「謎の二人」
「謎の2人」
「この道から未開拓よ……何が起こるかわからないわ」
フールが索敵をしながら伝える。
しかし、キリオは迷路の様な洞窟が気づけば人工的に作られた様な壁に変わっていたり少しダンジョンを楽しんでいた。
「ジムは実際ダンジョン何回目なの?」
キリオがジムに聞く。
「ちゃんとした攻略はこれが初めてだよ。今までは攻略済みのダンジョンしか行ったことないし、それにパーティーの補佐だったし、言っても僕はまだ冒険者ランクCだからね」
「ランクCって言ってもどうせお前色んなところからオファーもらってんだろ?」
「まぁね!」
「……。」
『あ……コイツやっぱりうざいわぁ……』
「あ! 今絶対悪口思ってたでしょ?」
「お、思ってない……多分……」
続けてキリオは口を開く。
「ちなみに、ここのダンジョンは難易度はどのぐらいだと思ってる?」
「Aランク? もしかしたらSランクかもね」
「は? 俺らでの攻略無理じゃね?」
「うん! そうだよ! 下手すればレイド系もありえるからね!」
「レイド!? レイドって50人ぐらいで戦いが必要なやつだよね!?」
「うん! そうだよ!」
「うん! そうだよ! じゃねぇんだよ!! どうすんだよ!」
「今回は探索がメインだから攻略はまた後日って感じかな!」
その時、急にキリオの頭に乗るマナークウルフの子供が壁に向かって唸り始める。
「ん? どした?」
キリオは頭から腕に抱きかかえ、宥めるが一向に唸り続ける。
「壁の向こう側に何かいるのか?」
その様子をみてザーコが言った。
「迷路になってますからね向こう側にモンスターがいるのでしょう」
「なるほど! お前は賢いな!」
5人は道を進み、二つの別れ道へと辿り着いた。
そして、フールが言う。
「わかってると思うけどモンスターが強いから二手に別れる案は無いわ……どっちにする?」
その時、マナークウルフの子供は左側をみて唸っていた。
「ってことは……左側が危険で右が安全なわけか?」
キリオがそう言い、ジムが口を開いた。
「行き止まりって可能性もあるよね?」
キリオが言葉を返す。
「なら行ってみてまた戻ればいいんじゃないか?」
その言葉にザーコが言った。
「それもそうですね! 次に来る時の為にもまず、明確にしておきましょう!」
5人は右側へと進む。
しかし、その数刻後、5人が進んだ逆の左側から謎の二人が現れる。
黒のローブで全身を覆い、体の大きい1人がキリオ達が向かった道を見て口を開いた。
「おぉぉ……この魂……おぉぉ面白い……レヴィアタンよ……こちらの方が面白そうだ」
もう一人のローブを纏い、小柄な女性が答える。
「なんと妬ましいことか。その名で呼ぶなとルシファーが言っていたでしょう?」
「おぉぉそうか……すまぬなエンヴィー」
「それもダメ。あなた話を聞いていなかったの?」
「すまぬな」
「私たちの名を呼べば言霊が力を増し、私達の存在がバレてしまうから呼び方を変えたのでしょう?」
「おぉぉそうだったか……して……なんだったか」
「私はレヴィエン……あなたはマグリよ」
「おぉぉそうであった……して……今し方そのレヴィエンはルシファーと呼んでおったのだが?」
「……………呼んでないわ」
「見苦しそうに見えるぞレヴィエンよ」
「呪うわよ」
「認めぬか………ルシプラで良かったか?」
「ええ……やれば出来るじゃない」
「おぉぉ……」
「それはそうと……向こうに居る魂の話だけれども……妬ましいわね」
「おぉぉ寄り道しても構わないか?」
「嗚呼、本当に妬ましい……あなただけずるいと言っておくわ。私ばかりに仕事をさせて、それでも私はちゃんと仕事をするだけよ」
「おぉぉ我は抑えられないのだよ」
「そうでしょうね」
「それより、ここで叡智乃超越の低下が本当に可能なのか?」
「あなたは自由で羨ましいわね。本当にルシプラの話を聞いてないのね? もう一度、妬ましいあなたの為に説明してあげるけど、ラプラスの低下にはハデスの門の調律をしなければならないわ。その為にはここと後3箇所をまわらないと意味がないのよ」
「おぉぉなるほど。そうだな我は魂と金にしか興味が無い。お前からしたらそれは羨ましいであろう?」
「勘違いしないで、金には特に興味が無いの。マグリのその欲望に羨ましさを感じてるだけよ。それと、話戻るけど、ラプラスの低下に伴い、私達の1番の狙いはヴァルプルギスの夜。これを行うにはポセイドンの海底、ゼウスの雲海も果たさなければならい……そっちには他の者達が向かってるはずよ」
「そうか……ちなみにベルスロは何をしているのだ? 我は彼奴だけは嫌いなのだ」
「さぁ、私からしたら皆んな妬ましいのだけれども。私はサタラスがあの力を持っててルシプラに賛同してる所が気がかりね」
「そうか。しかし、我ら堕落者はそういう物なのだろうな」
「ええ。そうね」
「レヴィエンよ恩に着る……欲望のままに」
「ええ……欲望のままに」
マグリは5人が進んだ道へと足を向け歩き始める。
レヴィエンはマグリと別れ、マナークウルフが唸った壁の目の前へと足を止める。
「ここね」
壁に手を当て、呪文を唱える。
「アタナ…ス……カンロ…タロ…ドロス……ウル……バテネ…」
徐々に壁が形を変えていった。