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錬金術使いの異世界美容師  作者: 伽藍 瑠為
1章「異世界美容室開店」
20/87

「懶神」

20「懶神」








「……また嫌夢ここか」



そこは真っ白な空間、そして、孤独を感じる程の無音の世界。

不思議とジムは冷静だった。



『キリオが生きてたからかな……死んでたら立ち直れなかっただろうな……』



しかし、その無音を破る者が後ろから声をかける。



「やぁ! ジム! 今回は随分ずいぶんと危なかったね!」



余りの元気あふれるその声と言葉にジムは振り返り、その人物に言う。



「ふざけないで……あなたには聞きたい事が山ほどある……懶神なまけがみ……僕をはめたのか?」



そこにはジムと同じ様相ようそうをした懶神がいた。



「おいおいおいおい! ちょっと待てよ! 怒ってるの? 俺の所為せいじゃ無いよ? 考えてもみろよ! キリオのマナダンジョンに着いて行けば、チートの武器が手に入るってのは本当だっただろ?」



軽々しく言う懶神なまけがみにジムは怒りをあらわにする。




「あんな大惨事になるなんて聞いてない!! 仲間が死んだんだぞ!! ふざけるな!」


「そこまでの未来を俺が予想できるとでも思ってるいのかい?」


「神なんだろ? そのぐらいやって見せろよ」


「神って言ったってねぇ? 俺まだ見習いみたいなもんだから! そこは無理言っちゃいけないよ! ジム君!」


「今まで懶神あんたの言う通り来て、確かに助かっては来た……けど今回は度を超え過ぎてる! どういうことだよ!」


「だから! あんな事になるなんて俺にもわからなかったんだって! 本当にごめんって!」


「本当は何か企んでんじゃないのか?」


「 何も無いって! 友達のキリオ君は生きてたんだからさ! いいじゃん! 死んだ仲間だって裏切った仲間でしょ? なら死んで当然じゃん? 何がいけないのさ? 強い武器も手に入って! 1番の友達も死ななかった! 何が不満なのさ!」


懶神あんたが言ってるのは結果に過ぎない……その過程が危険なら教えてほしい。僕はもう友達を危険に会わせたくない」


「ジム君? ここは異世界だよ? 死と隣り合わせの世界だよ? 君が居た日本とは違うんだよ? おわかり?」


「どの創作物の話でも、転生者にはだいたい神が語りかけてくるけど……お前は一番最低だ」


「いやいやいやいや! もっとひどいのなんてゴロゴロゴロゴロいるって! 俺なんてかなり優しい方だよ? 運が良いって言っても過言では無い!!」


「もういい……お前を信用した僕がバカだった。利用できるなら利用しようと思ってたが、ここまで僕が利用されるならまっぴらだ」


「ジム君? 今更過ぎないか? お互い利害が一致したのは確かだろ? 君が言ったんじゃないか?「悪魔とだって契約する」って」


「わ、わかってる」


「しかし、ジム君も熱いよね? なんだっけ?「アンカー・ベガ」ちゃんだっけ? 好きな女の子の為におれと契約するなんて! らくしたいって気持ちが伝わってくるよ! 自分では頑張ろうとしないで俺に頼って来るんだもん!! それはもう怠惰たいだの感情に近いんじゃ無いかな?」


「僕は僕なりに頑張ってきた……その言い方やめてくれないか……でも、あの子を救ってくれた事は感謝してるよ。僕もこの契約に不満があるわけでは無い……けど危険は教えてくれ」


「はいはいはいはい。任せてよ!」


「それで? 次は?」



懶神なまけがみは自分のこめかみの所に人差し指を突き刺し、えぐる様に掻き回し、そして、考える。



「んんん……そうだなぁ……これかなぁ? 多分キリオ君達と…」




そして、見つけた様に言葉を続けた。




「あ! もうこれからずっとマナダンジョンの旅になりそうだよ? そして、次に向かうのがマナの地「氷京ひょうきょう」に行くんじゃないかな?」




懶神なまけがみのその言葉にジムは驚く。



「……え? 今なんて言った? これからマナダンジョンの旅だって?」

 

「ん? なんかおかしなこと言った?」


「ちょ、ちょっと待ってよ……ま、また危険があるんじゃないのか?」


「そうだね! 危険ありありだとおもうよ? 絶対誰か死ぬし!!」


「は? 誰が死ぬんだよ……」


「いやいやいや! それを言っちゃうと俺の言霊が反応して40%の確率が80%になっちゃうよ!? いいの!?」


「じゃなんでアンの時は教えたんだよ!!」


「あれは俺が助けることができたからさ!」


「……ってことは……今回……助けられないって事?」


「そうなるね!!」


「ふざけないでよ! そ、そんな危険な所に行けない……もうあんなのは嫌だ」


「ジム君? きみは行かなくたっていいんだぁ!」



ジムはその言葉に驚き、言った。



「ど、どういう意味だよ……それ?」



そして、ジムと同じ様相の懶神なまけがみはジムの顔で不気味な笑みで言葉を返す。



「キリオ君だけでも結局は向かっちゃうから……へへへ」



その懶神の言葉にジムは理解した。




「お、おい……なんだよそれ……まさか!? お前!?」


「おっと!? そろそろそろそろ時間だね! またね!! ジィムゥ君!!」





「お、おい! 待てよ!! 待てぇ!!」






その時。







「おい! 待てよ!!」





気づけばジムはベットの上で叫んでいた。


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