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銀河の果てで  作者: 天河 礼昴
ナカマと魔物と
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MHRA-224

 ボクはルドロフィに言われ、油田まで彼と共に渋々歩いていた。本当はスクーターで行きたかったのだが、ルドロフィに「メシ抜きの刑」に処されそうになったので、取り止めることとなったのだった。


 道中、更に話を聞いていくと、CN-1131に妙に似ているこの星はMHRA-224という名が付いているということが分かった。元々名が無かったこの星もルドロフィの雇用主の国王が付けたもので、その国王になってからは発展が一気に加速したという。その話は、あたかも数百年前のCN-1131の歴史を聞いているかのようだった。


「そうだったのか…。まぁなんにせよ、生き延びられて良かったな。生きてる内は必死にもがけば、大抵のことはなんとかなる」


「ソウデスカネ…」



 そうこうしている内に、油田のすぐそばまで来た。険しい山道を登って来たからなのか、途中で「飛びツカレタ」とか言って肩に乗ったルドロフィをそのままここまで連れてきたからなのか、ボクは肩で息をするほどだった。


「おい…っ!いい加減……降りろよ…」


「アア。スミマセン。ツイ、乗り心地が良かったモノデ」


「ツイ、じゃねぇよ…!」


 その時だった。突然側の茂みが音を立てたかと思えば、背後から「何か」が飛び出して来た。


「キタ…!」


 ルドロフィは鋭い眼光で獲物を睨みつけると一直線に獲物へ向かう。そして、己の身体に電光を纏わせるとそれを放った。


「ギャァッ!!」


 電光を食らった獲物は、地面に転げるとゆっくりと瞼を閉じていった。


「おい…なんだよ、今の…」


「魔物…デスヨ」


「元は…この世界の……?」


「エエ。かつてはココで平和に暮らしていたダレカナンデショウネ」


 ルドロフィは静かに目を閉じると魔物に手を添え、口の中で何かを唱えた。


「…辛い思いさせてごめんな。油田から基地までのマップはこの端末に記憶させて、魔物に会わないように地下トンネルを掘ろう。大抵の道具とかはアークに積んであるから問題ない!」


「イエ。ワタシなら大丈夫です。今マデも、何十…何百と仲間をコノ手にかけてキマシタカラ…。ムシロ気を遣わせてシマッテ、申し訳ナイデス…」


「大丈夫大丈夫!ほら、早く行こうぜ!アークが待ってる!」


「ハイ…!」



 それからボクたちは何度か魔物に出くわしながらも、なんとか油田にたどり着いた。魔物に出くわす度に、ルドロフィは電気を利用した攻撃で倒していくのだが、倒し方が少し独特だ。


 倒し方その一。電流を身体全体に流し、纏ってからのスパーク(体当たり)!倒し方そのニ。電流を纏い、己を軸として縦方向又は横方向に稲妻を発生させる。倒し方その三。電流を纏い、それを球状に溜めてからのスパーク!…一体、本当にコイツは何者なんだか…。


「そう言えば。お前、油田に着いたらボクに付き合ってくれる理由言うって言ってたよな?結局、その理由はなんなんだ?さっきの魔物が関係してるのか?」


「…サスガ。鋭いデスネ、シナロワサン。ソウデス。ワタシ一人ではウイルスの抗体は作れても、肝心なワクチンを作るコトはできてイナイ…。ナノデ、せめてもう一人、人手が欲しかった所ナノデス」


「別に研究の手伝いくらいだったらいいけど…。ボク、バイオなんて一つも分からないよ?」


「問題アリマセン。シナロワサンにはワタシには出来なかった施設の改築などをしてイタダキマス。アトハ…」


 ルドロフィはそう言うと、ボクの肩に留まり、羽を天高く突き上げた。すると、彼の羽の隙間から黒く、ふよふよとした塊が宙に浮き出た。


「コレハ、先程ワタシが倒した魔物たちの魂デス。コレヲ分析し、新しい抗体を作ったり、施設の改良に使ったりスルノデス」


「倒した後にしてたのは…そう言うことだったんだな…」


「エエ。コノ世は弱肉強食。ワタシが死ねば、二度とコノ星は救えませんカラネ。一度仲間には魂を預けてもらう必要がアルノデス。イツカの過去で、返すタメにも___」

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