1章 6話
俺はリリから衝撃の真実を聞いた次の日とある所に向かっていた
俺は昨日はあまり眠れなかった、まさか5歳まで魔法が使えないなど思ってもみなかったからな
今までの努力が無駄だったと思うと気が遠くなりそうだった
だが、ポジティブに考えることにした
まず魔法を覚えないのはありえない、何故なら俺にとって魔法は憧れだからだ
となるとそれまでの2年何をするかというと情報収集と他の能力の向上だ
この2つを達成する為に俺は目的地についた
ドアをノックし部屋の中からの返答が聞こえ中へと入る
大きな部屋の中央には長方形テーブルが置かれその両サイドには対となる椅子壁際には天井に付き添う本棚が2つ、そして部屋の一番奥には机が置かれている
書斎という言葉がしっくりとくるこの部屋の長である者が机にところ狭しある書類から顔を上げた
「あら、ライルじゃないどうしたの?」
彼女の名前はアニー=アーロック、俺の母親だ
母上はベルタ子爵家の次女の出で、結婚した後はアーロック家の事務をたまに手伝いながら暮らしている
「母上もし時間があれば本を読んでいただけませんか?」
俺は事前に容易していた本を見せた
「いいわよ、こちらへいらっしゃい」
母上は優しい笑みを浮かべ中央にある椅子に来るように手招きをする
俺は本を母上に渡し、母上の膝の上に座る
本を読んでもらう時の特等席なのだ
俺は母上の言葉を聞きながら、文字を目で追っていった
俺がまずしなければいけなかったのは文字を読み書きを覚えることだった
俺はある日あることに気づいた
それは俺の将来についてだ
俺は男爵家の三男だ、長男は領地を受け継ぎ、次男は長男に何かあった時の為にいてもらわないといけない、長女はおそらく何処かに嫁ぐだろう、で俺は子どもの内はまだいいが成人になれば家を出ていかなければいけない
この世界では、成人は15歳とされている
まだ約12年あり以前の世界の知識があるとはいえ流石に何も知らないのはまずい
だが俺はまだ3歳なので、誰かいないと家から出ることはできない
そんな状況でできる情報収集なのは、家にある本を読むか、家族かメイドに話を聞くことしかない
3歳で家族などに将来のことを聞くのは流石に怪しまれる
となると本を読むことになるのだが、まだ字を読む事ができない
なので俺は母上に読んでもらうことにした
これで情報収集もでき、字も覚えられて一石二鳥なのだ
「疲れたでしょ、少し休憩しましよ」
メイドが用意してくれたクッキーと紅茶を舌鼓していると、母上が頭を撫でてくれた
「ライルは本当に可愛いわね」
ただ頭を撫でられているだけなのに身体中が暖かいものに包まれているような感覚になる
最近気づいたが母上は特に俺に甘いみたいだ
子どもが好きなのもそうなのだが、長男と次男は領地の経営など長女は嫁ぐ為なのか三人には少し距離を置き厳しく接している面がみられる
だが俺にはそういうものがなく、三人にできなかった分のフラストレーションが溜まっていた、三人がいない時は特に甘やかせれてしまう
身体中は暖かく母上からは良い匂いまで漂っている
そして甘く美味しいクッキーと紅茶
俺はそんな最高の時間を過ごしていた