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勇者なんて面倒事はごめんだ  作者: ガッデム
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1章 8話 

私の名前はリリ、アーロック家のメイドをさせていただいている


私は15歳の成人を迎えると魔法を使えるということもありメイドとしては良い待遇で私には勿体ない待遇だ


基本の業務は掃除や旦那様達の身の回りのお世話で、お子様が産まれてからはお子様の身の回りのお世話が主の業務になった


長男のサニー様、次男のミム様、長女のアスカ様と3人のお世話をさせていただきました


私自身の家族には弟や妹がいたので全くの同じとはいかなかったもののそこまで大きな失敗はなかったと思う


3人もお世話がかからないまで大きくなられた時に奥様が新たな子を身籠られた


奥様は大変喜ばれていました、子どもが好きな奥様ですが当時は領地の改革や飢饉などが重なり奥様の仕事が増え、子ども達と接する時間が上手く取れなかったのだ


落ち着いた頃には子ども達が大きくなり、奥様の手から離れていたのだ


日に日に大きくなる自分のお腹を擦る奥様はそれはもう幸せに溢れていました


その後も順調に育ち、ついに出産の日を迎えた


医師もいて、周りのメイド達も奥様本人も4人目の出産ということもあり、落ち着いた雰囲気だった、私もその1人だった


お腹の中から赤ちゃんが出できて、奥様も疲れてはいるが笑みを浮かべていた


無事出産を終えることができたと安堵していると、周りの空気が重くなっていることに気づいた


私は周りを見渡すと皆がある一点を見つめていた、私もつられそちら目を向ける


目を向けた先には医師が産まれた赤ちゃんを抱いて鼻や口周りをタオルで拭いたり、背中を軽く叩いていたのだ


だが赤ちゃんはとても静かだった、全く産声をあげなかったのだ


医師の焦っている顔がこちらから見える、医師越しには奥様が疲れきっている体をお越し赤ちゃんの名を叫んでいる


私は血の気が引いてしまい何もできることができずただ呆然と成り行きを見ていた


永遠に感じていた時間も医師が手を止めたことで戻された


医師は未だ産声をあげない赤ちゃんをそっと奥様に手渡した


「お子様は亡くなられました」


医師は奥様に頭を下げた


奥様は受け取った赤ちゃんを優しく抱きしめた


赤ちゃんにむけ、贖罪を続けた「ごめんなさい、ごめんなさい」っと


涙を流し、張り裂けんばかりに声をあげ贖罪を続ける奥様を私は見ていられず、目蓋を閉じ顔を伏せてしまう


子を授かった時の奥様の幸せの気持ちをその一片でも知ってる私は奥様を見ていられなかった


部屋にいた全員が立ちすくみ、奥様の贖罪の声が耳に届く


「…………ーーゃ」


奥様の声に交じり小さくも力強さを感じる声が聞こえた


始め私は聞き間違えかと思ったが、だが声は次第に大きくなり聞き間違えではないと確信し、私は知らずのうちに顔を上げていた


顔を上げた先にはお子様が産声をあげていたのだ、まるで自分が生きてるのを示すかのように


信じられないものを見るような医師の顔を尻目に部屋は歓声に包まれた


奥様は噛み締めるように声をかけた


今度は「生きてくれてありがとう」っと


私は膝をつき顔の前に手を組み神様に感謝を伝えていた

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