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銀河の果てで  作者: 天河 礼昴
ナカマと魔物と
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星のタマシイ

 オイルの回収が終わり、ボクたちは荷物を纏め、帰り支度を済ませた。MHRA-224の化学では今回収したオイルは手で持って運ばなくてはならなかったのだが、有難いことにボクたちのCN-1131の化学では四次元空間へと繋がっているバックパックがあるため、どんなに重たく大きなものでも運べる。…流石に、戦艦とかのサイズともなってくると口がそんな開かないので無理だが。


「さて。んじゃあ帰りますか。ルドロフィ。行くよ」


「了解デス。せっかくデスシ、ワタシの背中に乗って帰りマセンカ?」


「え?飛べるのか?落ちないか?」


「任せてクダサイ!」


 ルドロフィは自身げにそう言うと、ボクの前に伏せた。恐る恐るその背中に乗ると、つるりとした不思議な触り心地で、そのルドロフィの丸い背中もお世辞にも安定した乗り心地とは言えなかった。


「行きマスヨォ!しっかり捕まっててクダサイ!!」


「はっ?えっ!?」


 ルドロフィは勢いを付けると、風よりも早く、森の中を飛び抜けていった。


 それから間も無くして。ボクたちはルドロフィの基地へと到着した。一番風を受け、抵抗も大きかったはずのルドロフィは平然としているが、初めて生身であんな体感何百キロと言う馬鹿げたスピードで飛び続けたボクは、ルドロフィの背から降りる頃には産まれたての子鹿のようにフラフラになってしまっていた。


「だらしがナイデスネェ。それでも『オトコ』デスカ?」


「うるせぇ!この間ボクのスクーターに乗ってヘロヘロになってたヤツに言われたくないわっ!!」


「ソウデスカ。マァ今回は初めてデスシ、身体も驚いたのかも知れマセンネ。サテ。ソロソロ夕飯時デスシ、支度をシマショウカ」


「おうっ!飯だ、飯!」


 ボクは今日の調査を端末に(まと)めると、昼にルドロフィから渡された、「魔物の魂」の鑑定を進めた。推測としては、これはエネルギーの源となるもので、改築の際も「動力」として使用することができるはず。


「おーい。ルドロフィ。サンプルもう少し欲しいんだけど…いい?」


「イイデスヨ」


「ありがとう」


 しかし。この「動力」には一つ問題がある。


「さて…。じゃぁ今度は優しく…」


「オイ!キサマ!ナニ ジロジロミテヤガンダ アァ?トットト ヤメネェト ブットバスゾ!」


「あー…また始まった…」


 この動力の問題。それは、とにかくうるさい。元が魂というだけあって、なんと言葉を話すのだ。しかも、なぜか殆どが反発的。こんな動力、とっとと研究を終わらせて消費して、ボクたちの生活の役に立ってもらおう。


「オイ!キイテンノカ___」


「ルドロフィ。明日から早速設計に入るね!だからボクは篭りがちになると思うけど、ルドロフィはいつも通りに過ごしてもらって構わないからね。邪魔ならボクはアークの方で設計進めるから」


「了解デス!ワタシも、出来る限りのサポートはさせてイタダキマスノデ、何かアリマシタラいつでも呼んでクダサイネ」


「おう!サンキュー!」



 それから一晩明けて。ボクは早速魔物の魂、名付けて「メドロ」を使った設計を始めることとなった。初めに取り掛かったのが、基地の防衛システム。ルドロフィ曰く、魔物の出現率の少ない所に建てたらしいのだが、それでもたまに家畜にちょっかいを出したり、侵入しようとやって来る魔物がいるらしい。それをこの基地の防衛システムが護っていると言う。


「しかしなぁ…。これ撃つ時威力が分散されてるじゃんか。砲台に対して、入力されてるエネルギー量がデカすぎるんだよ、きっと。これじゃお前が一撃で倒せてた魔物も、脅かすくらいしか出来ないぜ?」


「ソ…ソウダッタンデスカ…。ドウリデ傷を負った魔物がチョコチョコいる訳ナンデスネ…。ドウスレバもっと強く___」


「簡単だ。ヴィランのと、同じのを付ける」


「…?」


「ボクの…かつての戦友だ。だが、威力がコイツとは桁が違いすぎる。閃光にして直接魔物に発射しないと、辺り一体が吹っ飛ぶ可能性…どころか、この基地も吹っ飛びかねない」


「ヒィィィィィ!!!!」


「けど、その砲台ならどんな魔物が来ようが、一撃で撃ち殺せる。どうする?造るか?やめるか?選ぶのはお前だ。ルドロフィ」


「ッ___ヤリマショウ!!お願いシマス!」


「分かった。ボクに任せとけ」

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