とにかく続き。
「それでは、しばらく翼さんが世話をしてくださるってことで?」
「いーよ!」
この爺さま翼くんというのか。そして返事が軽い。
「では、あとは同年代同士で。」
そんな?TVで見たお見合いの常套句をくりだす、
レディアン。
「レディ、それだけではないだろ。」
「あ、そうでした、忘れるところでした。
これがこの世界についての補助金というか、
一時金です。
各種手続きの仕方のパンフ。
フエルドラドへようこそ!の漫画による紹介。
あとはですね、
魔法が使えない方用の使い捨てのグッズ。
着火とか、水出しとか、魔物よけとか。」
「魔物がいるんですかっ!」
「いますねえ。」
「いるよ。」
「魔法の適性とか訓練はどうせヨージがやるんでしょ。」
うん?いきなり口調が砕けたレディアンさん。
「五時過ぎたからねー。」
「プライベートな時間だね。」
「あの2人は夫婦なんだよ。」
「陽司さんがくどいたのさ。」
「世界を超えた愛だねえ。」
後ろで老人ズが囁いてくれたから、事情は飲み込めた。ほえーー。
「だって帰れないからねー。もう。
元の世界には。」
えっ。やっぱり??
「話、長いわ。」
自称女神様のダメだしがでた。
「3行で。」
◎翼さんに世話をしてもらった。
◎そこそこ魔力はあった。
◎若いからみんなの便利屋みたいなことしてる。
「ほら、まとまった」
いや嫌だけど、
「スマホに魔力流すと使えるよ。元の世界とのアクセスはできないから、取り込んだ画像とか見るだけだけど。」
家族の写真見ては泣いた、とか。
「僕も君と同じ年、14でこっちにきたんだよ。
もう60年近くなるけどさ。
えっ、何?君も横浜?
何中?うっそー!ご近所だ!
じゃあさあ、海の公園の花火みた?八景島のほうから見た方がトイレとか困らないよね、
後はナイトズーラシアも夏は欠かせないよね。」とかさ、
「これが火の魔法?うわっ!熱いっ、」
「初めてにしては上出来だ!はっはっは。」
とか。
「若い子がいると助かるねえ。みんな腰が痛くって。」「ウチにご飯食べにおいでよ。
えっ?横浜出身?
なんで横浜の人って横浜って言うかなあ?
神奈川で良くない?」
とかの!!
「あー部屋に隠してたエッチな本が気になる?
みんな通ってきた道だよ。。」
村の男連中からドンマイドンマイと肩を叩かれたこととか!
感動とか泣ける話とか!ご当地ネタとか!
それを、アンタ!3行ってさあ!
「とにかくね。貴方がティルクス様ではないとはわかったわ。」
「はっ?」
「むかし、ここに住んでいたのよ。
ティルクスさまとわたしが。
と言うかルイフェリナが。」
え?何が?
えええっと?背後から視線を感じる。
そこにそっとドアを開けながら、陽司の妻こと、
レディアンさんがいた。
「ディア神!!」
「我を呼ぶそなたは誰ぞ!」
「ああ、やはり。外まで流れている神気。
そのお姿。ああ。」
うずくまって涙にむせるレディアンさん。
良くみると村に在住している、
日本人以外のフエルドラド人たち
(結婚したり、仕事の関係で何十人かいる。)
が大集合してむせび泣いていた。
「彼らのディア神信仰はかなりなものなんだよ。」
陽司さんが言う。
ティルクス・ディアが男神。
ルイフェリナ・ディアが女神。
「何故か氷が溶けてね。ここにティルクス様の気配を感じてやってきたの。」
「まさか?茶樹林 照が、
茶=ティ
照=ルクス
って、変換されて?女神様の検索サーチに引っかかってきちゃったとか?」
山本さんの言葉にジロリと視線をよこす女神様。
まさか?当たり?顔赤いっすよ。
「以前ここに住んでいたの!1番玉とティルクス様が!」
「氷が溶けた??」
「1番玉?」
ざわざわざわ。
「貴女さまは、眠っていたお方なんですか!」
「おい、本当だ!山の形が変わってるぞ!」
え?目視でわかるくらいの山の変化って、、
やばくない?