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銀河の果てで  作者: 天河 礼昴
変貌
17/18

時をミツメテ

 今回はシナロワの回想シーンが主となっており、セリフ少なめです。


 文字が続き、少々目が疲れるかもしれませんが、ご了承ください。

 沈黙が続く中、黙々とボクたちは手を動かし続けていた。果たしてアークは意識を取り戻せるのか。仮に意識を取り戻せたとして、記憶はあるのか。何かエラーはないか。ボクの不安は、膨れるばかりだった。


「……ダイジョーブ。アーク、シナロワシンパイシテル。オレヨリ…」


「…?どう言うことだ?」


「オレ、シナロワカラニゲタ。デモ、アーク、ズット シナロワノソバ イタ」


「……逃げたって…。あれは…」


 ボクはあの当時のことを思い出す。


 当時のCN-1131は、毎年毎年増えていく税金や物価に耐え切れず、それに反発する国民からの激しい内戦が頻繁に起きていた。しかし、その抑制も年々険しくなっていき、遂には国家の防衛軍と国民の間での死者が度々出るようになってしまっていた。その報道を見たボクはエンジニアとして国民を守るための武器を作ろうと決意するが、その製作中に悲劇が起きた。アークアが、内戦に巻き込まれて死んだ。街外れで、国民と防衛軍が少数で争っており、最初は口論程度だったものの、最終的には言い争っていた国民が強制連行されそうになり、そこを止めたところを銃で撃ち殺されたと言う。その訃報を聞いたボクは、絶望から崩れ落ちた。なぜ、そばにいてやらなかったのか。なぜ、その時そこにいたのがボクじゃなかったのか、なぜ、もっと早く武器を作ろうと思わなかったのか。なぜ、なぜ、なぜ____


 それからボクは少しでも国家の秘密を探るため、国家専属のエンジニアになった。防衛軍の軍人はみんなロボットのように日々を送り、時に仲間が死んでも、涙一滴流すことは誰一人としてなかった。


 そんな日々を送る中、ボクはある日国家大臣から呼び出された。ついに人手不足もそこまで深刻化したのかと思いきや、大臣から要求されたのはAI知能が搭載された、銀河をも滅ぼせるような最強の戦艦を作れ、との命だった。その時のボクはどこか気が滅入ってしまっていたのか、快く承諾してしまった。


 そして誕生を遂げることとなった銀河最強の戦艦、ヴィランを製作する一方でボクはそのヴィランの製作に取り掛かっている工場の地下にアークの工場を作り、大臣や同僚たちに気がつかれないようにこっそりとアークの製作も進めた。そんなヴィランとアークのAI知能は、この内戦を宇宙一嫌っていて、宇宙一正義感の強かったボクの妹、アークアの頭脳を元に作った。記憶回線や、思考回線、妹の残っているデータを元に、全てを詰め込んだ。そして、アークには天に返すことさえも許されなかった、妹の(むくろ)も。


 それから月日は経ち、アークとヴィランはほぼ同時に完成した。アークの頭脳は、アークアが入っているということもあり、正常に作動するものの、ヴィランの方は大臣の意向で凶暴性を兼ねているせいか、かなり不安定だった。そして、あの惨劇が起きてしまったのだった。


 それからボクは、ヴィランの罪を被って国を追われた。しかし、当のヴィランは知らぬ間に星から発ち、気がついた頃には消えてしまっていた。それもあってか、余計に星の人々はボクを恐れ、反発した。そして、遂に耐えかねたボクは、隠してあったアークを連れ出して、共に星を出たのであった。



「___シナロワ?」


「…ううん。今、思い出してたんだけどね。ヴィランは確かにあの時やり過ぎたかもしれない。けど、ボクはそんなことで怒ったりしない。だってヴィランをそんな風にしてしまったのはボクだから。間違ったなら、やり直せばいい。その代わり、次、間違えないようにすること。そうすれば、お前はきっと変われる」


「…シナロワ…。オレ……」


「大丈夫。これからは、ボクとアークがずっとそばにいるよ」

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