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錬金術使いの異世界美容師  作者: 伽藍 瑠為
2章「過去編」
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「傷つけた絆」

「傷つけた絆」





その時、ジムは目覚めて一言呟く。



「……あ……間に合わなかったのか……」



起き上がり、改めて状況を確認し、牢獄ろうごくに入れられたのだと理解する。

ジムは後から来た師匠達に眠らされ、ここへと幽閉された。



「まぁ……この程度で済んだのはいい方か」



その時、ジムに声がかかる。



「頭は冷えたのかしら?」



声の方を向くと、鉄格子てつごうしを挟んでプロンがいた。



「随分と知らない間にとんでもない魔法を覚えてたみたいじゃない?」


「ええ……まぁ……」


「あれはやり過ぎよ?」


「はい……」


「キリオ君じゃなかったら死んでいたかも……それにアインメイデンを三つも出すなんて……とんでもない話だわ」


「正直、キリオだから手加減が出来ませんでした」


「惨状を見ればわかるわ……しかし、学園ごと吹き飛ばしかねなかったわよ?」


「頭に血が上り、火力を間違えました」


「キリオ君の話だと聖級に近いらしいじゃない? それを無詠唱で行ったとか?」


「アンに絞りを教わり……あそこまで火力を出せるとは僕も思ってもみませんでした」


「弟子として誇らしいわ」


「さっきからなんなんですか?」


「なにがかしら?」


「……褒めたいんですか? 怒っておられるのですか?」


「その両方ね」


「何がしたいんですか?」


「私の弟子がすごい事をした事を褒めているのよ。しかし、やり過ぎと注意している……何か変かしら?」


「いえ……変ではありません」


「そういえばプロキオン国は無事に帰ったわ」


「ええ……そうでしょうね」


「まだ追いかけるのかしら?」


「いえ……行きません」


「どうして?」


「プロキオン国に帰った今となっては、アルフェラッツの遺跡に間に合わないからです」


「行けると思っているのかしら?」


「行けないのですか?」


「あなた次第よ?」


「おわかりだと思いますが、この牢獄を壊してでも行きますよ?」



その言葉にプロンは急に鉄格子の鍵を解除し、扉を開ける。



「え? どうして開けたのですか?」


「あら? 行かないのかしら?」


「ど、どちらへですか?」


「ミラク国アルフェラッツへ」




ジムは驚いた

てっきり今回の罪で行けなくなる物と思っていたがしかし、プロンは牢獄の扉を開けジムを外に出す。



「あ……あの……キリオはどうしてますか?」



ジムは牢獄を出てプロンにそう聞いた。



「自分で確かめなさい」


「はい」



石で出来た通路を出口へ向かって歩く中プロンがジムに言う。



「あなたのアンを助けたいと思ってのあの行動は少なからず理解はしているわ。しかし、それは敵ではなく味方での話しよ」


「はい」


「最終的な目的は同じなのだから今やるべき事をやってちょうだい」


「はい。すいませんでした」


「謝罪はいらないわ……結果を残しなさい」




そして、プロンが外へと出る扉を開け、暗がりの牢獄に外の光が眩しく光芒を作り、ジムはあまりの眩しさに手を翳した。



「行くぞ! ジム!」



そこには笑顔で手を伸ばすキリオが目に入る。

そして日差しに目が慣れた頃にはアン以外の全員が揃っていた。



「……あ……う、うん……」



ジムは驚いた。

自分の行いに後悔はしていない。

しかし、仲間に攻撃し、キリオを傷つけ、絆を傷つけ、友情をも傷つけた。

それなのにも関わらず、キリオは笑ってジムに手を差し伸べる。

それに対してジムは差し出されたキリオの手を受け取れず曖昧な返答をし、キリオは言う。



「気にしてんのか?」


「……う、うん……でも自分の判断に後悔はしてはないんだ……だからこそ……ごめんって思ってる」


「それでいいんじゃないか? 少なくとも俺はいいと思ってる」


「どうして?」


「お互いが誰かを思っての行動だからだ!! まだ信じないかも知らないけど俺はもう一度言う……」




キリオは言葉を溜めてジムに言った。




「俺はここにいるみんなも、お前の事もちゃんと思って自分が正しいと思う行動してる。だからまたジムを止めなきゃならない時は俺はまた必ず止める。でもそれはジムを思っての事だ。だから許してほしいとは言わない。ただちゃんとジムを考えて動いてることだけはわかってくれ」


「……それは僕も同じだよ」



2人はお互いに笑顔を向け合い、それを見ていた周りの仲間も微笑みに変わる。

そして、シリスが言う。



「さて! 行くか! 準備して門に集合する様に!」



その言葉にジムは聞き返す。



「行くってまさか……」


「アンの呪いを解除しに行くに決まってんだろ!」


「え? 今から!?」


「そうだよ! ぜんは急げだ!」


「まだ何も作戦も聞かされてないですよ!?」


「そんなもん移動中に説明してやるよ! さっさと準備しろ!」



全員が歩き出し、キリオはもう一度ジムに手を差し伸べ言う。



「行こう! ジム!」



ジムは先ほどまで取れなかったキリオのその手を取った。



「うん! 行こう!」



ここまで読んで頂き、本当に嬉しく思います!


ささいな感想やレビューでもとてもはげみになります!!

それと、もし良かったら厳しい評価でもかまいません!

今後成長していく為にも必要なので是非よろしくお願いします!



「錬金術使いの異世界美容師」は毎週金曜日、夜22時の更新です!



是非またのお越しをお待ちしております!!

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