ナカマとは
ボクは居ても立っても居られず、ルドロフィの元へと駆け出した。
ルドロフィの基地へ着くと、もうだいぶ遅い時間だと言うのに、研究室の灯りが着いていて地下から何やら異臭が漂ってきていた。
「…まだ起きてるのか…?」
ボクはそっと基地に入ると、ルドロフィに気がつかれないように研究室へと潜り込んだ。そこで彼が行っていた研究とは、魔物化ウイルスの増殖とそれを利用した銀河征服計画のための戦艦設計だった。
「……ッ」
「シナロワ。そこにいるんデショ?出て来なヨ」
「ルド…なん……これ…」
ボクはショックのあまり、言葉も、身体も動かせずにいるとルドロフィはニコニコといつもの笑顔でボクに迫ってきた。
「驚いた?ボクの銀河征服計画!本当はもっと先マデ秘密にしておきたかったんダケド、シナロワが案外鋭いカラちょっと早めに教えるコトにシチャッタ!」
クルクルと踊るようにして飛ぶルドロフィに、ボクは唖然としながら部屋を見渡す。すると、部屋の隅の担架の上に何かが鎖でグルグルと固定されているのが見えた。
「…あれは…」
「あっ!見えチャッタ?アレはマダ秘密!そんなことよりサァ!シナロワ。キミ、今自分がどれだけの力を持ってるか知ってるカイ?」
「…?」
そう言ってルドロフィはボクの背中を押し、隣の部屋へと連れ出した。
「この部屋は、衝撃吸収機能が全ての壁に搭載されているんダ。吸収ツイデニ、ソノ力の大きさも計測してコノモニターに表示してくれる。試してみなヨ」
半ば強引に突き出されたボクは、渋々掌にエネルギーを流し、掌から打ち出す。すると、以前よりも大きな光の玉が高速で放たれ、壁の中へと吸い込まれていった。
「な…なんで…?」
「スゴイ、スゴイヨ!シナロワ!!見てよコノ計測機!」
興奮して抱きつこうとするルドロフィの顔を手で退けると、モニターに映し出されていたのは「計測不能」の四文字だった。
「スゴイヨ…!コンナノ、初めてダ…ッ!!」
「……うん、とりあえずわかったよ」
「ウン!」
「だが、一つ聞く」
「ウン?」
「ルドロフィ、お前は何者だ。何が目的だ」
「エエ?イマサラナニ?ボクのコト、全部わかっちゃったからわざわざコンナ遅い時間に研究室マデ来てくれたんじゃナイノ?」
「……」
「ボクはキミが死んだ後のキミ、つまり、来世のシナロワダ。幸いにも、キミの記憶を持って生まれたボクは、ヴィランを、愛する家族をボクから奪ったCN-1131のヤツらに復讐することにしたんだ。ソシテ、一人たどり着いたこの星で一から研究を進めて、星のヤツらを滅亡させるウイルスと時を移動できる船を発明したんダ。試しにこの星でウイルスをばら撒いたら、実験は成功。こうしてボクとキミが話せているのも、ボクが船で時を超えて来たからサ」
「来世の…ボク…。復讐…」
「アア。ケド、船が故障しちゃって……。ダカラ、コウシテ会いにくるキミに星まで送ってもらおうと考えたんダ!ドウ?中々良い計画デショ?」
「ボクは…そんなの、望んでないよ……」
「エ?」
「ボクはそんなの望んでない!ルドロフィが来世のボクなんだったとしても、このボクは復讐だとか、征服だとか、そんなの望んでない!!そうしたいのは全部、キミだけだ!」
「…フフフ…。フフフフフフフ!!本当にキミはオモシロイネッ!じゃあキミとは、『サヨナラ』ダ」