾とか耳とか喉とか、今の俺を男子が触ったらセクハラか。
というか野郎に撫でられてもうれしくないし、それでゴロゴロ言ったら逆に恥ずかしいからいいわ。
先生は先生でほほえましげな顔やめてくだ……雑賀さんもか!
「あ、今気づいたけど女子。ポニテとかツインテはちょっと離れてほしい」
「なんで?」
「なんかこう、じゃれたくなる」
その瞬間全員が髪を結ぼうとしたのを止める。
「今の俺がじゃれついたら首ごと髪の毛むしり取れるパワーあるから」
きゅっと引き締まった顔で髪の毛をお団子にした。
なんだこの連帯感、こいつら学校のイベントでいい成績残しそうだな。
「あと猫じゃらしもってきても腕ごと真っ二つにしかねないから気を付けてくれな。さっき道路でやらかした」
こう、うずうずしてパシンとやったつもりが後ろの塀までスパーンだもんよ。
雑賀さんが役所に連絡入れてくれなければ器物損壊でお縄だったわ。
「他に何かあるか?」
「あー、チョコレートは平気だった。血液検査とかDNA検査とかしたけど扱いは人間と同じ。アレルギーも無かった。ただ試してないけどマタタビで酔っ払うからそういうのの持ち込みは勘弁してほしいかな」
「なるほど、という事だ。この学校ではマタタビの持ち込みが禁止された。各自注意するように」
先生の言葉で全員が頷いてくれたのがあったけえなぁ……。




