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 翌日。起きると既に3人とも起きて朝御飯を食べていた。寝坊したのかと思い慌てると祖父母は日課で父はたまたま早く目が覚めたそうだったので安心した。

 「さあさあ。満もご飯食べちゃいなさい。」

 「うん、ありがとう婆ちゃん。」

 席に着き朝食を食べる。

 食べ終えると各々好きな飲み物を持ってテーブルに移動する。 

 テレビを付け暫くニュースを確認する。内容としては昨日までと大して代わりなく、政府が会議を開いていること以外目新しいものはなかった。

 「これからどうすんの?学校は兎も角仕事やらないとお金入らないし仕事できるの?」

 「どうだろうな。ただ今お金が入った所で物流が今まで通りとは限らないだろう。」

 それもそうだ。農作業等やインフラが整わない限りは難しいだろう。

 「当面は節約しつつ家にある食料で繋げるだろうけど大変になるわね。」

 「なんせ半数の人間がいないからなぁ。」

 「国が方針を決定しない限りは難しい所だな。」

 祖母、祖父、父の順で考えを述べる。

 「だとしても何かしらしなくていいのか?」

 「するさ。先ずは知り合いで残ってる人達と連絡網を作ったり食料の確保も必要だな。」

 「そうだね。それに病気や怪我をした時のために周りで行ける病院の把握も必要だよ。」

 「そっか、こんな時に病気になったりしたら大変だもんね。」

 「そうさね。」

 先ずは連絡を取れる知り合いのリストアップから始まりそうだ。その後は周囲で使用できそうな病院を探したり、スーパー等をハシゴして材料の確保に動く。冷凍できればある程度は日持ちするだろう。

 



 そうやって動いた数週間後、国から対策が打ち出された。インフラ関係と食料、衣類の仕事に就いている者達は引き続き仕事を続行、他の仕事に関しては転職を求められた。半数が居なくなったとはいえどの仕事からも、というわけではない。偏りがあるのだ。それにプラスして各家庭で畑を持つことを義務化された。

 転職をしようが欠員を補充するのにも限度がある。食うに困らないようにするために自給自足を心掛けるべきなのだろう。身体機能に制限が有るものは仕方ないが。

 また、学校に関しては何ヵ所か複合した形として高校までが再開することになった。再開は来月からなのはやはり人材把握等がまだ済んでいないからだろう。

 国の方針も決まったとは言えないがやることが分かった以上行動を起こすべきだろう。

 父は早速転職をすべく勉強を始め、祖父母は庭に畑を耕し始めた。庭は元々何もなくただの遊び場だったので問題はない。俺は行く学校の場所が分かるまで勉強するように言われ、友達と会って教えあったり祖父母の手伝いをしたりの毎日だ。

 そして、学校再開となった。父は相も変わらず勉強をしながら新しい仕事に励んでいる。祖父母は一度父に頼んで家に帰った後改めて此方で住むと引っ越しを行った。今は売り物件となっている。

 学校は隣の市になったが制服は今までと変わらないままということで、学ランでの登校だ。スクバと教科書類も今までと同じでいいらしい。進み違いはどうするのか。疑問に思うがこれに関してはなるようにしかならないだろうしで取り敢えず宿題だけ済ませておく。





 数ヶ月後。

 まだ粗はあるとはいえ、ある程度の整備は整った。ある程度の落ち着きを取り戻し、犯罪も大きなものはなく、取り締まり可能な範囲だ。

 そして笑ったり冗談を言ったり、テレビでも過去の番組が再放送されたりと人々の生活にも余裕ができた。

 そんな時だ。何かしら起こるのは。

 むしろ今まで気付かなかったのが可笑しなぐらいの事。地球のとても近くに見たこともない惑星があった。観測した所、地球と瓜二つであることも判明。夜になると明かりが見える事から何かが済んでおり文明もあることが分かる。

 そんな惑星に当然人々はざわめいた。まるで地球がもう一つあるのだ。

 騒然としながらも専門家達が調べているが地球との相違点が見当たらないらしい。むしろ調べれば調べるほど類似点しか見つからないらしい。

 そんな惑星の事に皆夢中になってる所に続報が入った。緊急速報で。

 その惑星、火球と称された星から宇宙船がやってきたのだ。中からは人とはおおよそ離れた見た目をした怪物という言葉が相応しい見た目をしたものが出てきた。言語も独自の物なのかいくら解析したりしようと理解することはできなかった。しかし、火球を少しでも解明しようとしても宇宙船はおろか手土産の様に渡された物は地球と同じ物質でできており、資源やエネルギーも同一だということが判明するばかり。そんな状況で警戒ばかりして何も得られないのも仕方ない。そうして互いに警戒しつつも歩み寄りの姿勢を見せ何とか穏便に運んでいたにも関わらず事件が起きた。

 不慮の事故だったのだ。怪物というだけあって見た目が恐ろしくもあり怯えた人が足を滑らせた結果、怪物にぶつかりその怪物が打ち所悪く死んでしまったのだ。ここまでならまだ良かったのだ。悪気もなく事故だったし謝罪をしっかり誠意としてその場で見せたのだから。

 問題はその後だった。死んだ怪物の傷口から見えたのだ、人の姿が。衝撃が走るとともにその怪物をナイフで引き裂き中を見ると人間だった。その中から別の存在が出てきたのだ。怪物側は何か騒ぎ立て人間側は迅速にその人物の顔を検索した。結果は行方不明になっていたはずの人物だった。怪物側は慌てて帰り人間側は死んだ怪物から出てきた人間を調べた。結果、その人間は確かに消えたはずの人物であることに間違いなかった。

 そして仮説ができた。あの行方不明の時、誰にも気付かれないよう怪物により人間が拐われその体を取り込み形を保っていたのではいかと。拐った人間を取り込み形を得、此方側に友好的に見せかけて人類を滅ぼすと同時に仲間を増やそうとしている。

 この仮説が広まり、専門の軍を設立。此方側から向こうに行き怪物を殺して元に戻った人を連れ帰り埋葬する。また、此方に攻めてきた怪物を殺し人を取り戻す。

 そうしてあちら側も攻撃を仕掛けてきた。

 あちら側に殺された人は怪物になった。

 そのショックから此方側同士の仲間割れも起きたりしたが分かったのは此方側によって死んだ人は怪物にならず、怪物側によって殺された人は怪物になること。

 新たな仮説として怪物側は殺した人を新たなエネルギー源として活用しているのではないか、ということだった。現に怪物側も殺した人を連れ帰っているのだから。

 そして終わりなき戦争が始まった。

 怪物から大切な人達を取り戻そうと怪物を殺し、殺され。怪物側の物資にならないよう、人を取り戻す為にも死にそうな時は自爆をして怪物を少しでも多く道連れにし、道連れにされ。

 最早学校や仕事どころではなく皆が皆、怪物を滅ばさんと必要な知識や戦術を身に付け大切な人達を取り戻す為に戦争に身を投じる。

 友好的な物は今では遥か昔に感じられる程に怪物を殺し、怪物に殺されを繰り返している。


 「では進路希望のプリントを回収します。後ろから前に回してください。」

 その教師の言葉にザワザワとしながらもゆっくりと前に回していく。回収を終えるとホームルームも終わり、教師は教室を出ていった。

 「満ー。お前進路何にした?」

 「そんなの軍志望に決まってるだろ。」

 「だよなぁ。母親と弟を探すためも含めてお前鍛え始めてたもんな。」

 「ああ。」

 力強く頷き拳を握る。

 「お前はどうしたんだ?」

 「俺か?俺も軍志望だぜ。身内は全員無事だけどここで軍目指さないなんて男が廃るだろ。」

 「そうか。ま、それまでに怪物どもの襲撃に合わなきゃいいんだがな。」

 少し肩の力を抜きながら笑って言う。

 周りも大抵は軍志望だろう。年配者達は農作業等を行い、中高年は軍に関わる仕事をしたりインフラ整備。若者達はもっぱら軍志望だ。

 俺は母と弟を探すために体を鍛え始めた。その暫く後に専門の軍が設立されたのだ。正に渡りに船とばかりに更に鍛え始めた。

 軍に志望しても見習いとして入隊できるのは16からだ。それまでにまだ1年。更に鍛えよう。



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