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異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜  作者: 月城 蓮桜音
第一章

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第60話 飛行魔法と婆や ★リオ SIDE

 翌日の昼下がり。いつもの様に、練習場へ顔を出していた。デュークがとても機嫌良さそうに待っていた。

 

「リオ殿、良く来てくれた!貴女のお陰で我が魔導師団は、私の理想に近付いている気がする!初級の練習装置がな、苦手な魔法を練習するには丁度良いらしく、苦手な魔法がある者達が、メキメキ上達しているのだ!」

 

「それは良かったです。誰しも苦手はあるものですからね。お役に立てたなら幸いですわ」

 

「お役に立ち過ぎだな!リオ殿が練習場に来るだけで、皆のやる気も違うしな。リオ殿は魔導師団の女神だ!」

 

「また、そんな……デュークはいつも大袈裟だわ」

 

 女神だなんて、初めて言われ……カミルに言われた事があった気がするわね。カミルの場合は甘い言葉をひたすら言って来るから照れるのよね。まぁ、嬉しいんだけどね?殿方から仕事の事以外で褒められるなんて、今まで無かったから恥ずかしいだけで。

 

「おぉ、嬢ちゃん!誘いを受けてくれてありがとうな。早速これから行こうかのぉ」

 

「えぇっ!これからですか?カミルに報告してからで良いですか?」

 

「あぁ、そうじゃのぉ……デューク、カミルに嬢ちゃんを借りると伝言を任せたぞ?」

 

「いやいや!それはさすがにマズいですって!」

 

「早く連れて来いと婆さんに言われとるんじゃ。お茶が冷めてしまうわい」

 

「いやいや……はぁ……リオ殿、申し訳ないのだが、師匠はもうこれ以上何を言っても無駄なので、私が責任持って殿下には報告しておきます……」

 

「え、えぇ、分かったわ。よろしくね」

 

「はい。師匠、夕食までには帰って来てくださいよ?」

 

「イヤじゃ。晩飯も一緒に食ってから帰す予定じゃ」

 

「はぁ…………分かりました。伝えておきます」

 

「良し!嬢ちゃん、行くぞー!」

 

 爺やは私の手を取り、浮いた……空を飛んでる!

 

「えぇっ!爺や!空を飛んでるわ!浮遊魔法?どうやってるの!?私も自分で飛びたいわ!」

 

「ホッホッホ。教えてやろうかのぉ。その前に、隠密魔法をかけておくからな?人が空を飛んでおると、魔法で撃ち落とされそうになるからのぉ。ホッホッ」

 

 笑い事じゃ無い気もするけど、言われた通りに隠密魔法をかけ、爺やに手を取られたまま移動して行く。

 

「浮遊魔法は浮くだけで、これは飛行魔法じゃな。主に風魔法で体を浮かせられたら後は方向調整などを、使用する魔力量で微調整する者が多いかのぉ。上級風の『突風』と、超級風の『竜巻』、そして初級風の『微風』をバランス良く使うのじゃ。まぁ、明日にでもまたコツを教えてやるからのぉ」

 

「なるほど、全部風魔法……そうね、竜巻で体を壊さない威力で浮かせて、突風で進みたい方向に風を送り、微風で細かな方向調整をしてるのね!」

 

「さすがだのぉ……この魔法は、竜巻を必ず自分の下に配置しなければ落ちてしまうからの。突風が強過ぎると前に落ちるから、竜巻の上に上手く乗り続けられる様になってから、突風で竜巻も同時に移動させなければならんのじゃ。高く飛びたくて竜巻の威力を一気に上げたい場合は、自分の下に防御壁を張って、その上に座るイメージだと上手く出来るようじゃ」

 

「なるほど!それなら自分を傷つけずに高く上がれるのね!最初は防御壁を使って練習して見ようかしら。明日が楽しみだわ!」

 

「嬢ちゃん、普通は複数の魔法を一度に3つも使えれば凄いんじゃからな?この魔法も、飛行魔法の時点で3つ使っておる。それに防御壁と隠密魔法をかけるのは、ワシぐらい長年魔法を使っている者でなければ出来ないのだから、無理はするで無いぞ?」

 

「はい!ひとつずつ慣れて行きますね。先ずは防御壁と竜巻、上手く浮けるようになったら突風で前に進めるようになったら微風で舵を取って見ます。練習場から出ないうちは、隠密魔法は必要無いですよね?」

 

「そうじゃな。練習する時は、練習場か人が居ない所でやるのじゃよ?浮遊魔法だけなら部屋で出来なくも無いが、竜巻の威力を間違ったり失敗した場合は悲惨な事になるからのぉ……」

 

「あぁ、確かに。部屋が滅茶苦茶になりそうですね」

 

「うむ。ただ浮くだけなのだが、広い場所なら余裕でも、屋内に入ると出来ない者が多いんじゃよ。風魔法は、微調整が難しい部類に入るからのぉ」

 

「分かりました。御指導ありがとうございます!」

 

「ホッホッホ。楽しそうで何よりじゃ。さて、我が家が見えて来たぞ」

 

 可愛らしい白いお家だ。小さなお城って感じだが、本物のお城と比べるから小さいだけで、それなりの大きさはある。部屋数が10以上は余裕であるだろうから、日本で考えると豪邸の部類だろう。庭の裏手にある四阿の前に降り立つ。四阿にはお婆さんが座っていた。

 

「お帰りなさい爺さん。初めまして、異世界のお嬢ちゃん。婆は『賢者』の妻でシアよ。見ての通り足が不自由でね。座ったままでごめんなさいね」

 

「いえ、お気になさらずに。私は異世界から参りました、リオ=カミキと申します。どうぞよろしくお願いします」

 

 簡潔に挨拶をする。私が立ったままだと、お婆さんに気を遣わせてしまうと思ったからだ。

 

「えぇ、えぇ、どうぞお掛けになって?今日はお天気が良いから、四阿でお茶をしましょうね。爺さんもお茶をどうぞ」

 

「ワシは家の中に居ても良いぞ?婆さんが嬢ちゃんとゆっくり話しがしたいんだろう?」

 

「先ずは爺さんからもお嬢ちゃんのお話しも聞きたいじゃないの。お嬢ちゃんも、全く知らない婆から急に色々聞かれても困るでしょうに?」

 

「あぁ、そうじゃのぉ。それではお邪魔するかのぉ」

 

 お2人は明け透けな物言いで、とても気持ちが良い。

 

「とても仲が良いんですね!私もお二人の様な夫婦に憧れますわ」

 

「そう見えるなら嬉しいわぁ。もう200年以上一緒にいるから、体の一部みたいに感じる事もあるのよ」

 

「素敵ですね。お互いが、無くてはならない存在なのでしょうね。羨ましいです」

 

「嬢ちゃんもカミルと上手くやっておると思っておったが?彼奴は嬢ちゃんにべた惚れじゃろう?」

 

「あらそうなの?カミルちゃんも大人になったのねぇ。ちっちゃな頃は、お人形さんみたいだったのよぉ」

 

「奥方様も、カミルの幼少期をご存知なのですか!?」

 

「あらやだわぁ。婆の事は婆と呼んでくれて良いのよ」

 

「えっと……では、爺やと同じで婆やと呼んでもよろしいですか?」

 

「えぇ!そう呼んでちょうだい。カミルちゃんも、婆やと呼んでくれていたのよぉ。婆は爺さんと一緒に王宮の魔導師として働いていたの。だから、魔導師団にしょっちゅう遊びに来ていたあの子達は、皆んな婆の孫みたいなものなのよぉ」

 

「そうなのですね。デュークやキース、クリスも爺やの弟子だと聞きましたが、彼らですか?」

 

「そうそう。爺さんが可笑しなあだ名をつけるものだから、ちゃんと名前を呼んで貰おうと、必死に挑戦状を持って来ては負けて帰ってたわね。ふふっ、可愛かったわよぉ」

 

 婆やの皆を慈しむような眼差しに嬉しくなる。幼少期の彼らを、婆やは見守って来たのだろう。

 

「婆やから見て、カミルは昔から魔法も剣も上手かったのですか?私はこちらの世界の基準が分からなくて、いつもカミルを困らせてしまうんです」

 

「えぇ、そうねぇ。カミルちゃんは器用だったわねぇ。ただ、それ以上に負けず嫌いでね?デュークちゃんと競争して負けると悔しそうにしていたわぁ」

 

「わぁ!2人はライバルだったのですね!とても仲が良いなぁとは思っていたのです」

 

「ふふっ。カミルちゃんは王子教育もあったから、いつも遅れて練習場に来ていたのよ。だから、いつも皆んなが習った後に新しい魔法を習うから、少しペースが遅くなるでしょう?必死に追いつくためだったと思うのだけど、集中力が凄くってねぇ」

 

「彼奴は何事にも全力で取組むから、それで体調を崩す事もあってなぁ。1人だけ遅れるのが可哀想だからと、デューク達もカミルの体調が治るまでは、新しい魔法を習う事を待っておったりしたのじゃよ」

 

「ふふっ。微笑ましいですね。彼らの結束力の固い理由が分かった気がします」

 

「嬢ちゃんは本当に、周りを良く見ておるのぉ。カミルとの相性が良いのは、根本的な考え方が近いからなのかも知れんなぁ。彼奴は、誰一人としておなごを近づけ無かったのじゃよ」

 

「御令嬢達に追いかけ回されては、魔導師団の執務室に逃げ込んで来てたからねぇ。女性に対して、苦手意識があったのは間違い無いわねぇ」

 

「うーん、召喚者と婚約するのが決まっていたから、歩み寄ってくれたのでは無いでしょうか?」

 

「いや、あれは最初から気に入っていたようじゃぞ?キースとデュークが言うには、いそいそと本を選びに図書館に向かっては、昔読んだ本で良かったと思う内容のものだけに絞り込んで運んでいたと言うておったしなぁ」

 

「まぁ!あのカミルちゃんが?それは最初から惚れていたというのもあながち間違いでは無さそうねぇ!カミルちゃんはね、無駄な事は大嫌いだし、自分に興味の無い事には無関心で、冷たい印象が強い子だったのよぉ」

 

「そうなのですか?カミルはいつでも誰にでも優しいのだと思っていましたが……」

 

「嬢ちゃんは、カミルと視線がちゃんと合ったのはいつか覚えておるかのぉ?」

 

「ええっと……召喚されて直ぐにこの国の言葉で何やら話しかけてくれたのですが、言葉が通じなかったようで……その時に初めて目を合わせました」

 

「嬢ちゃんから話し掛けたのでは無く、カミルから話し掛けたのじゃな?もしかして一目惚れと言うヤツだったりしてのぉ?」

 

「えぇ、えぇ、そうかも知れないわねぇ!最初から興味を持ってたから、話し掛けたんだと思うわ」

 

「そうでしょうか……?カミルは私が召喚者だから……陛下がお呼びになった者達だからと気を遣ってくださったのでは?と思うのですが……」

 

「カミルは陛下を王として尊敬はしておるが、陛下がなさったからと尻拭いをするタイプでは無いのじゃよ」

 

「ふふっ、そうね。陛下がなさったことだろうと、興味が全く無ければ、普通に無視して終わる事もあったからねぇ?そんなの時間の無駄だ!なんて、陛下に向かって言えるのは、カミルちゃんぐらいじゃ無かったかしら?宰相ですら、驚いていらしたのよ?ふふっ」

 

「あぁ、あれか!あの時はのぉ、陛下の出されたその案よりも効率の良い提案を提出なさってなぁ。そんな無駄な事などせず、こうなされたら宜しいのでは?とな。まだ15歳ぐらいだったかのぉ?大人顔負けの分かりやすい解説で、堂々とした発言をなさって……」

 

「それから陛下はカミルちゃんにも相談なさるようになったのよねぇ。図書館の本は全て読んでいらしたし、古代語で書いてある禁書庫の本まで全て読み終えていたから、知識も言い回しも大人顔負けだったのよねぇ」

 

「うわぁ……行動は子供らしいけど、やってる事はちょっと怖いですねぇ……」

 

「ブフッ!そうじゃな、今考えると怖い子供だったのは間違い無いのぉ」

 

 噴き出した爺やは楽しそうに昔を振り返る。婆やも皆んなで過ごした時間を思い出して嬉しそうだ。

 

「そんなカミルだからのぉ?嬢ちゃんは自信を持って隣に居れば良いのじゃよ。彼奴が嬢ちゃんを気に入ってるのは間違い無いと分かっておるでのぉ。何か心配事でもあるのかのぉ?」

 

「いいえ……ただ、私で良いのかなって。足手纏いにならなければ良いのですが……」

 

「嬢ちゃんは自分を過小評価し過ぎだのぉ。あれだけの事をして来たのに、まだ自信が無いとは……」

 

「こちらの世界では凄い事だと言われるのですが、私には最初からそれなりに出来る事ばかりだったので……自分で何かを成し得た訳では無いですから」

 

「当たり前の基準がおかしいのね。じゃあ、お嬢ちゃんは、カミルちゃんを好き?嫌い?」

 

「す、好き……です」

 

 恥ずかしいけど、それだけはハッキリ分かっている。

 

「じゃあ、他に素晴らしい女性が現れたとして、カミルちゃんを譲る事が出来るの?」

 

「えっ………………………………」

 

「お嬢ちゃんが言ってるのは、そう言う事よ?自信が無いから側に居られないなら、その場所には他の誰かがいる事になるでしょう?カミルちゃんは王子なのだから、必ず誰かと一緒になるのだからねぇ」

 

「いや……嫌です!私が1番近くに……カミルの隣には私が居たい……」

 

 ポロポロと涙が零れ落ちる。他の誰かがカミルに嬉しそうに話し掛ける姿を想像するだけで、胸が苦しくなった。カミルに触れるのも、私だけでありたい……

 

「そうなのね。お嬢ちゃんの気持ちはカミルちゃんにあるのね。大丈夫よ、カミルちゃんはお嬢ちゃんだけしか見ていないって、デュークちゃんもキースちゃんも言っていたもの」

 

「そうじゃぞ。嬢ちゃんは堂々とカミルの隣に居れば良いんじゃ。彼奴は頑固だからのぉ?お嬢ちゃんから離れる事なんてあらゃせんぞ?」

 

「えぇ、そうよぉ。心配しなくて良いのよ、大丈夫だからねぇ」

 

 婆やが私の肩を抱きしめてくれ、爺やが婆やを支えてくれている。泣いてしまった私を慰めてくれる気持ちが嬉しくて、中々涙は止まってくれなかった。


 

「も、申し訳ありません……」

 

 やっと泣き止み、落ち着いて来た途端に恥ずかしさが込み上げる。

 

「良いのよぉ。お嬢ちゃんは、この国に来てから泣く事も喚く事も無かったと聞いているわ。偶には気持ちのままに振る舞う事も、お嬢ちゃんの心を守る為には必要なのよぉ?困った事があったら、いつでもいらっしゃい。こんな婆で良ければ聞くからねぇ。沢山お話ししましょうねぇ」

 

「……っ!ありがとうございます!」

 

「婆や、他にも話す事があったじゃろう?もうすぐ晩飯の時間じゃし、飯の時か……またすぐにでも来て貰ろうても良いじゃろ?」

 

「そうねぇ……また遊びに来て欲しいから、簡単なお話しの方だけしておこうかしらねぇ?」

 

 婆やから話したい事があったらしい。泣き止むのに時間が掛かってしまったから少し申し訳無く思った。

 

「お嬢ちゃん、使い魔はにゃんこなんですって?この婆にもにゃんちゃんを見せてはくれないかしら?」

 

「えっと、ソラ……使い魔の名前はソラって言うのですが、ソラが大丈夫だと言ったらで宜しければ……」

 

「えぇ、えぇ。それで大丈夫よぉ。お嬢ちゃんは使い魔にも優しいのねぇ」

 

 婆やはニコニコと笑顔で頷く。

 

『ソラ、爺やの奥方様がソラに会いたいと仰っているのだけど、会っても良ければ、こちらに来てくれる?』

 

『リオ〜、座標がちょっと読めない〜』

 

「座標?」

 

「あぁ、ちと待っておれ」

 

 フワッと風が吹いたと思ったら、ポン!とソラが現れたのだった。

 

「リオ〜、ここ結界が強固過ぎぃ〜」

 

「あぁ、そうだったのね。急に呼んで、ごめんなさいね?お昼寝してた?」

 

「ううん。カミルとデュークが喧嘩してるの見て遊んでたよ〜」

 

「え?喧嘩してたの?」

 

「そこのジーさんが、リオを攫ったから〜」

 

「いや、攫っとらんじゃろう。ちゃんとデュークに言って、カミルに伝言を頼んだじゃろ!」

 

「急過ぎるんだよぉ〜。まぁ、ジーさんのお家は侵入するのは無理だから大丈夫だろうって結論に至ってた〜」

 

「そうなのね。ソラ、こちらが爺やの奥方様よ。ご挨拶して?」

 

「あらあら、可愛い精霊の使い魔なのねぇ!殆どの使い魔は黒なのに、この子は白……『純白の精霊』なんて、精霊の王族かしらぁ?」

 

「バーちゃん、オイラはソラだよ〜。精霊の王様の子なんだ〜。ふ〜ん?……隣国の姫かな〜?」

 

「ふふっ、さすがは精霊さんねぇ。私は隣国アンタレス帝国の元王女でアナスタシアよ」

 

「王女殿下……?」

 

「ふふっ、お嬢ちゃんが知らないのも無理は無いの。だって、カミルちゃんを含む王子達すら知らない事なのよ?貴女の使い魔ちゃんが優秀だからバレちゃったけど、本来は国王陛下と宰相ぐらいしか知らない事だから、内緒にしてね?」

 

 ふふふと笑う婆やは気品があった。確かにお茶を飲む仕草も上級令嬢……リズが近くにいるから、違和感を感じなかったわ。扇でも持っていれば、元上級貴族であった事は直ぐに分かっただろう。だからわざわざ、昔王宮で魔導師をしていたと仰ったのね……魔導師と王女は混乱したとしても繋がる事は無いもんね。

 

「はい、分かりました。カミル達にも内緒にしておきますので、ご安心ください」

 

「えぇ、ありがとう。婆が聞きたかったのはね……お嬢ちゃんは女神と精霊の加護を両方持っているでしょう?体に負担が掛かってる可能性が高いはずなの。それがどうしても気になってねぇ」

 

「嬢ちゃん、婆さんも精霊の加護持ちなのじゃ。この国には有り得ない加護……この大陸は、精霊信仰と女神信仰に別れておる。我が国は女神信仰の者ばかりでのぉ」

 

「えぇ、信仰の対象への想いが力となるからね。この国には精霊が殆ど居ないのよ。使い魔のソラちゃんは、数日に一度は精霊の国へ帰っているのでしょう?」

 

「そうだよ〜。この国には精霊は住み着く事が難しいからねぇ。まぁ、オイラの場合は『純白の魔力』を持つリオが魔力を分けてくれるから、最近はそんなに帰って無いんだけどね〜」

 

「あらまぁ!仲が良いのねぇ。良かったわぁ!」

 

「そうだったのね……ソラ、魔力が欲しい時は遠慮せずに言ってね?ソラが偶に居なくなる理由が分かっていれば、最初から魔力をあげたのに……気が付かなくて、ごめんなさいね?」

 

「違うよ〜、リオ〜。魔力って相性もあるからね〜。ちゃんとリオとリオの魔力を観察して、糧に出来そうだったからお願いしたんだよ〜。だからリオは謝らなくて良いんだよ〜。オイラが何処まで話して良いのか分からなくて、ちゃんと説明しなかったのが悪いしね〜」

 

「ありがとう、ソラ。話せない事は、無理に話さなくて良いからね。私はソラが私の使い魔で居てくれる事が嬉しいのよ」

 

「うん!オイラもリオの使い魔になれて嬉しいよ〜」

 

「ふふっ。相思相愛なのねぇ。ソラちゃん、王様にありがとうってお礼を言っておいてくれるかしら?言えば分かるからね」

 

「分かったよ〜。えっと、名前……」

 

「シアが言ってたって言えば分かるわ」

 

「うん、シアね。覚えたよ〜」

 

「さて、晩餐を用意してあるから、嬢ちゃんも移動しような。婆さんは魔法で勝手にウロウロ出来るから大丈夫じゃよ」

 

「飛行魔法で、ですか?家の中では難しいのでは……」

 

「えぇ、そうなのよぉ。偶に物を壊しちゃったりするから困っちゃうのよねぇ」

 

「車椅子を作りましょうか?」

 

「「車椅子??」」

 

「えぇ、私の世界では足の不自由な人が座って移動出来る、椅子に車輪がついた物を使っていました。人が後から押して移動させる事も、自分の腕の力で動かす事も出来るのですが、婆やなら超級風の突風で押せるのではありませんか?」

 

「それは素晴らしい!婆さん、そしたらワシが押して散歩にも行こう!気兼ねせずに出掛けられるじゃろう?」

 

「えぇ、まだイメージが沸かないのだけど、お手間を取らせてしまう事になるから悪いわぁ……」

 

「いえいえ、是非とも私に作らせてください。後、よろしければですが……私に足を診させて貰えませんか?」

 

「えぇ、勿論構わないわよぉ?」

 

「それでは建物の中に入りましょう。女性の体を外で触れるのはちょっと……」

 

「ふふっ。お嬢ちゃんは優しいわねぇ。爺さん、移動しましょうかねぇ」

 

「あぁ、分かっておる。取り敢えずは応接間に行こうかのぉ。広いソファがあるからのぉ」

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