一番古い記憶
ここから影の話が始まった――
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私は、不自由ない、中流層の家庭に生まれ、家族四人楽しく生きています。両親も働き者で、ありがたく育てていただきました。離婚もなく、今も元気に生きています。本当にありがたいことです。
――幼稚園時代
幼稚園時代の私は、まさにガキ大将とでも言いましょうか、とにかく自分中心に世界が回っていると本気で思っていました。気に入らないことがあるときは暴力に身を任せ他のもをねじ伏せていました。まぁとにかく困った子です。
ですが、幼稚園からの課題は一番でこなし、気が向いたらお友達にも教えてあげるそんな優しい一面もありました。
他者への意識も今とはずいぶん違います。他者など虫ケラ同然だと本気で思っていました。楽しいか、楽しくないか。恥ずかしながら、それが唯一持ち合わせていた思考回路でした。
唯一できないことがありました。音楽です。幼稚園では音楽会で鍵盤ハーモニカで課題曲を発表するのですが、それが全くできないのです。何回教えてもらっても譜面は全く読めるようにならないし、白と黒が連続して同じように見える鍵盤のどこをどのような順番で押せばいいのか全くわかりませんでした。これが初めての挫折です。
今まで馬鹿にしていた他者の足を引っ張っている感覚、プライドがズタズタに引き裂かれる音、感触。本当に不快です。この挫折が、この感覚がずっとまるで生傷のように今も心に残っています。
できることならこの時間まで戻りたいのです。
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――ギョッとした。今まで影の話を椅子に腰掛けて聞いていたはず。
それなのに幼稚園の園庭の真ん中に立っている。園庭に向けれれた屋外スピーカーから『天国と地獄』が流れ、運動会が開催されている。
一体なんなんだ。
自分の我が子のベストシーンを求め、必死で応援する保護者をかき分けて、園庭の隅に移動する。
大きな木が園庭を囲むように植えられており、その下には観覧席として、ブルーシートが敷き詰められていた。ちょうど良い木陰になっていて、少しここで休もうと腰を下ろす。
あぁ、懐かしいなぁ。ここが通っていた幼稚園だ。
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