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錬金術使いの異世界美容師  作者: 伽藍 瑠為
2章「過去編」
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「アルデバラン学園入学当日」

「アルデバラン学園入学当日」











「シリスさん! キリオ! ミィナ! おはよう! 迎えにきたよ!」




シリスの家に元気な挨拶で入ってきたのはジムだった。





「もうそんな時間か」




ジムが来た事でキリオは呟き、ミィナがジムに受け答えをする。




「先輩おはようございます! キリオ様? 行きましょう!」




その時、シリスが言う。




「お前らもついに「アルデバラン学園」に入学か……寂しくなるよ」




しんみりするシリスにキリオは聞いた。




「そういえば錬金術師の国師ってシリスだろ? 学園で授業する講師って誰なの?」


「はぁ!? お前そんなことも知らないのかぁ!?」


「いや、教えなかったの誰だよ」


「講師すんのはあたしだよ!」


「お前はあれか? 寂しがり屋なのか? 構ってほしくてバカなのか?」


「おい! 師匠の扱いを見直した方がいいぞ!」


「取扱説明書があれば考える」


「でもしかし、ミィナは最高の学園生活をおくれると思うが……キリオはなぁ……」


「なんだよ」


「お前相当大変になるぞ」


「錬金術師だからか? 今更だろ?」


「ならいいんだけどな……本当にすまない」


「……俺はこの世界で美容師をする為に錬金術が必要だ。やりたい事ができるんだ……我慢するさ」


「そうだな……何か有れば言えよ」


「言った所でだろ?」


「まぁ……な」


「気にすんなシリス。お前の所為せいじゃない」


「……ありがとうな」


「じゃ……先に行く」


「おう! いってらっしゃい! また後でな!」




ジム、キリオ、ミィナはシリスの家を出て、アルデバラン学園へと足を向けた。




「そういえばキリオ? 五大選使ごだいせんしって知ってる?」


「何それ?」


「はぁ……やっぱりシリスさん何も教えてないんだ」



困った顔をするジムにキリオは言う。



「早く教えろ」


「言い方! 気をつけてよね! 五大選使は、聖騎士パラディン剣士ナイト守護士ガーディアン魔法師ウィザード治癒師ヒーラー、の職業の事を言ってこの5つの職業はかなり優遇ゆうぐうされてるんだ」


「何で優遇ゆうぐうされてるの?」


「優秀でつ初代錬金術師の起こした世界戦争を阻止して、活躍したのがこの5つの職業だからって話しだよ!」


「なるほど……人気職業って事か」


「でも基本的には職業は適正で振り分けられて、大体が貴族子孫なんだけどね」


「出た! 異世界貴族! 大体良い話無いよね?」


「そうだね! 結局の所では異世界って奴隷制度とかもそうだけど古き時代の風習のままだからね」




その言葉を聞き、ミィナが口を開いた。




「キリオ様達が居た世界では奴隷制度は無かったのですか?」


「奴隷制度が残ってる国もあったと思うけど俺らの国には無いな」


「だからキリオ様やジム先輩は私への接し方が違うのですね! いつも頭を撫でてくれたり、凄く可愛がって頂けてるなぁって実感出来て嬉しいです!」


「あぁ……そ、そうかな? うん! きっとそうかも!」

『ペットの扱い方になってるとは流石に言えないよな……』




キリオが話を戻す。





「ジムはその五大選使に会ったことあるの?」


「現五大選使はプロンさんしか会ったことはないよ! 治癒師のペテルさんは遠目から見たことはあるけど……でも今期の生徒の五大選使候補なら数人だけど会ったことあるよ!」


「どんな人達だったの?」


「そうだなぁ……僕もあんまり好きじゃないんだけど、守護士ガーディアンの「ウェン・アスピディス」はキリオ嫌いかも」


「なんで?」


他所者よそものに優しく無いんだよね……要するにthe 貴族以外クソって思ってるタイプ」


「あ……もう大嫌いだわ」


「だよね……剣士ナイトの「エル・アルデバラン」はクールな人だったよ! ただ、基本的に護衛になるのかな?」


「どいうこと? 護衛? 誰の?」


聖騎士パラディンの「アルナ・アルデバラン」の護衛」


「ん? アルデバランって確か……」


「あ! 気づいた?」


「アルデバランってこの国の名前もアルデバランだよな?」


「そう! 「アルナ・アルデバラン」はこの国王の子供なんだ! そして、国王の弟の息子が「エル・アルデバラン」!!」


「あぁ……なるほどね」


「アルナ・アルデバランは時期国王候補とも言われてるよ! ただ、アルナとはしゃべった事無いんだよねぇ。国王の子供だから近づけなかったし。ちなみに今出た3人は幼馴染でずっと一緒にいるらしいよ!」


「みんな強いの?」


「それがさぁ! 強いんだよね! 実力本物!」


「何だその設定……1人ぐらい七光の箱入り系でどうしょうも無いのとか居ないの?」


「それが居ないんだよ! 実力世界!」



「マジかぁ……みんな頑張り屋さんなんだなぁ。で? 他には?」



治癒師ヒーラーの「アンカー・ベガ」には僕も会った事ないんだよねぇ。だから今日がご対面!」



「あれ? 魔法師ウィザードは?」



「何言ってるの? 目の前にいるじゃん! 僕だよ僕! えっへん!!」







キリオは死んだ魚の目でジムを見つめながら次の言葉を言った。






「死んでしまえばいいのに」


「はぁ!? なにそれ!? 酷くない!?」


「お前だけいつもチート生活でずるいんだよ!! パラダイスかコラァ!!」


「キリオだって身体能力チートだろぉ!!」




その時、ミィナが2人に声をかけた。




「お二人とも着きましたよ」




学園それはまるで一言で言えば城だった。

門から学園までとても長い通路が続き、学園の敷地もかなり広いのがうかがえる。




「で、でっけぇ……」


「ね! 凄いよね!」




門を見ると入学する生徒が列をなして並び、その一人一人は魔法をかけられ、門の中へと次々に入っていく。




「あれは何してるんだ?」


「あれはね! 時空間魔法を使うから個々の人間の成長を合わせてるんだ」


「どういうこと?」


「門から先はもう時空間魔法が発動する。学園内の人間と学園外の人間で成長速度が大きく変わってしまうから、それは神のことわりそむく行為に近い。なんだかんだで魔法やこの世界の全ては神の元に成り立っている。理をげることは神に対しての反抗になっちゃうからね。個々に魔法かけて調整しているんだよ」


「なるほど」



ジム、ミィナ、キリオの順で列へと並ぶ。

そして、ジムが先程の話の続きをした。




「話戻るけど、五大選使候補のまとめはこんな感じ!」





聖騎士


    アルナ・アルデバラン


剣士  


    エル・アルデバラン


守護師


    ウェン・アスピディス


魔法師  

  

    ジム・デネブ


治癒師  

  

    アンカー・ベガ




「全員貴族だから僕以外とあまり関わらない方が良いよ! 静かな学園生活を送りたいならね!」



「あぁ……面倒な事はごめんだ。静かにしてるさ」


「だと良いんだけどね」


「それどう言う意味だよ」


「ミィナの時みたいに事件持ってきそうだからさ」


「……見て見ぬ振りは……出来ない時もある……」


「はぁ……先が思いやられるよ……」




その時、ミィナが口を開く。




「私はキリオ様を全力でサポートしますね!」




その言葉にジムが言った。




「いや、ミィナはキリオと関わらない方がいい」


「どうしてですか?」




キリオが言う。




「ミィナには迷惑はかけたくない」


「え? それは……いったい……」


「見てればわかる」





気づけばアルデバラン学園の門まで到着し、ジムが魔法をかけられる順番まで来た。

ジムを見て門番の魔法担当が声をかける。




「職業と名前をよろしいですか?」


「ジム・デネブです。職業は魔法師です。」


「ジ、ジム様でいらっしゃいましたか!? お、お初にお目にかかります。プロン・デネブ様のお弟子様ですね!? プロン様には私の師匠もお世話になっております! 今後ともよろしくお願いします!」


「はいはい」



魔法陣の上に誘導され詠唱呪文をかけられ、ジムは門の中へと入り、キリオ達を待った。



「次!」


「ミィナ・デネブです。魔法師でジム・デネブの妹弟子になります」


「な、なんと!? プロン様は今期お弟子様を二人も!? す、素晴らしい!! 今後ともよろしくお願いします」




ミィナもジムと同じように魔法をかけられ、ジムと共にキリオを待つ。




「次……」


「キリオ・アルタイル……錬金術師」




その瞬間、門番の表情が一気に嫌悪に変わった。




「はぁ? 錬金術師だとぉ? お前何しにここへ来た? お前の様な奴がこの神聖な学園に入れると思ってんのかぁ? 今すぐ帰れ!!」


「……お願いします。ここを通して頂けないでしょうか?」


「何馬鹿なこと言ってんだ? 頭おかしいじゃねぇのかぁ!?」


「……お願いします」

『……我慢我慢……』


「早く帰れ! 錬金術師と会話するだけで虫唾むじずが走る!! 気持ちが悪い!!」




それを見ていたミィナが我慢できずに一歩足を踏み出した時だった。




「ダメだよ」




ジムに手をつかまれ、止められていた。




「ミィナはこの学園で余りキリオに関わりを持っちゃいけない」


「先輩……止めないでください。私、もう我慢できません」


「それでもダメだ……」


「どうしてですかぁ!? あんな理不尽を我慢しろと言うのですか!?」


「……ミィナ? キリオが我慢しているんだ……僕らが我慢できなくてどうするの?」




気づけばジムのこぶしが余りのりきみに震えていた。




「……す、すみませんでした」


「もう少し、過激になる様なら僕が行く」


「は、はい」





しかし、その時だった。






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