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異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜  作者: 月城 蓮桜音
第二章

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第76話 立太子の儀 ★リオ SIDE

 いよいよ『立太子の儀』が始まった。私はカミルが煌びやかな宝石や勲章に彩られ、目の前を歩く姿を見ただけで感激し、満足して見惚れていた……


 地味だと思っていた衣装は、地味な衣装がイメージ出来ないくらい全く違う衣装に見える。そして、カミルがいつもより神々しく思えた。


式典の内容?全く覚えて無いわ……カミルが兎に角、カッコ良かった!それだけしか必要無いと思うわ。陛下と話したり……誓い?だったかな?うん、良く覚えて無いけど、カミルがカッコ良い。


 それに、そこに居るだけで良いって言われたんだから、カミルに惚けていても問題無いよね?今日はカミルが主役で、私は何もする事は無いと聞いている。「殿下に見惚れていて良いですからねー」なんてキースからも揶揄われたぐらいだ。


 私の席の左斜め後ろには、婆やが車椅子から立ち上がって、カミルの雄姿を見ていた。幸せそうで本当に良かったわ……自分の事より嬉しく感じるのよね。


 『立太子の儀』も終盤になり、カミルの王太子としての抱負などを話している間も、私はカミルをボーッと眺めていた。先日までは緊張してたのに、本番では見惚れてるだけだったわね……


 さて、そろそろクライマックスみたいね?確か、陛下から王太子の証である腕輪を受け取って……装着して御披露目が終われば解散だったはずよね?振り向いて腕輪を掲げたカミルと視線が合ったわ。


「私、王太子カミル=デュルギスは、半年後、来年の春に、婚約者であるリオ=カミキと結婚式を挙げる事となりました」


 えぇ――っ!そんなの予定に無かったわよね?それに来春には結婚式?聞いてないわよ!?驚いてカミルを見上げると、満遍の笑みで話しを続けている。はっ!と陛下に視線を向けると、口角を上げてニヤッと笑って見せた。そんなサプライズは要らないから――!


 会場からは拍手喝采で。私の周りの人達が口々に、「おめでとう!」と祝福の言葉をかけてくれる。婆やも斜め後ろから祝いの言葉をくれた。恥ずかしい……


 そうこうして『立太子の儀』は無事に終了した。カミルと陛下が退場して、私も退場しようと出口へ向かう途中、隣国の皇子と精霊が視界の左側に映った。勿論知らんぷりで通り過ぎる。


 皇子が私に声を掛けようと一歩前に出るのが見えたので、無意識に右を向くと、リズと公爵閣下が私を取り囲み、素早く出口まで連れて行かれあっさり退場出来た。鮮やかなお手並みでした……


「ふぅ――。リズ、閣下、ありがとうございました。助かりました」


「いえいえ、お一人になるタイミングは、そこまで多くは無いでしょうが、護衛がつけられない場所がどうしてもありますからな。そんな時は我々を頼ってくださって結構ですからね」


 公爵が優しく微笑んでくれる。何事もスムーズに、そして紳士的に対応してくれるのでありがたい。


「そうですわよ、リオ。何か困った事があったら直ぐに声を掛けてくださいませ。わたくし何をしていても、リオを助けに参りますわ!」


「ふふっ、ありがとう。公爵家の方々が助けてくれるなんて……とても心強い味方がいてくれて嬉しく思うわ」


「そう思っていただけたら幸いです。殿下の執務室までお送りしようと思いますが、何処か行かれる予定でしたかな?」


「えぇ、安全面で言えば、カミルの執務室が1番安心でしょうけど……キースやクリスが居ても、恐らくバタバタしてるだろうから、私の部屋に戻った方が邪魔にならないかと思うのだけど……?」


「そうですね……確かに今日は殿下の周りは忙しいでしょうなぁ。下手に移動しない方が安全なら、侍女が居る場所の方が安心出来るかも知れませんね?」


「では、私の自室に移動しようと思います」


「それではお部屋までお送りします。さぁ、参りましょう」


「ありがとうございます」


 私はリズと並び、閣下は私達の後ろをついて来てくれる。仲の良いリズと一緒に居ると安心出来る。世間話をしながら私の部屋の前に着いた。


「リズ、念のために部屋の中と侍女を確認してくれるかい?」


「はい、お父様」


 リズが部屋の扉をノックするも、返事が無い……


「リオ様、私が中を覗いても大丈夫でしょうか?」


「えぇ、問題無いのですが……」


 私が不安そうに閣下を見上げると、リズが「大丈夫ですよ」と後ろから声を掛けてくれる。


「お父様は、護身術もお強いから何かあったとしても、大丈夫なのですわ」


 にっこりとリズが笑顔を見せてくれる。公爵を心配して困っていた私に気を遣ってくれるのが嬉しい。お父上を信頼してるのもあるだろう。仲の良い親娘よね。


「そうなのね。では閣下、お願いしますわ」


「お任せください」


 公爵はもう一度ノックをしてから扉に手を掛ける。バチッ!とドアノブから火花が散った。公爵の手からは血が流れている。


「お父様!?」


「大変!閣下、お手を見せてください!」


 私は慌てて閣下の手にヒールをかける。すると、白い靄に包まれて、地面から足が浮いた。


「なっ!罠です!リオ様、手を――――――」


 あぁ……転移魔法ね。これは精霊か、違法の魔道具だと言ってたから、弾けば良いんだっけ?私より強い魔力を持ってたら弾くのは無理だろうから、恐らく精霊の転移魔法って事になるわね。出来る限り抵抗しましょ。


 冷静に判断し抵抗するも、グラッと風景が歪む。あ、弾けなかったみたいね?


「爺やに『弾けなかった』と伝えて!」


 取り敢えず伝言を残しておこう。『転移魔法』と『弾けなかった』という事実だけで爺やとデュークは精霊の所為だと分かってくれるだろう。下手に『精霊』って言わない方が良さそうだしね。


「うっ…………」


 一生懸命抵抗したから、ちょっと酔っちゃったわね。あれだけ抵抗したから、少しは座標がズレたのでは?と期待したけのだけど……


 目の前には隣国の皇太子と精霊が居た。精霊と目を合わせちゃ絶対に駄目よ。どうしたら良い?必死に考える。皇太子=偉い人=頭を下げなきゃ駄目よね?


 私は皇太子と目も合わせずに、バッ!と勢い良く御辞儀をした。それも深々と、私の顔を覗けない様に……

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