第4話 鏡の中の、これは誰？ ★リオ SIDE
（本当に優しくて頼りになる人ね。カミルの笑顔を直視出来ないわ……）
少し赤らんだ頬を両手で挟み、ムニムニと動かす。侍女の2人は少しニヤけながらもお茶を淹れたり、お菓子を出したりしてくれる。
「リオお嬢様、軽食もお持ちしましょうか？」
リリアンヌが紅茶を渡しながら聞いて来る。
「ありがとう。今はちょっと……食べれる気がしないから大丈夫よ。それよりも聞きたいのだけど」
「何でも聞いてください！」
マリーが元気よく返事をしてくれる。やる気満々って感じでとても微笑ましい。
「この国……デュルギス王国の国王陛下は異世界人である召喚者を妃にしても良いとお考えなのかしら？」
カミルには聞きにくかった質問をしてみる。立ち姿も綺麗だし品もあるから、恐らく彼女達は貴族だろう。
「国王陛下のお考えは分かりかねますが、王子様方は異世界人である召喚者を妃に娶りたいと仰っているようですよ」
少し考えてからリリアンヌが答えてくれる。
「貴族の方々から反対の声は出たでしょう？全ての王子が誰一人として自国の貴族と結婚しないなんて反発しかなさそうだけど……」
「今の所、貴族の方が騒いでるとは聞き及んでおりませんが……ご不安になられますよね……」
困った顔でリリアンヌが答えると、マリーも心配そうにこちらを伺っている。
「この国で決まった事だもの。私は従うしか無いと思うし、国王陛下の仰る事は絶対でしょう？王族が居ると言う事は、そう言う事だものね……」
部屋の雰囲気が暗くなっている事にハッとして話題を変えた。
「マリーとリリアンヌはいくつなの？」
「私は38です」
「私は32です！」
「えぇーー！もっと若いと思ってたわ……」
「リオお嬢様もお若いですよね！お肌も綺麗で羨ましいですー！」
「え？？あ！鏡！この部屋に鏡ってあるかしら？」
急に声を大きくした私に驚いた2人はキョロキョロと鏡を探し、手鏡を持って来てくれた。
（本当に目の色が変わってるわ。黒目だったのにカミルが言った通り、黄金色になってる……）
じっくりと瞳を確認し、フッと顔全体を見る。
「えっ！」
「ど、どうなさいました？大丈夫ですか？」
（わ、若返ってる、わよね？寝不足で、化粧で隠していた隈も無いし、肌もモチモチと弾力があるわ。疲れたおばちゃんには到底見えない。どう見ても高校卒業した時ぐらいの姿だわ……）
リリアンヌに返事も出来ずに呆然とする。
（これは流石に……カミルには言わなきゃ駄目よね？私の見た目が若返ってるから……年齢詐称よね？容姿も少し良くなってる気がするわね。目元がパッチリ二重だわ。アイプチした時みたい。これも召喚されたからかしら？カミルを騙してるみたいで、何だかモヤっとするわねぇ……）
悶々と悩むが考えても答えは出ないだろう。夕食時にカミルに……このまま言わなければ分からないかも知れないけど、カミルに嘘は吐きたく無いと強く思った。
