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銀河の果てで  作者: 天河 礼昴
ナカマと魔物と
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ルドロフィ・パニック

「シナロワサン…いい加減休んだ方が良いのでは…」


「あと少しだから。それまで…休めないんだ」


「シナロワサン…」


 ボクはあれからと言うもの、ルドロフィの基地の工房に篭り、作業を続けている。ルドロフィは心配してくれているが、ボクがCN-1131にいた頃では三徹くらい当たり前だったし、寧ろそのくらいの方がボク的にも作業が(はかど)る。


「あー…ルドロフィ?今日も飯は朝の分だけでいいから。本当に、ボクのことは気にしないで」


「…アトどのくらいで出来るんデスカ?」


「このノズルをくっつけて、メドロの動力の調節と発射時のブレの変動を無くすために___」


「イッパイアルジャナイデスカッ!」


「……?」


「ワタシはもう、シナロワサンしか頼れる人は居ないんデス。シナロワサンはワタシにとって、大切な人ナンデス…。ドウカ、ドウカそれ以上、無理しないでクダサイ…」


「…分かったよ」


「ホントデスカ!?デハ早速…!今日は大盤振る舞いデスヨ!ワタシの星の三代珍味と呼ばれる___」



 翌々日。ボクは気が付かぬうちに眠ってしまったようで、目が覚めた時にはボクはルドロフィが貸してくれている布団の上にいた。


「アイツ…迷惑かけちゃったな……」


 そっと布団から身体を起こすと、眩い日差しに目を細めながらルドロフィがいるであろう、広間へと向かった。


「ルドロフィー、この間は迷惑かけてごめんなー?でも今日はもう元気いっぱいだから、久しぶりに二人で外に___」


 ボクが広間に向かって声を放った、その時だった。目に飛び込んできたのは、うつ伏せに倒れ込んでいるルドロフィの姿だった。唐突に意識をなくしたのか、手にしていたのであろうその料理は辺り一面に飛び散り、派手に割れた食器の破片が部屋の角まで飛散している。


「おい…!おい、ルドロフィ…!!なんとか言え…!」


「ウゥ…」


 グッタリとした様子のルドロフィは、うめき声は上げたもののそれ以上は何も言わず、それっきり一切動かなくなってしまった。


 それからと言うもの、ボクは初めて看病と言うものをした。と言っても、ルドロフィは目を覚まさず、食事もできない状態なので、温冷機(おんれいき)で彼の状態の適正温度にセットしておいたり、ボクの端末の指示に従い、栄養剤を作って投与したり。CN-1131のものを使ってるから安心…とは言え、中々目を覚まさないルドロフィを見ると、段々と不安になってくる。


「大丈夫かな…」


 すると、端末にアークから着信が入る。


「あぁ、久しぶりだな、アーク。起きたか」


「久しぶりだな、じゃないですよ。シナロワ。私はとっくに起きてます。あなたの帰りを待っていたのに、ずっと帰ってこないので心配していたのです。いつ帰って来るのですか?」


「あぁ…。そうだったのか…ごめんな。でも、今はまだ帰れないんだ。今、この星で会った原住民のヤツと協力してるんだけど、ソイツが急に倒れちゃって…。ボク……もう…誰にも死んでほしくないんだ…」


「…シナロワ。ゲルザックは持っていますか?」


「え?うん…バックパックの中に入ってるけど…なんで?」


「どうせあなたのことです。どこかシェルターなりテントなり廃墟なり…なんらかの場所に住まわせてもらってるのでしょう?シナロワは迷惑しかかけないんですから、その場所ごとゲルザックに入れて持って帰って来てください。看病は手伝います」


「アーク…」


「感動してないで早く支度してください。それと、その相手の方は病人なのですから、帰って来る時はスクーターのスピードは落とすのですよ」


「あ…はい」


 そしてボクは急いで支度を済ませると、アークに言われた最低限のスピードを守りつつ、出来るだけ早く帰った。


「ただいま!アーク…ベッドは…」


「奥の部屋に。静かな方がいいでしょう?」


「ありがとう!」


 アークは倉庫となっていた部屋を広い寝室に改造してくれたようだった。そのお陰かベッドで静かに寝息を立てるルドロフィはどこか安心しているような顔をしていた。


「ゆっくり休めよ、ルドロフィ…」

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