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錬金術使いの異世界美容師  作者: 伽藍 瑠為
2章「過去編」
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「錬金術師への虐げ」

「錬金術師への虐げ」











「何騒いでんだよ」




キリオと門番が揉めている所に現れたのは守護士ガーディアンの「ウェン・アスピディス」だった。

















挿絵(By みてみん)























それを見てジムは呟いた。




「チッ……1番この場に出てきちゃいけない奴が来ちゃったよ……」




ウェンに気づいた門番は事情を説明した。




「ウェ、ウェン様!? じ、実は……こいつが錬金術師で、アルデバラン学園に入ろうとするので止めております!!」





それを聞き、ウェンは答える。





「はぁ!? 錬金術師だって入学式許可降りてるし、数人はもう中に入ってんだろぉ!? お前の権限でそんな事して良いわけがねぇだろぉがぁ! 分をわきまえろ!」


『この人が守護士ガーディアンのウェンか……この第一声は評価が上がるぞ』




ウェンに叱られた門番は謝罪を入れる。




「はっ、はい! も、申し訳ございませんでした!!」




そして、次にウェンは不気味な笑みで口を開く。




「しかし、これ以上錬金術師の人数が増えるのは俺も気に食わない! 俺の権限ならコイツを入学させない事が可能だぁ!!」


『チッ……もっとたち悪いじゃんかよ』




ウェンはキリオに向き直り言葉を続けた。




「なぁ? 錬金術師? 俺がこの世界で最も嫌いな物はわかるかぁ?」


「いえ、存じておりません……」


「そうか! なら教えてやろう! 俺が嫌いなのはなぁ? 実力も! 名声も! 努力も! 実績も! 身分も! 全て持たないクズ!! つまり! お前のことだよ!」


「…。」

『やっぱりこいつ大嫌いだわ……』


「第三位貴族アスピディスの名において命ずる! とっとと帰れ! クズ錬金術師!」




その言葉と同時にキリオはウェンに肩をど突かれ、尻餅しりもちをついた。

しかし、その時ウェンはど突ついた時の違和感に気づく。




「……ん?」

『……なんだ? この重量………俺からしたら大したことはないが……相当な重さだったぞ?』




騒ぎが大きくなった為に、ジムは頃合いを見極めて一歩足を踏み出した時だった。




「ウェン……もうその辺にしとくんだ」




ウェンに言葉をかけ、現れたのは剣士ナイトのエル・アルデバランだった。












挿絵(By みてみん)












そのエルの後ろには仮面を被り、顔が見えない聖騎士パラディンのアルナ・アルデバランもいた。
















挿絵(By みてみん)



















そして、ウェンはエルに言葉を返す。




「エルか……いいだろぉ? 俺の勝手だ」


「アルナがやめろと言っている」


「……。」





ウェンは少し考えてから言葉を続ける。





「わあったよ……アルナがそう言うなら」




ウェンはキリオに向き直り言葉を吐き捨てた。




「アルナに感謝しな! クソ錬金術師」




エルが門番にキリオを通す様に伝え、3人は門へと足を運び、近くにいたジムが言葉をかけた。




「やぁ! 3人共久しぶり!」




ウェンがジムに気付き、言葉を返す。




「お? ジムか! 悪りぃな今は気が立ってんだ! また後でな」


「みたいだね……エルも久しぶり」


「あぁ……久しいな、すまないが先を急ぐ」


「バイバーイ」



アルナは無言のままジムの目の前を通り過ぎていった。

3人の背を見送り、キリオがようやく門の中へと入れた。




「散々だったね」




ジムは笑顔でキリオにそう言葉をかけた。




「いつもの事ながら一々時間取られるんだよな……先が思いやられるよ」



「……どうしてですか……」



その時、ミィナは抑えられない怒りを溜めた様にキリオに聞く。




「どうして……そんなにヘラヘラしてられるのですか……おかしいです! この街の住人も! キリオ様も! ただ錬金術師ってだけで、こうもしいたげられなければならないのですか!?」




ミィナのその問いにキリオはゆっくり答えた。



「俺も間違ってると思う。俺たちが何かしたわけじゃない……なのに全ての火種は錬金術師へと向いてしまう……」




キリオは空を見上げ、シリスの過去を想像する。




「……俺が虐げられるよりずっと前からシリスはずっと一人で頑張ってきたんだ。一人でこの狂った仕打しうちに耐えて、なんとか錬金術師として国師こくしになったんだと思う。その頑張りを、積み重ねを、ずっと耐えてきたシリスの努力を俺が壊して良いはずがない……」


「私は悔しいのです!! 正しい者がむくわれない世の中とは本当に必要なのでしょうか!? もっと世界は正しくあるべきだと私は思います!! キリオ様ならそれが可能なはずです!!」


「じゃぁ……このチートで武力を持って黙らせる事が正しい事なのか?」


「そ、それは……」


「ミィナ? 俺にもまだ何が正しいのかわからない。言ってしまえば俺はこの世界にとってただの部外者だ。この世界で何が正しいのか。俺はこれから見つけていこうと思ってる。だから、俺と一緒に何が正しいのか見つける事を頑張っていくのはどうかな?」



その言葉にミィナはキリオの思いを感じ、浅はかだった自分の考えを恥、改めて思った。



「……皆さんは本当に……優し過ぎます……」


「ありがとう。そして、多分これからいっぱい迷惑とかけちゃけどよろしくね」


「はい! もちろんです!!」





3人は無事にアルデバラン学園へと入っていった。



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