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第186話 迷惑な招待客とリズ ★リオ SIDE

 ふと時計を見ると、もうすぐ昼食の時間ね。食事した後はカミルとお散歩デートの予定だもの、張り切って執務も終わらせたわよ!


「ふふっ、今日は落ち着きが無いわね?リオ」


「もぉ……リズ、分かっていて言ってるでしょう?」


 じとっとした目でリズを見つめると、楽しそうにコロコロ笑いながら嬉しそうに話し掛けて来た。


「ふふっ、もちろんよ。殿下と久々に庭園を散歩するのでしょう?仲睦まじくて羨ましいわね」


 キースとリズも色んな所でデートしてるって、カミルが自分の事の様に喜んでいたのよね。


「えぇ?リズもキースとしょっちゅう色んな所でデートしてるって聞いてるけど?」


「リオ様、違いますよ。リズ様が羨ましがっているのは、もうすぐ結婚出来る事と……相変わらずラブラブな事にですよ?ふふふ」


 確かに、カミルの結婚式が終わるまでは補佐官達も忙しいだろうから、リズ達が結婚するとしたらその後になるのかしら?


「え?あら?そう言えば、リズ達は結婚式の日程とか決まっているの?」


「まぁ、そうね……リオとカミル殿下が結婚したなら、そう遠く無い未来に結婚すると思うわ」


 はっきりした日時は決まって無いって事かしらね?私ばかり浮かれていて申し訳無かったかしら?でも、カミルと仲が良い事を、リズ達はいつも喜んでくれるわよね?


「ふふふ。リズ様の場合は立場や血筋を見ても、子供が側近になる可能性も高いですからね。キース様とクリス様は、カミル殿下が結婚した後ならいつでも結婚できますから、本来ならそれなりに急ぐのではないでしょうか?」


「まぁ!それじゃあ、私の結婚式で忙しいのに、自分の結婚式も準備しなければならないのではなくて?」


「あぁ、そこは問題無いのよ、リオ。キースが言うには、カミル殿下が新婚生活に慣れたであろう2年後を予定はしてるみたいね」


 決まってはいるみたいね?30代の時には婚約したと聞いているから、20年以上も婚約状態だったのよね。この国では主が結婚しないと結婚出来ない感じ?それが普通なのかしらね?私の立場だと聞きづらいわ……


「じゃあ、どうして浮かない顔をしているの?もっと早くに結婚したかったとか?」


「ええとね、そうじゃなくて……」


「リズ様、リオ様にだけは正直にお話しなさった方が良いと思いますよ?」


 あら?その言い方だと、ニーナは知ってるのね?


「…………そうね。リオ、あのね、結婚式に招待されているお客様に口説かれていて困っているの。清廉潔白でいる必要があるリオの側近なのに、これではいつ足元を掬われるか……」


「それはキースには話してあるの?」


「いいえ、話してないわ。キースは今、自分の主の結婚式を成功させる事に集中しているから、わたくしが邪魔をしたくないの」


「じゃあ、この話しは私に任せてくれるかしら?リズの主として、貴女を全力で守るのは私の仕事だもの」


 キースの事もあったのだろうけどね。結婚式の主役であり、準備で忙しくしている私に手間を掛けさせないために、今まで言えずにいたのでしょうね。だからこそ大した事は無いとウインクをしておどける私の背中に、リズが抱き着いて来た。


「ごめんね、リオ……こんなに忙しい時にわたくしの所為で時間を取らせてしまうわ」


「リズ、これは貴女が悪い事をしたから起こった事ではないでしょう?いつも頼らせて貰っているのだから、たまには私を頼ってよね」


「ええ。ありがとう、リオ」


 それから私はカミルが迎えに来てくれるまでの間、リズを口説いて来る客の情報を聞いていたのだけど。口説いて来る者は1人では無かったみたいで、リズも相当疲れてしまった様子。私は何も言わず影の長に視線を向け、しっかりと頷くのだった。


 ⭐︎⭐︎⭐︎


 コンコンと軽快なノックの音が響いた。当然、扉の向こうに立っていたのは婚約者のカミルだ。私はリズとニーナに見送られ、カミルにエスコートされながら、城の庭園に向かう事にした。向かいながらでも報告は出来るからね。私は早速、無詠唱で防音膜を張った。


「ん?防音膜かい?」


「ええ。ちょっと相談と言うか、報告があって」


「どうしたんだい?」


 カミルはいつも余計な事を言わずに、本題をちゃんと聞いてくれるのよね。私が防音膜を張ったから、急ぎだと思ったのもあるかもだけどね。


「リズが私達の結婚式に招待されている者達から口説かれているらしいのよ」


「あぁ、キースが結婚式の準備を張り切ってやってくれているから言い出しにくかったのかな……」


 さすがはカミルね。キースの事も、リズの気持ちや考え方も分かっているから人を思いやれる言葉を紡げるのでしょうね。


「ええ、そうみたいなの。キースの邪魔をしたくないから言いたくなかったみたい。でもこのままでは、私に迷惑が掛かるかも知れないからと、さっき相談してくれたのよ。それで、誰が口説いているのか詳細を聞いておいたわ」


「さすがリオだね。それで、誰だったんだい?者()と言っていたから、複数人なのだろう?確かにリズは綺麗な顔立ちをしてるとは思うけど、リズだけに複数人って言うのが気になるね。罠かもしれないし、慎重に調査しないとだね」


「さっき、影の長にお願いしておいたから早速調査を始めていると思うわよ?恐らく公爵様にも話は伝わっているのでは無いかしら?」


 実はあの時、爺やも物陰にいたみたいだったから、私がやるべき仕事は全て爺やがやってくれているでしょうしね。


「あぁ、確かに影達に任せた方が良さそうだ。こちらには監視カメラもあるし、証拠集めには困らないだろうからね」


「ええ。彼らに任せて大丈夫だと思っているのだけど、一応カミルにも報告しておこうと思っただけなのよ。キースの婚約者でもあるし、私の側近でもあるからね。何かあってからでは遅いでしょう?」


「あぁ、そうだね。報告をありがとう、リオ。こんなにも沢山の人が出入りしていると、まだ問題になっていない事まで全てを隈なく把握するのは難しいからね。とても助かるよ」


 それはさすがにカミルでも無理でしょうね。ソラ達なら可能かも知れないけど、報告する量が多過ぎて、対応が間に合わないからどうしようもないのでしょうけどね。


「私は大事な親友であるリズが困っていたから余計に素早く動いただけよ?ふふっ、感謝するのは私の方だわ」


「ええ?僕は今回、何もしてないよ?なのに感謝してくれるのかい?」


「そうね、直接的には関与していないのかも知れないけど、カミルが私を信じて大事にしてくれるから、周りの人達も私の言う事を信じて動いてくれるのだと思っているわ。私には影達を動かす権限も無いのに、何も言わなくても動いてくれるもの」


「そういう風に考えてくれていたんだね、リオは。僕がリオを信じられるのも、大事に思っているのも、リオの行動や考え方までも好きだからだよ。そんなリオだから、僕はリオを愛する事が出来たんだと思う」


 カミルは相変わらず、嬉しい事を言ってくれるわね。少し照れながら、もうすぐ庭園に着くから防音膜を解除して、久しぶりのお散歩を楽しもうと思っているわ。

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