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ダンジョン探索者だけど猫耳美少女になった件について  作者: 蒼井茜


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レッツダンジョン

 割と散々な目にあいながらもどうにかこうにか放課後を迎える事が出来た。

 ぶっちゃけ女子の着せ替え人形にされてたからな……ついでに「今からでもおしゃれ装備とやらをすべて集めてこい」とか無茶ぶりまでされた。

 ……今からゲームアイテム手に入れたところで意味あるのか?

 仮にゲーム内で手に入れられるアイテムが反映されるとしたらとんでもないチートになるが……そもそも俺の持っている【インベントリ】のポーションと、こっちのポーションは同じものなのかという疑問も出てくる。


「雑賀さん、これ調べてもらえますか?」


「ポーションですか。特に変わったところは無いように見えますが」


「詳しくは言えませんが、俺がこの姿になった際に得た物です。一般的な物と同じか確認したいので」


「……なるほど、では僭越ながら」


 ハンカチに包んで懐にしまったのを見てこの後の事について考える。

 さて、力試しとしてダンジョンに行きたいというのが一番だが、如何せん今の俺は目立つ。

 私服登校が許されたとはいえ、この猫耳と金髪、それに顔のタトゥーはめっちゃ目立つ。


「あとついでで申し訳ないんですけど、お金は出すのでキャップとパーカーを用意してもらえませんか」


「あぁ、顔と髪を隠すのですね。わかりました、10分で手配します。あとお金は結構ですが……この後はダンジョンに?」


「そのつもりです。尻尾は腰に巻き付けるとして、こっちはどうにか隠さないとと思って。それと今の力量を確かめておきたいんです」


 というか金は払わせてほしい。

 最悪の場合ポケットにねじ込むか?

 いや、ダメだな……絶対に気付いて返してくるわ。

 仕方ない、甘えるか。


「そうですか。ですが……」


「わかっています。まだ力を制御できていないので、今まで潜っていた階層……4階層のビッグボア相手にドロップアイテムと魔石を狙うつもりです。あまり時間がかからなければ帰ってトレーニングを」


「ならば申し上げる事はありません」


 そう言って、本当に10分で頼んでいた帽子とパーカーが届いた。

 まず帽子をかぶって、ツバを下げて顔を隠す。

 それからパーカーを着て、帽子の上からフードを被って髪の毛も隠して万端だ。


「あ、けど俺ライセンスの写真とか変えてない……」


「大丈夫です。ダンジョン省の方から連絡を入れますので」


「何から何まですみません」


「これが仕事ですから」


 なんと渋い大人なのだろうか。

 俺もこうなりたいものである……あ、いや、このままなら渋い方面は無理か?

 出来るとしても行動で示すしかできないな……うん、頑張ろう。

 というわけでやってきたダンジョンなわけだが、周囲は堅牢な特殊合金で固められて人もモンスターも出入りが制限される形になっている。

 更に同じ特殊合金で作られたシャッターや檻があり、それらの手前にはダンジョン内で得たアイテムなどの買取りをしてくれる店や、逆にそういった物を売ってくれる店。

 あとはダンジョンの入退記録をする受付がある。

 Dの関係者である雑賀さんいなければ俺通れなかったかもしれないんだよな……。

 マジで感謝しかないわ。


「ダンジョン省の雑賀です。ギルドカードの確認を」


「え、あ、は! はい!」


 まぁそりゃ驚くだろうな。

 ダンジョン職員っていざスタンピード発生したら真っ先に死ぬから給料が高い。

 ただいつ死ぬかわからんというストレスがやばいので、基本的に交代制という形で安全圏での事務作業とか、地方のダンジョンの記録とか、衛星写真と睨めっこして新しいダンジョンがないかとか、そういった仕事も任される。

 そして昇進すればいずれはダンジョン省職員という肩書も得られるかも、という状況だそうだ。

 まぁ真っ先に死ぬと言っても最低条件が犯罪歴が三親等以内にいない事と、本人のレベルが300を超えている事が最低ラインらしいけど。

 一方ダンジョン省直通ならその両方+学歴とレベルに頼らない戦闘能力等々、まぁ厳しい剪定があるとかなんとか。

 どうあがいてもエリートと呼ばれるコースだよな。


「それとこちらの方、例の件と言えばここの責任者もわかると思います。ライセンスの書き換えを」


「わ、わかりました!」


 すげぇビビってるけど気分はわかる。

 こんなんチェーン店のバイトに本社の肩書持ちが直接命令しているようなもんじゃん。

 手が震えているのもそのせいだろう。


「か、確認できました。上司もすぐに対応するとのことです!」


「それはどうも。どのくらい潜りますか、三上さん」


「予定では2時間、ちょっと前後すると思いますけど何もなければそのくらいですね」


「という事です。万が一我々が戻らなければすぐに捜索隊をお願いします。私よりもこちらの……彼女を優先してください」


 ちらりと俺を見て彼女、という言葉を出した当たりだいぶ秘匿しているんだろうなとは思うけど、それも仕方ないよな。

 向こうからしたらいい所のお嬢さんのお忍びかなんかと思われているかもしれんけど、その方が都合がいいか。


「あ、あの……いえ、やはりなんでもありません」


「ふむ、察しのいい人は好ましい。どうでしょう、私の権限で給金を上げるのでしばらくこちらの担当をしていただけないかと」


「え、いいんですか!?」


 お、えげつない食いつき方だな。

 元々高給取りだろうに、それでも給料が上がるのは嬉しいんだろうな。

 俺もたまに2万円くらいの金額に達するとすっげぇ嬉しいし。

 まぁその場合端数が俺の取り分と決めているから、こづかいという意味では寂しいものがあるが、上手く立ち回れたとか運が良かったとか、そういう点ですごくうれしいんだよな。

 この受付のお姉さんも俺のギルドカードを見て、常連の小僧だと気付いたけど口にしなかったんだろう。

 守秘義務守れて偉い。

 ちなみにスキルや備考、レベルの欄は隠しておいたので、なんかあったんだろうなくらいにしか思われてないと思う。


「では、行きましょう」


「道中異変がなければ普段と同じ感じで進みますがいいですか?」


「えぇ、三上さんのペースに合わせます」


 あ、しまった。

 ダンジョン潜るなら余計な荷物預けるんじゃなかった。

 ポーションなんて瓶に入ってるんだから割れ物だしなぁ。

 ダンジョンの後でもよかったと思ったが今更か。

 最悪割れたらもう一本わたせばいいし、そもそも俺より強い雑賀さんにそんな事が起こるわけないだろうけどな。


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