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錬金術使いの異世界美容師  作者: 伽藍 瑠為
2章「過去編」
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「シリスとの出会い」

「シリスとの出会い」







東京都昭島市の一角。

男はそれを見て呟いた。




「ようやく完成した……」




鷹神たかがみ 切生きりおは完成した自分の美容室を見て感極まっていた。



「この道のりは本当に長かったなぁ……」



キリオは美容室を開業するにあたり、今回3度目の挑戦でようやく完成した。



「明日から開業だ! 待ちに待った自分の城! こんなに嬉しい事はない!! 早速、明日の準備をしよう!」



キリオは店内に入り、準備を開始する。

pcで最近放火が相次いでいると言うニュースを聞きながら、鏡を拭き、床に掃除機をかけ、準備に抜かりがないか確認をしていく。



「よし! 抜かり無く準備完了!!」



キリオはお店の2階へと上がり、冷蔵庫で冷やしていたビールを開ける。



「最高のバックルームだ!」



リビングの様な落ち着く間取りにし、少し奮発ふんぱつした自慢のソファに腰掛け、お店の完成を一人で祝った。



「少し……疲れたな……眠くなってきた」



キリオは疲れから、そのまま眠ってしまう。



「……ん……暑い……ん? 何か臭い?」



キリオは鼻についた焦げ臭さで目を開けた瞬間だった。



「え? は?」



気付けば辺りは凄まじい炎と煙に囲まれていた。



「な、なんだよこれ!? と、とりあえず逃げ……」



急いで下に降りる階段へと移動しようとしたが、しかし、天井を支えていた木材が崩れ落ち、道を塞がれる。



「……に、逃げ場がな、なくなった……」

『なんだよこれ……俺が何したってんだよ……』



水道から水を使い火を消そうとこころみるも意味は成さず、水を自分にかけたり、今出来うる事は全部した。

しかし、逃げ場をなくし、一酸化炭素の影響で止まらない咳、朦朧もうろうとするこの状況でキリオは全てを諦めた。



「……もうどうでもいいや……どうせ助からない……このまま死ぬのか……俺の人生まじなんだったんだよ……なんの価値もなかったわ……」



涙が溢れた。



「何の為に俺は生まれたんだよ……汗水かいて、働いて…自分の願いも叶えられない……俺はそんな運命の為に生まれたって言うのかよ……俺の人生まじくそ人生ゲーじゃんかよ……何も……何も報われなかった……くそ……くそ……神が本当にいるなら……絶対許さねぇ……絶対…ゆるさねぇ……こんなの間違ってる……」




溢れた涙が顎を伝い地面に落ちたその瞬間だった。

奇怪きかいな音と共に光る魔法陣が床一面に広がった。




「……ぇ?」



光は徐々に光量を増し、更に発光を強め、あたり一体を光へと包む。

そして、気づいた時には何処かの屋根裏部屋の空中に居た。



「はっ?!」



そして、うつ伏せのまま落下する。



「いでっ!?……くっ……いってぇ……」



上手く受け身を取れず、痛みに悶絶もんぜつした。












✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎















「頼む、頼む……今度は失敗するなよ……上級錬成開始」



シリスは錬金術師が代々預かる研究室で実験をしていた。



「くそ! また失敗した!!」



余りの苛立ちにテーブルに強く拳を叩きつけた瞬間だった。

同時に屋根裏部屋の方から凄まじい物音が鳴り響いたのに気づく。



「え!? あたしそんなに強く叩いてないぞ?」



シリスは急いで屋根裏部屋へ向かい、扉の前で止まった。



『確か、この部屋は代々封印され、開けてはならないと言われている……しかし! 物音がしたとなれば! 確認せねばならぬな!!』



シリスは幼少期から、初代錬金術師ノプスの弟子であった父からずっと続くこの部屋をいつか開けてみたかった。

しかし、今の今まで開け得る理由が何一つとして存在しなかったがここで開けざるおえない理由を手に入れた。

シリスは心を躍らせ、錬金術で閉ざされてた部屋を錬金術を使って開けた。




「……いててて……」



そこには奇妙な服を着た青年が居た。



「に、人間だと? お前はここで何をしている?」

部屋ここは転移魔法では来れない様に魔法陣でほどこされている……一体こいつはどうやってここにきた?』


























挿絵(By みてみん)







シリスはキリオを見てそう言った。

そして、キリオは混乱から状況を分かっていなかった。




「は? つか、ここどこ? 俺さっきまで……」


「言葉は通じるみたいだな……お前名前はあるのか?」



「名前? 鷹神たかがみ 切生きりおだけど」



「なんだそのヘンテコな名前は! バカにしているのか?」


「え? いや……正直に答えたんだけど?」


「待てよ? 似た様な名前を耳にしたことがある……確か……あ! プロンの所の弟子だったか!」



シリスは転生したジムの存在を思い出し、ジムとはまた違う転移で来たと理解する。



「まさか! お前異世界人か!?」


「は? 異世界人?」



キリオは改めて周りを見渡した。

置いてある物、飾られている物、書いてある文字、まるで古きローマの印象を感じ、漫画や、アニメ、創作物で見た景色と良く似ていると思った。



「う、うそ……だろ……」



切生は驚きで混乱する。



「あたしじゃ手に余る……よし! あたしに着いてこい! たかがキモ男!!」


「たかがみ! きりお! だ! 何も合ってねぇじゃんかよ!!」




そして、シリスはキリオを連れ、プロンの家におもむいた。




「プロン!! すまない! 邪魔をする!!」



シリスは勢いよくプロンが住む扉を開け、そう言った。





























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