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 ──繰り返しお伝えします。現在日本国内にて大規模な行方不明者が確認されています。何れも昨日未明に消息が消え、年齢性別等の関連性は見つかっていません。警察内でも職員の消息が不明になっており捜索だけでなく手続きも滞っているようです。また、街中では行方不明の家族を探し回る人達で溢れかえっています。………、ここで緊急速報です。日本国内で起きているこの行方不明事件、国外でも起きているようです。現在確認できているだけでも約半数の人々がいないようです。

 

 「なんだよ、これ。」

 パッとついたテレビから流れるニュースに呆然としてしまう。

 約半数。それだけ、というもんじゃない。そんなにも行方不明者が出ているのだ。

 『満、聞こえるか満。』

 首もとまで下がった手に持ったケータイから父の声が聞こえハッとする。

 「父さん、何だよこれ。俊也と母さんだけじゃなくて世界中から人が居なくなってるって!」

 『ああ。お父さんも今外でそのニュースを見ている。兎に角ただ事でないのは事実だ。一旦捜索を切り上げて家に帰る。』

 そう言って切れたケータイを力なく机に置きソファに沈み混む。

 どれぐらいの間ぼんやりとしていたのだろう、気付けば父が帰ってきた。

 「ただいま。大丈夫か満。」

 「大丈夫かって、大丈夫なわけないだろっ。何処に行っちまったんだよ、何が起きてんだよ!」

 胸ぐらを掴む勢いで父に詰め寄る。

 「落ち着け。父さんもまだ分からん。ただニュースでやってることが今分かる全てだろう。」

 自分も疲弊しているし混乱しているだろうに肩に手を置いて静かにそう言ってくれる。

 「この状況だ。何があるか分からん。父さんは今からお爺ちゃんとお婆ちゃんを迎えに行く。一緒に居た方が良いだろう。」

 「俺も行く!1人なんて耐えられねぇよ。」

 「分かった。取り敢えず電話をする。」

 思わず子供みたく行ってしまったがこんな状況だ、仕方ないだろう。

 父が祖父母と電話をしているのをソファに座ってケータイをイジイジしながら待つこと数十分。

 どれだけ混乱が広がるか分からないからと言うことで早い方が良いだろうと今から向かうことになった。往復してたら1日は掛かるが背に腹は代えられない。

 車の中でも食べれそうな食料と飲み物を積み込み父と中に乗り込む。混雑するかと思っていたが皆、家で待機したり警察に行ったりしているのか道は案外空いていた。お陰で法定速度を遵守しても信号以外で停まる事が殆どないまま進む事ができた。

 数時間して辿り着いた祖父母の家では既に準備がされており、祖父が畑を気にする以外は何事もなく出発することができた。

 とはいえ帰りは混雑しており行きの2倍以上の時間がかかった。祖母の頼みで車のラジオをつけていると同じような考えの人達が一斉に動き出したのが原因らしい。

 こうなってしまったものは仕方ないと混雑した道を走りながら結局家に帰ってきたのは出発から1日半たったぐらいだった。

 「ようやく家に着いた~。父さん運転お疲れ様。」

 「おう。流石に少し草臥れたな。」

 「長時間走ってたもんねぇ。迎えありがとうね。」

 「いいよ、母さん。それより中に入って休もう。」

 「そうじゃな。」

 家の中に入るなり帰ってきた感じと弟と母がいない焦燥感が同時に襲ってきて何とも言えない気持ちになる。

 数秒玄関で立ち止まってしまったが気持ちを切り替えてお風呂のお湯を溜めに行く。

 その後炊飯器のスイッチを入れ机の上に置いてあったゲーム機や宿題やらを部屋にもって行く。

 「爺ちゃん、婆ちゃんちょっと待っててね。今お湯を沸かしてるから。」

 「あぁ。ゆっくりで構わないよ。」

 2人にお茶を出してゆっくりしてもらう。

 暫くしてお風呂が沸き、祖母、俺、祖父、父の順で入る。お風呂から上がりそわそわしていると祖母が台所に行き持ってきた食材で料理を作りはじめてくれたのでそれをリビングの椅子に座って眺める。

 「婆ちゃん何作ってんの?」

 「厚揚げ豆腐とさやえんどうの卵綴じだよ。」

 「あー、それ結構好きだな。婆ちゃんの料理旨いから楽しみ。」

 「ありがとねぇ。」

 時折そうやって会話していると祖父と父もあがってきて会話にポツリポツリと混ざる。

 誰もテレビを付けようとしたり話題に出さないのは互いを気遣ってだろう。

 出来上がった料理を皿に盛り付け、追加で味噌汁と焼き鮭も作ってくれたのでそれをテーブルに運び4人で食べる。出来立てホカホカなので美味しいのは勿論のこと、優しい味が心に染みる。

 思わず夢中になって完食し、お腹が空いてたのかと3人に温かい目で見られる。

 それを振り切り食器をシンクに運び祖母の代わりに使った食器類を洗い片付ける。祖母が手伝おうとするのを断るとそれなら、と全員分のお茶を淹れてくれることになった。

 2人で机に運ぶとソファに座っていた父がリモコンを手に取りテレビを付けた。

 付いたテレビはニュースをやっており、同じ事を放送していた。

 世界から約半数の人が消えたこと。現在身内を心配して移動する人が増えたこと。交通機関が動かず、高速等の道路が渋滞していること。

 「特に進展はなしか。」

 「まだ3日なのに大変な騒ぎになったなぁ。迎えに来てもらって良かったかもしれん。」

 そう言う2人の顔はとても真剣だ。

 ちらりと横目で祖母を伺うと真剣な顔で手を震わせていた。

 「大丈夫。俊也君も茜さんもちゃんと戻ってくるわ。」

 まるで自分に言い聞かせるようなその言葉に俺も無言で頷く。

 言い聞かせないと発狂でもしてしまいそうだ。

 こんな状況だから仕事や学校はないだろうとはいえ、遅くまで起きる理由もなく。それならば朝から会議をするのが適切だろうと寝ることにする。

 俺と父は自室、祖父母は客室だ。既に布団は用意してあるので問題はない。挨拶をしてそれぞれ部屋に入り眠りにつく。

 ふとケータイを見ると数人の友人から連絡が入っていた。

 《いるなら返事寄越せ》、《満は無事か?》、《お前のとこの家族はどうなってる?》といった簡潔な文だったので各々にこれまた簡潔に返事を返していく。序でにメッセージが来てない友人達にも一言ずつ送っておく。居るかは分からないが明日の昼までには分かるだろう。

 充電だけ忘れずに行い眠りにつく。

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