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ああこの大気の水底に沈む我々は
ああこの大気の水底に沈む我々は
いっときの酒にまどって
家路は暗く
対岸の火事は
明るくぼうっとして
雲間から漏れ出す月光のよう
あつくうずくこの胸は
しんせんな酸素を求めて徘徊する
横をすり抜けた二輪車
錆びてつぶれぬかと心配して
深く天上を見上げれば厚い雲
その広さに息が詰まるようで
まとわりつく粘性の何かに
身体が重く、じれったい
黒い並木のシルエットは
きっとその背後に悪意をかくしている
街灯を映して鈍く明るくとろとろと流れる水よ
素知らぬ顔して流れるかわよ
夜の夢を溶かして大海へとつなぐその役目は
さぞ重いことだろう
さぞ切ないだろう
ぬらぬらと恨めしげなその水面が
何よりの証拠だ