第20話 直球なイヤミ ★リオ SIDE
朝食をしっかりと食べ、カミルの執務室に向かう。
途中で派手なドレス姿の女性とすれ違った。
「仮病で殿下の気を引くなんて最低ね」
ハッキリと聞こえる小声だったが、敢えて聞き直す。
「何か仰いました?」
振り返ると、キッと睨まれる。
「殿下に振り向いて貰うために仮病を使うなんて図々しいって言ったのよ」
「振り向いて貰うためですか?私と殿下は既に相思相愛ですが?」
「ハッ!召喚が行われてからまだひと月も経ってないのに相思相愛ですって?わたくしは30年もお慕いしてるのに!」
「そう言われましても……カミル殿下には、ずっと一緒に居て欲しいと言われましたもの」
「な、何ですって!?」
掴み掛かろうとする女性に一歩退きそうになるが、グッと堪えて視線を合わせる。彼女の手が私に届く直前、「何事かな?」と声が聞こえた。
「カミル殿下!この女がわたくしに暴言を吐いたのです!」
キョトンとしてしまう。暴言を吐かれたのはこちらだ。
「何を仰っているのやら……?」
私は眉を下げ、首をコテンと倒す。
「あんたがわたくしに暴言を吐いたでしょう?!カミル殿下に好かれたいからって無様だわ!」
無様なのは貴方でしょうと言う言葉は飲み込む。困った顔をしていると、カミルが女性を押し退けて私の前まで歩いて来て、手を差し出した。何がしたいのか分からず、スッと手を乗せる。
「愛しい僕のリオ。体調が戻って良かったよ。具合が悪いのに、何度も部屋に行って悪かったね。どうしても君の顔を見てから眠りにつきたかったんだ」
私の手を軽く握り、少し持ち上げて口づけを落とす。
それを見た女性は怖い顔で私を睨みながらワナワナしてる。
「その女はわたくしに暴言を吐いたのですよ?!」
カミルはゆっくり振り返り、女性を睨む。
「リオが貴女に暴言を吐く理由がありません。私はリオを心から愛してますし、それをリオにも伝えておりますから、嫉妬する必要もありませんしね?」
女性はキッと私を睨むと「失礼します!」と去って行った。呆気に取られていると、カミルに下から覗かれた。
「大丈夫?今度からは行き先が執務室だったとしても、侍女を連れて来た方が良さそうだね……」
「えぇ、侍女を連れて歩く事にするわ……」
「何か言われた?」
カミルに手を引かれ、執務室に向かいながら話す。
「えっと、彼女が30年もカミルに片想いしてるって言われた事ぐらいしか覚えて無いわね」
「そうなんだね……」




