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 地球が滅亡するなんて言われたのは何時だっただろう。そんな予言も何回されただろう。

 地球は滅亡しなかった。ただし、有り様は変わってしまったが。

 前触れなんてなく、ただ自然と日常の1コマとして全ては始まった。

 何時も通り学校に行って授業を受けて弁当を食べて友達とふざけて、そして家に帰った。弟は遊びに行ったのだろうが母がいないなんて珍しいこともあるもんだと思いつつ自室に戻りヘッドホンをしてゲームをする。宿題なんて後回しでいいだろう。

 そうやって最近買ったばかりのゲームにひたすら取り組みレベリングを行う。単純なキャラレベルだけでなくスキルレベルやツリー解放等あってやりこみ要素盛り沢山のゲームに飽きることは早々ない。

 ゲームを始めて何れぐらいたったか。空腹を感じて時計を見るともう8時を過ぎていた。普段なら母か弟がご飯に呼びに来るのだがどうしたのだろうとヘッドホンを外すと妙に静かな家の気配に漸く疑問を感じて明かりを着けながらリビングに向かう。

 真っ暗な部屋は帰ってきた時と同様で誰も居なかった。ポケットに入れっぱなしだったケータイを見るも何の連絡もない。流石に可笑しいだろうと母にメッセージを送るも即座に既読になることもなく仕方なしにテレビを付けてみる。特に興味のあることましてるわけでもなくドサリとソファーに座りカチカチと番組を変えていく。

 面白そうな物もなくそのまま付けっぱなしにしてメッセージアプリを開くも相変わらず母が見た様子もなく今度は父に連絡を入れてみる。

 自室からゲーム機を持ってきてヘッドホンを着けないまま再びカチカチとゲームをしていくと同時に冷蔵庫に入っていたゼリーを取り出して食べる。

 暫くゼリーを食べてはゲームをするを繰り返していると電話がかかってきた。

 「はーい。」

 『もしもし、満か。父さんだが母さんと俊也はまだ帰ってきてないか?』

 「まだだよ。幾らなんでも遅くないか?」

 『ああ。とりあえず何度か連絡したが繋がらんくてな。俊也は友達の家に泊まるとか言ってなかったか?』

 「言ってないぜ。母さんに言ってたなら別だけどな。」

 『そうか。父さんはもう少しかかるから俊也の友達の家に電話してみてくれ。』

 「りょうかーい。」

 確かに友達の家にまだいるのかもと思い、父に言われた通り弟がよく遊びに行く家の電話一覧を探しかけていく。

 「もしもし、新谷です。そちらに弟の俊也はいませんか?」

 『はいはい。俊也君?今日は来てないわよ。ちょっと待ってね。友喜ー。』

 少し待っていると弟の友人に聞いてくれたのか今日は誰と遊ぶ約束をしていたのか教えてくれた。

 何ヵ所も無駄に電話せずにすむので有難い。

 そうしてかけた先では混乱が起きていた。出たのは友人の母親だった。そこで弟がいないかと聞くと今日は来てない、むしろ電話も何もなく来ないから子供が怒っていると。そしてまだ娘が帰ってきてないからと慌ただしく切られてしまった。

 仕方なしにその事を父に電話すると一先ず家で待機するように言われて大人しく待つ。ゲームをする気にもならずテレビを切り替えるも煩わしくなり消す。

 23時になり帰ってきた父親は少し草臥れていた。

 「遅くなった。」

 「いや、大丈夫だよ。けど母さんも俊也もやっぱ帰ってこねーし連絡もないわ。」

 「ああ。取り敢えず俊也に関しては警察に行ってきたんだが……警察も混んでてな。」

 「そなの?何でまた。」

 「どうやら身内が帰ってこない所が他にもあるらしくてな、捜索依頼を出してたんだよ。」

 確かに俊也の友達の家も娘が帰って来ないと言っていた。

 「一先ず今日は休んで明日仕事休んで探しに行こうと思う。」 

 「なら俺も行くよ。」

 「お前は家に居てくれ。何か連絡があるかもしるないからな。」

 「分かった、家にいるよ。」

 「頼んだ。そうそう、ご飯買ってきたんだ。まだだろう?」

 「まだ!ゼリー食べて誤魔化してたんだよ。」

 話しはここまでということで俺も切り替えてご飯の話しにうつる。

 ゼリーを食べていたとはいえ空腹は満たされない。買ってきてくれたチェーン店の牛丼を掻き込む。

 「やっぱ旨いな。」

 「そうだな。空腹だから余計だろう。」

 思わず出た言葉に父が反応してくれるのに少し嬉しくなりながら牛丼と味噌汁を食べ終え明日に備えて寝ることにした。

 寝る直前になって宿題の存在を思い出したがどうせ休むのだからと直ぐに忘れ去る。

 翌朝、何時も通りの時間に目が覚め二度寝したくなるのを我慢しながら起きると父は既に起きて身支度を整えていた。とはいっても帰ってこない弟と母を探しに行くのでスーツではなく私服だが。

 「おはよう。満。」

 「おはよう。父さん。もう行くのか?朝食は?」

 そう聞くと既に済ませたとの返答を得た。

 「学校には時間になったら父さんが連絡しておくから気にせずに家で待っていてくれ。できるならお義父さん達にも連絡してくれたら助かる。」

 「分かった。」

 俺がそう返事すると直ぐに父は外に出掛けて行った。

 見送ると台所に行き朝食の準備をする。簡単な物しか作れないからパンを焼いて卵を焼くぐらいだが。

 食べ終えると片付けと共に米も炊く準備をしておく。米があるかないかで大分変わるはずだ。

 準備を終えるといい時間になってたので祖父母の家に電話してみることにする。

 数コール後、祖母が出た。

 「あ、ばあちゃん?俺、満だけどさ。母さんと俊也そっちに行ってない?」

 『はいはい。2人とも来てないよ、どうかしたのかい。』

 「母さんも俊也も昨日から帰ってなくってさ。もしかしたら何かあってそっちに行ってるのかと思って電話してみたんだよ。」

 『んー。来てないねぇ。もし2人から連絡あったら直ぐにそっちに連絡するわね。』

 「ありがとう。助かるよ。……うん、それじゃまた。」

 通話を切りソファに座る。

 メッセージアプリを起動して父に祖父母の家にも居ないこと、何か分かったら連絡してくれることを伝えケータイをテーブルに放る。

 テーブルには宿題もあるがやる気が起きない。流石に考えすぎたと思うが小学生の弟が見つからない事に焦燥感を覚えているのだろう。落ち着かない体を深呼吸で抑える。

 結局落ち着かず自室に行って本を取ってきては戻しに行って、ゲームを持ってきてやっては戻しに行ってを繰り返し家の電話がなった瞬間にビクッとしつつ電話にダッシュする。

 「はい、新谷です!」

 食い気味になったのは愛嬌だろう。

 『もしもし、三橋小学校の菅谷です。お母様かお父様はご在宅でしょうか?』

 「いえ、居ません。あの、何かあったんでしょうか?」

 『実は昨日から一部の子供達が帰ってこない連絡を受けておりましてその件で電話させていただきました。』

 「え。他の家もですか?」

 『はい。新谷さんのお家には誰か訪ねてきた、連絡が来た、等ございませんか?』

 「ないです。むしろ弟の俊也が帰ってきてなくて父が今探しに出てます。」

 『俊也君の事聞いてます。学校側でも今探してますので何かありましたら電話をください。』

 「分かりました。失礼します。」

 そう言い電話を切る。

 昨夜、父が警察に行った時も人が多かったと言うしただ事ではないのだろうか。

 そう思いながらリビングに戻るとケータイが電話を知らせていた。

 父からのようで丁度小学校から連絡があったことを伝えようと出ると、危機迫った声でテレビを付けるよう言われる。

 言われた通りに付けるとニュースが流れていた。

 

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