第38話 守りたいもの ★カミル SIDE
皆んなが退室した執務室でリオとお茶をする。
「リオ、当日はソラも連れて行ってね?」
「えぇ、連れて行くわ。場所や湧き出るタイミングも教えて貰いたいしね」
「それなら少し安心出来るかな……僕は超級闇はまだ使えないから、一緒に行けなくてごめんね?」
「カミルまで居なくなったら怪しまれるから来ちゃ駄目でしょう?」
ふふっと微笑むリオは、最近更に綺麗になった。侍女達に磨かれ、黒髪も艶々していて美しい。彼女が僕の婚約者だなんて、幸せ過ぎて少し怖い。次のスタンピードも無事に終わると信じてはいる。リオは僕より強いのだから……
「リオは強いって理解はしてるんだ。でも、やっぱり心配になってしまうんだよ……離れた場所に、別々でいるのも少し心配だったり……リオを信じてない訳では無いんだよ?」
「えぇ、分かっているわ。デュークもカミルも心配性よね。でも、心配してくれるのは素直に嬉しいわ」
「リオは大人しいように見えて豪胆だったり、近くで見ている分には楽しいんだけどね……何気に行動力があって思い切りも良いからなぁ。危険に突っ込んで行かないか心配になる事はあるよ。ただ、リオは賢いから最善を選んでくれると……判断力も評価してるからね」
「ご期待に応えられる様に頑張るわ。次のスタンピードは20日後だったかしら?」
「そうだね。その間に兄上がそれなりに上級魔法を撃てる様になれば簡単なんだけどね……リオがサポート出来るとは言え、暗殺者にも気を配らなきゃならないだろう?魔物への攻撃ばかりとはいかないからね……」
「暗殺者の方は大丈夫よ。殺気が分かる様になったから、恐らく魔物より探しやすいわ」
「え?いつ?殺気なんて無縁だと思っていたのに」
「パーティーでやたらと殺気を放ってくる人達がいたわよ?あからさま過ぎて、嫌がらせにすらなって無かったけど……」
「あぁ、確かに……見えない場所からの殺気は少し恐怖を感じるけど、あからさまに殺気放ってます!ってのは全く怖くも無いよね」
「えぇ。まぁ、お陰様で?殺気も感知出来る様になったし、ありがたかったのかしら?」
「リオは前向きで気持ちが良いね。僕も前向きな方ではあるけど、さすがに殺気を受けて平然と有難いとは思えなかったかも……」
2人でクスクス笑いながら寄り添う。やっと2人の時間が持てる事も、幸せを感じられる余裕が出来た事も嬉しい。一陣目だったのもあって、スタンピードがどういうものかも分からなくて余裕が無かったからね。文献で読んだだけでは分からない事も多いのだ。
リオが僕の肩に頭を乗せて甘えてくれる。たったそれだけで幸せだと思える。平和なこの時間が何より大事なのだ。
この幸せを守れる様に、そしてこの国を守れる強さと賢さを、これから王太子として身に付けなければと改めて思ったのだった。




