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第121話 ソラ大活躍 ★リオ SIDE→ソラ SIDE

 ソラの転移魔法で部屋に戻って来ると、侍女のリリアンヌとマリーが笑顔で出迎えてくれた。精霊2匹を連れていると、モフモフパラダイスだもんね。


「リオ、早く座って〜。オネーちゃん、リオにお茶貰える〜?シルビー、リオの膝はオイラの定位置だから〜」


「あらあら。ソラはどうしたのかしら?今日は何だか忙しいわね。シルビーは理由を知ってる?」


「さぁ〜?さっきのお話しの続きが聞きたいんじゃ無いかなぁ〜?」


「さっきの?あぁ、明日の予定ね?明日は爺やと相談をするのよ。魔道具の件が落ち着いたら作りたい物があって、それの相談ね」


「誰かにあげるプレゼント〜?」


「あら、何故分かったのかしら?」


「そうで無ければ、内緒にする必要が無いからだよ〜」


「必然的に、カミルへのプレゼントだって分かるけどね〜」


「なるほど、ソラもシルビーも賢いわね。隠して置けないから困っちゃうわ」


「リオ、隠さないでオイラ達には教えてよ〜。そうすればカミルにバレない様に、こっそりお手伝いも出来るんだよ〜?」


「そうね?ソラ達にまで内緒にする必要が無いわね?」


「うん、そうだよ〜。ジーさん達に話すのなら、オイラ達が知るのも時間の問題だったけどね〜」


「あ!そうね……ソラとは常に一緒に行動してるんだから当然よね」


「そっか〜。じゃあボクは王子様の報告を待つかな〜。リオ〜、危険な事はしないんだよね〜?」


「えぇ、全く危険では無いわよ?」


「それじゃ〜良いや〜。ボクはカミルの所に戻るね〜」


「あら、ソラと遊んで帰らなくて良いの?」


「うん、じーちゃんにも聞きたい事があるから、今日は帰るね〜。おやすみ〜」


「「おやすみー」」


 シルビーはポンっ!と消えた。転移したと分かっているんだけど、たまに驚いちゃうのよね。この世界に来て随分経ったと思うんだけど、まだ慣れない事も多いわ。


「ソラ、シルビーは何を気にしてるのかしら?」


「恐らく、カミルの過保護を手伝ったんだろうね〜」


「過保護を手伝うの?」


「そうだね〜。カミルも(たま)に面倒だからね〜……」


「ふぅ〜ん?まぁ、良いわ。ソラはダンジョンって行った事無いんだったわよね?」


「うん。行く必要性が無いからね〜」


「私、素材を取りに行きたいのよね。爺やは余裕だとか言ってたから、私も狩りしてみたいわ」


「リオ〜、ダンジョンに行く相談をするつもりだったの?それは危険な部類じゃないかなぁ〜?」


「ほとんど危険は無いって聞いたわよ?私とリューとサイラスと爺やとソラの5人のパーティーで行くわよ!」


「あ〜、確かに戦力過多だね……」


「素材に詳しいと思われる、爺やかデュークは連れてくでしょう?で、私の護衛はついて来るでしょう?後はソラを連れて行くからこうなるのよ」


「取り敢えず、危険な場所に行くけど、ほぼ危険は無いだろうって事は分かったよ〜。それでリオは何を作りたいの〜?」


「指輪とブレスレットよ」


「え〜?既製品で良くな〜い?それか、街に買い物に行ったら〜?」


「ソラ、私お金持って無いのよ」


「え〜?本当に〜?」


「えぇ。城の中に居たら必要無いしね。侍女達にお菓子とかもお願いすれば買って来てくれるし、使った分はカミルに請求してくれるから、私がお金を持つタイミングが無かったのよ」


「もしかして、この世界のお金を見た事無いとか〜?」


「え?あー、えぇ、そうね。見た事無いと思うわ。あ!婆やがお小遣(こずか)いくれたから、少しはあるかも。リリアンヌ、緑色の巾着(きんちゃく)袋は何処にあるかしら?」


「今、お持ち致しますね」


「ねぇ、リオ〜。あれだけ王国に貢献してるのにお金貰って無いの〜?」


「だって要らないもの……」


「指輪だって、買えるんだよ〜?」


「あぁ、作ろうと思ってる指輪は特殊なのよ。ついでに結婚指輪にして、カミルに日頃から持って貰おうかなって思っているの」


「そうなの〜?どんな指輪なのか気になるよ〜」


「大した事は無いわよ?精霊と契約すると亜空間を持てるじゃない?あれは精霊が近くに居ないと駄目でしょう?精霊から魔力を貰って開くからね」


「あ〜うん、そうだね〜……言いたい事は分かったけど全部聞いておこうか〜」


「それで、指輪を媒体として、精霊が近くに居なくても亜空間を開ける魔道具を作れるってコテツさんが資料を残していたから、何かあった時の為に作ってあげたいなって思って」


「なるほど〜。ブレスレットもペアなの〜?」


「えぇ。指輪だけでは厳しかったみたいで、ブレスレットの装置に補助させる事で使える様になったと書いてあったわ」


「それって、本人に会えるんだから、今度聞いてみたらどうかな〜?もっと良いのが作れるかもよ〜?」


「そうね!それは良い案だわ。もっと良い物が出来るかも知れないしね。爺やにもまた相談しなきゃだわ」


「ね〜、リオ〜。何で急に指輪なんて作ろうと思ったの〜?」


「それは……この前プロポーズされた時に、とても素敵な指輪とネックレスを貰ったでしょう?私も、その……カミルにも私があげた物を持っていて欲しいって思ったのよ」


「なるほど〜、それなら納得〜。リオもカミルが大好きだよね〜」


「まぁ、そりゃ〜ねぇ?あんなイケメンに毎日耳元で口説かれてたら、誰でも堕ちる気がするけどね……」


「あ〜、それも分かる〜。まぁ、カミルが先に惚れたみたいだし、結果オーライなんじゃない〜?」


「ふふっ、そうね。今はカミルが私を好きになってくれて良かったと思っているわ」


「それは良かった〜。リオ、オイラは少しお出かけして来るけど、もう寝ちゃうかな〜?」


「えぇ、そうね。横になったら直ぐにでも寝れそうだから、今日は寝ちゃおうと思うわ。リリアンヌが巾着を持って来てくれたら、確認してから寝るわね」


「りょ〜か〜い。また明日ね、リオ。良い夢を〜」


「ありがとう、ソラ。おやすみ」


 ⭐︎⭐︎⭐︎


★ソラ SIDE

 ポンっ!とオイラが移動して来たのは、この国の王様の所だ。さすがに全くお金を渡して無いのはマズいと思うから進言しに来たのだ。


「ん?ソラ?どうかしたのかい?」


 ちょうど良いね、カミルも居た。シルビーはオイラの機嫌を知ってか、カミルの膝で伏せている。


「おぉ、ソラ殿は1人で来たのかな?何か言いたい事でもあるのかい?」


「カミル、王様〜、リオがお金持って無いのおかしいと思わない〜?」


「「えっ?」」


「リオ、買い物したかったみたいなのに、お金持って無いから、自分で作ろうとしてたよ〜。頭が良いから、何でも()(よう)があるんだよね〜……」


「はっ!本当だ……リオにお金を渡した記憶が無い!」


「何と!まぁ、城から出してあげられなかったからな。そろそろ城下で買い物ぐらいはさせてあげたいなぁ」


「そうですね……リオに予算は組んでありますよね?」


「召喚された者達には全員、予算が組まれてるハズだからな。どうなっているんだろうな?宰相を呼ぶか」


 さっさと確認して、次に進みたいよね。宰相ってあの侯爵か……魔力の色も綺麗な透き通った青だからあまり話した事は無いけど良い人なんだよね。


「そうですね。影にお願いしましょうか」

 

「あ、オイラが行って来るよ〜。ちょっと遠くにいるみたいだから、ついでに連れて来るね〜」


 王城って広いんだよね。馬車から降りた所みたいだ。ニンゲンの足では往復20分程度。待てないね。


「あぁ、よろしく頼む……行ってしまったな……」


「ソラは少しせっかちですからね。きっと直ぐに……」


 ポンっ!と宰相の腕に巻きついたオイラが現れたから、きっと少しは驚いたよね?オイラ早かったよね?


「そ、ソラ殿、御苦労だったな。あっという間で驚いたぞ?」


「わ〜い。褒められた〜」


「へ、陛下、どうなさいましたでしょうか?」


「あぁ、ノルト侯爵、すまんな急に呼び出し……(さら)ってしまって?」


「えぇ、驚きましたが急ぎだろうと思いましたので」


「そうそう、召喚された者達の予算を知りたくてな?どうやらリオは一度も貰って無いみたいなのだ」


「え!?既に3度は配ってあるはずです。第二王子の元婚約者なんて足りないと何度も請求されて、5度は出しましたからね」


「1度につき、どれぐらいの額を渡しているのだ?」


「金貨30枚ですね。衣食住は揃っておりますから、充分な額だと思いますが……」


「あぁ、悪くは無い額だね。それも3度だから金貨90枚。リオの金貨は何処へ消えたのだろうね?」


「ね〜、カミル〜。金貨1枚で何が買えるの〜?」


「あぁ、精霊もお金の価値は分からないよね。金貨1枚は銀貨20枚、銀貨1枚は銅貨10枚で、銅貨1枚でパンや露店の飲み物が買えるくらいだね」


「えっと、金貨1枚でパンを200個買えるの〜?」


「そんな感じだね。ソラは計算も出来るんだね。凄いなぁ」


「うん、最低限はね〜。騙される精霊も居るから〜。平民は金貨何枚で1ヶ月暮らせる〜?」


「夫婦2人暮らしなら金貨3枚で生活出来るかな。子供が居ても金貨5枚もあれば余裕だと思うよ。まぁ、普通に出回ってる硬貨は銀貨が多いから、銀貨60枚から100枚で暮らしてるって感じだね」


「なるほど〜。金貨90枚なら、18ヶ月……子供のいる家庭が1年半は暮らせる金額が行方知れずなんだね〜」


「それは大事(おおごと)ですな。第一王子にも念の為に確認を取っておきましょう」


「侯爵、第二王子の元婚約者だけが貰ってるのを確認出来ているって事なのか?」

 

 侯爵は額から大粒の汗を流し、真っ青な顔で頷いている。


「ソラが教えに来てくれなければ、これからもずっと不明だったかも知れないなんて恐ろしいね……王太子妃になれば、予算の額も増えるだろうし」


「オイラは、王国にあんなに貢献してるリオが無一文だった事に対して文句を言いに来たんだよ〜」


「そうだったな。ソラ殿、申し訳無かった。確かにリオからは言いにくい内容だろうから、ソラ殿が怒って言いに来てくれて助かった。これ以上、リオが(あなど)られる事が無い様にするから許しておくれ?」


「王様がそう言うなら信じるよ〜。リオはオイラの大事な契約者だからね〜。カミルや王様であっても許せない事は文句を言いに来るからね〜」


「勿論、来てくれて構わない。ソラ殿が教えてくれたから、今回のこの問題も明るみに出たのだからね。我々からしたら、とてもありがたい事なのだよ」


「改善する気はあるんだろうから……オイラは許すけど、少しはリオにお金ちょうだい〜。侍女にお菓子買って来て貰うだけなんて、リオが可哀想だよ〜」


「え?リオに買い物に行かせるの?」


「はぁ〜、カミル……女の子は選ぶのも楽しいから好きなんだよ〜?リオは自分が外に出れないって分かってるから我が儘言わないけど、リズ達とお買い物行って、自分の好きな物を選んだり、贈り物をしたい気持ちもあると思うよ〜?」


「あぁ!そうだね……失念していたよ。女の子は城下で友達と買い物したりするのが好きだったね。待ってる男は暇でしょうがないって聞いていたけど、女の子は選ぶのが楽しくて時間が掛かるだけなんだね」


「そうそう〜。ただでさえ城から出れない日が多くて暇なんだから、たまには楽しいって思える日を作ってあげても良いんじゃ無いかな〜」


「うん、そうだね。図書館の本はほぼ全て読んだらしいから、余計に暇になってしまったのだろうね。古文書も全巻読み終えたみたいだし、確かにやる事が無いよね」


「お、おぃ!ちょっと待て、カミル。リオは古文書も全巻読み終えたのか?古語のアレの事だよな?」


「はい。ソラに難しいから辞めとけばって言われたのが逆に読んでみたくなったらしく、ひと月ぐらいで読み終えてましたね」


「た、たったひと月ですか!?」


「侯爵、私も驚いたが……リオ達の勉強は、全て侯爵が最終的にテストして判断したんだったよな?」


「あ、はい。リオ様の成績は、ほぼ独学でしたが学園卒業レベルはありましたので、賢く理解力がある事は存じ上げておりましたが、古語すらも……ここまでとは思いませんでした」


「あ〜、その程度で吃驚(びっくり)してたら毎回ひっくり返っちゃうよ〜?」


「そうだね、リオはその程度は『朝飯前』だよね」


「そ、そうなのか?」


「彼女の限界は計り知れませんな……」


「ま〜、リオは王妃になるんだから、もっと丁重に扱うべきなんじゃ無いの〜?」


「ん?ソラ?どうしたんだい?」


「ここは王国だから、精霊の耳は数少なくて情報収集が思う様に上手く出来ないんだけどね〜。それでもオイラやシルビーは王国での情報収集はしてるよ〜。そして帝国の精霊達は王子であるオイラに情報を持って来てくれるんだけど〜、王国のニンゲンにも愚かなのが居るみたいだからね〜?ちゃんと探して処分してくれる〜?」


「…………それは、ネズミが居ると?」


「そうだね〜。そんなに可愛く無いけどね〜。頭の金色なネズミだって言ってたよ〜」


「「「え?」」」


「普段からちゃんと確認してるの〜?あの塔。隔離してるだけじゃ、駄目なんじゃ無いかなぁ〜」


「アラン兄上が?」


「侯爵!」


「直ぐに確認して参ります!」


 慌ただしく扉から出て行った侯爵は、その先で転んだらしく、ドテッと言う音が聞こえた。今更慌てても仕方ないのにねぇ。


「ねぇソラ、今日少し苛々(いらいら)してたのは、これの所為(せい)だったのかな?」


「やっぱりカミルもリオも気付くんだね〜。アレはリオに怪我を負わせた元凶だから嫌いなんだ〜。リオは何となく分かってるぐらいだからはぐらかして来たけど〜」


「ソラ殿、申し訳なかったな。少し平和ボケしてる様だ。王国を守る為にも、王国の民を守る為にも、もっとしっかりしなければだな」


「折角リオが『練習装置』を作って、全体的に強くなってるんだから、もう少し考えて人員の配置を変えたら〜?」


「あぁ、それは思っていたよ。僕の補佐官は足りてるけど、リオの補佐官や側近を護衛出来る人間から配置させたいと思っているんだ」


「早めにやった方が良さげだよ〜。カミルとリオが帝国の方に居る時間が長いと、王国側にネズミが増えるみたいだね〜」


「そうか……休み返上して考える事にするよ。僕の最優先事項はリオだからね」


 明日から婆やの屋敷に行くリオとは中々会えないだろうけど、この王国で1番安全な場所に預けられるんだから、安心して働いて欲しいね。


「ふふっ、そんなカミルだから安心して任せられるんだけどね〜。オイラの期待を裏切らないでね〜」


「ごめんね、ソラ。そんなに怒らないで?必ず王国の黒幕も直ぐに見つけて見せるからね」


 オイラは軽く右手を上げて、カミルからフィっと視線を外してリオのベッドへ戻った。リオは良く眠っている。すぅすぅと小気味良いリオの呼吸音を聴きながら、猫らしく丸まって眠るのだった。

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