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第一羽

貴方はこの無彩色の世界を愛せるだろうか


昔から顔に仮面を張りつけて生きてきた

僕は常に笑っていた貴方に愛されるために

僕は常に怯えていた貴方を愛せるように

生まれつきそれなりになんでも出来たから人付き合いも上手だった。学校では明るい人気者、家では引きこもり、他人には猫を被って生きてきた。白か黒か、表か裏かハッキリしない僕の顔が貴方にはどっちも表に見えたのか、どちらも裏だったのか、裏表逆に見えていたかもしれない。しかし固く硬く張り付いた仮面を貴方はいとも簡単に吹き飛ばしてしまった。それまでは良かったんだ、僕が一番怖かった運命と出会うまでは……





小、中学を仮面を貼り付けて生きてきた僕は人の顔色を伺うのがプロ並みに上手く、気が使えて、明るくて、雰囲気のいい子を演じていたて高校でもそうしていた。いや、したかったの方が正しいのか僕が描いていた普通の生活を運命に崩されてしまった、入学式あの日のあの廊下に足を踏み入れた瞬間見つけた僕だけの天使が待っていた。蛇のように細い目を眼鏡から覗かせ、雪を降らせたような真っ白な肌に病的に細い体、きっと手入れなんてしていないであろう乱れて跳ねた真っ黒な髪、周りより頭半分小さな背丈、僕は小さな背中に大きな羽根を見たんだ!全校生徒約450人の中で目立たない貴方の姿を一番最初に見つけたんだ運命って言っても良いでしょ?それからはずっと貴方を探し続けた興味なんて無い部活動見学を全て回った貴方の名前とクラスと出席番号を知るために図書委員になった、図書室には全校生徒の名簿があるのだ僕はそれを知っていた。「やっと見つけた僕の運命の人!」名前は井原羽輝 二年一組 出席番号四番 柔道部所属 給食委員をやってるらしい元々柔道部の顧問にスカウトされていた僕は柔道部の見学に行ってみたもちろんはじめましてを装ってね。あぁやっぱりいた!井原先輩が白い道着に身を包み汗を流しながら練習していた。その日は一言も話さずに道場を出ていった、僕は慎重なんだ。それから半月たった頃、僕は正式に部員になった。三年生は来月で受験引退だ、二年生十一名、一年生ゼロ名という廃部寸前の所を僕が入って一年生一名になった、後輩が一人だけとなったら全ての先輩に甘やかされるだろう、それがダメだった「大きくて礼儀正しい後輩が入ってきたね〜!」「こいつ強そ〜」ちやほやされて気が緩んでしまった、そもそも先輩といる環境が少なかったせいで耐性が無かったんだ!それに不意打ちをかけるように井原先輩が近付いてきた「よろしくね。」その笑顔で十分すぎたあまりにも眩しすぎたんだ「はい!よろしくお願いします。」と答えた僕の顔はきっと赤かったんだろうな。

三年生が受験引退して新体制で部活が進んできた頃僕は全ての先輩を下の名前で呼び始めた。「羽輝先輩おはようございます。」「うん、おはよう。」この会話が毎朝の楽しみだった。時はもう六月、梅雨入りして雨が毎日降っていた。運動場で遊べない日は教室か図書室の二択だろう、案の定沢山の人が図書室に集まっていた。静かに小説を読む子、友達と話すために来た子、真面目に勉強する子、その中に図書室の隅で座って上の空な羽輝先輩を見つけた。「羽輝先輩こんにちは、何か借りに来たんですか?」と聞くと「いや、特に用事無いけど暇だったからさ。」と返ってきた。「俺のおすすめの本あるんですけど読みます?。」「まじで?絶対ムズいじゃん笑。」「そんな事無いですって!ほら。」『貴方が羽ばたく730秒前』この本はヒロインが一つ上の先輩と結ばれるまでの二年間を描いた物語だ。昔からこの本がとても好きだった。「ありがと、じゃあ借りてくわ。」と言って図書室を出た貴方の背中にはやっぱり大きな輝く羽根が生えていた。貴方に会うために移動教室でわざと遠回りしたり、登下校の時間をズラして一緒に帰っている事も、体力テストの結果を見るためにわざわざ二種目だけ残して他学年混合再検査に参加したり、僕がやっている事は間違いなくストーカーだが貴方は知る由もない。 それから一週間程経った今日は皆大好き体育祭。もちろん僕は先輩の種目全てをカメラに収めたし目にも焼き付けた。全ての種目が無事に終わり特に何も話す事無く体育祭が終わってしまうのかと思ったが神様は僕に味方してくれた。本部テントを一人で片付けていた所な「一人じゃん大丈夫?手伝うよ。」と天使が舞い降りてきた。練習で少し焼けた肌に帽子を深く被って重い荷物を「持つよ。」と言って一緒に運んでくれた。優しい笑顔に泣きそうになりながら笑顔で「いいんですか?!助かります!」と言って片付けを終わらせた。今日の事は一生の思い出だ。

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