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銀河の果てで  作者: 天河 礼昴
変貌
16/18

銀河の果てで

「ヴィラン…!どうしてここに…」


「オレ、アークカラ『タスケテ』ッテイワレタ。ダカラ、キタ」


「…そうか。聞きたいことは山ほどあるが、まあそれは目の前のやることを終わらせてからだな」


「オレ、アークタスケル」


「おう!任せた!!ボクはぁーーッ!!!」


 飛び上がるようにして身体を起こしたボクは、そのままの勢いでアークの船内にいるルドロフィの元へと飛び込む。


「「ウォォォーーーーーッ!!!!」」


「ナッ!?」


 ボクはルドロフィを巻き込むようにしてアークの船内に転がり込むと、ルドロフィをガシリと掴む。


「シナロワ…キミは……本当にシブトイネェ…」


 ボクと床に挟まれてもなお余裕の笑みを浮かべたルドロフィは、突然するりと幽霊のようにボクの身体をすり抜けると、船外へと逃げ出した。


「ここまでおいでヨォ!キミにボクが倒せるのカイ?」


 ルドロフィはボクを手招きながら笑うと、空いた手に電流を流した。


「早く来ないと、アーク、壊しちゃうよ?まずは___」


「やめろ!!」


 ボクは咄嗟に駆け出すと、ルドロフィに力を放った。すると。今までなら電流などの電気系統のものが出ていたのに、今度は炎が出た。


「ワチッ…!!ナニスルンダ!急に炎の魔法ナンテ…卑怯ダヨ…!」


「ボクだって意図的に出した訳じゃないし、アークを乗っ取った挙句、ボクの星を破滅させようとしてる奴なんかに言われたくないね」


 翼を焦がしたルドロフィは、怒った様子でボクを睨んだ。しかし、怒っているのはボクの方だし、その怒りはボクの方が絶対に大きい。


「もう、容赦しない」



 それからボクとルドロフィの戦いの火蓋は切られた。ボクが咄嗟に出した炎のお陰でルドロフィの動きは鈍り、戦いは互角。けれど、ヴィランの助けや慣れもあり、新たな魔法を生み出した。


「いっけぇぇーーーーー!!!!」


 ボクは力を込め腕を振るうと、その手からは(ぶっと)い光線が放たれた。それに加え、腕を突き上げると黒く染まった稲妻がルドロフィに直撃する。


「……ッし…!やったか…!!」


「___ソンナンジャ、ボクはヤラレナイヨ?」


 あまりのエネルギーの消費量にボクが息を整えていると、砂埃の中からルドロフィが現れた。多少傷は負っているものの、なぜかあれだけの攻撃を喰らったのにピンピンしている。


「どうして…」


「サッキは運が良かっただけダヨ。ソレじゃ、今度はボクから行かせてもらうヨッ…!!」


 ルドロフィは羽根についた埃を払うと、ボクに向かって突進してくる。勝てる手立てはもうない。どうすればいい?考えろ、考えろ___


「ルドロフィ、デンキ、ツヨイ。デモ、ホノオ、ヨワイ」


「それだ…っ!!」


 頭に響いたヴィランの言葉にハッとしたボクは、咄嗟に拳に炎を纏わせた。そして、目の前まで迫ってきていたルドロフィの心臓部に拳をのめり込ませた。


「グァァッ…!?」


「これで終わりだ。ルドロフィ」


 ボクは全身のエネルギーを拳に集め、のめり込ませた拳を強く、そして熱く、焦がしていく。


「ヤメロォ…!ヤメテクレェ……ッ!!」


「……」


「グァァッ…!ァァァッ!!!!!」


 身悶え続けるルドロフィだったが、遂に力尽き、倒れてしまった。そして、彼の身体から解き放たれた数多のメドロは銀河の果てへと光の粒となって消えていった。



 それから少し時が経って。支配が解けたアークは、ボクとヴィランの手によって破壊されたシステムの修復を進めていた。しかし、アークの意識は戻らず、星には機械的な音が響き、ボクとヴィランの間には静寂が訪れていた。

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