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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第4章〜暗躍編〜
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甘い夜

ーー・・これ以上の幸せは、きっとない。

そう思った。



「んっ、っっ、あっ、コク、ヨウッ、」



寝室に響く淫らな私の声。

甘い痺れと、止まらない嬌声を上げながら私はコクヨウからの愛撫に酔いしれてベッドのシーツを乱す。

出したく無いのに、声が抑えられない。



「ーーー・・ディア様、貴方の事を抱いても良いですか?」



そう唐突にコクヨウが言ったのは、私の寝室に入って来てすぐの事だった。

コクヨウからの熱い眼差しは、一心に私にだけ注がれる。



「・・・うん。」



照れ臭さがあったけど、それ以上にコクヨウから求められる事が嬉しさがあった。

もっと、求めて欲しい。

私だけを見て。

湧き上がる私の中の女の部分。



「ありがとうございます、ディア様。」

「あっ、」



嬉しそうに笑ったコクヨウは、口付け落としながら私をベッドに押し倒す。

私のおでこに、頬に、唇に、そして、下へと降りていき、最後には首筋にコクヨウの口付けを受ける。



「んっ、っっ、」



私の口から零れ落ちる、甘い吐息。

抑えたくても勝手に出てしまうそれを、慌てて手の甲で塞ぐ事で防ぐ。



「・・・、どうして、声を抑えてしまうんですか?」

「っっ、あっ、だって、っっ、」

「ちゃんと声を出して下さい、ディア様。貴方の感じてる声が聞きたいです。」

「んんっ、嫌、恥ずかしいっ。」



目に涙が滲む。

頭の中がおかしくなってしまいそう。



「ディア様、ても、それじゃあ、キスもできないですよ?」

「っっ、」

「したいです、ディア様とキス。」

「あっ、ず、るい、」

「でも、好きですよね?」

「っっ、」



コクヨウに耳元で囁かれ、ぶるりと身体を震わせた。



「ディア様?」

「ふっ、す、き、コクヨウ、が、」



目の前の首に腕を回す。



「っっ、して、キス、お願い、コクヨウ。」

「っっ、あぁ、愛してます、ディア様。ずっと貴方の事だけを。」

「んっ、ふっ、」



絡み合い、溺れていく。

コクヨウからの愛情を感じながら。



「ーーー・・もう、ディア様がどんなに嫌がっても絶対に離しません。」



幸福に身を委ねた。

私に触れる手は幸せを感じさせ、身体中に落ちる口付けは、女として目覚めさる。

この幸福が、ずっと終わらない事を願ったら。



「・・ディア様、大丈夫ですか?」

「ん、」



ベッドにうつ伏せになる私の顔を覗き込むコクヨウに小さく頷く。

何度、コクヨウにイカされただろう。

自分でも分からないぐらい、何度もコクヨウに愛された。

でもね?



「っっ、もう少し手加減して、よ。」



初めてなんだよ?

最初からあんなのハードすぎるでしょ!

コクヨウに涙目を向ける。



「すみませ、ディア様が可愛くて。」

「ぐっぬっ、」



なんだ、この羞恥プレイは。

恥ずかしくて、顔を上げられないじゃないか。

シーツに顔を埋める。



「お水です、ディア様。喉が渇いたでしょう?」

「っっ、今は無理ッ!」



ベッドから起き上がるのも億劫で、全く動けない。

怠い、けど、幸せな気分ではある。

しかし、少しぐらいは限度ってものを考えて欲しい。



「・・・仕方、ない、ですね。」

「な、にーーー」



私の言葉は続かず、ベッドから持ち上げられコクヨウの唇で塞がれてしまう。

流れ込む、冷たい水。

口移しでコクヨウが私に水を飲ませてくれてるんだ。

ぼんやりとした頭で理解する。



「ディア様、まだ水を飲みますか?」

「っっ、ぅ、ん、」



コクヨウが醸し出す妖艶さに、私の頬か朱に染まった。

なんだ、この無駄な色気は!?

コップの水を飲むコクヨウのあまりの色気に目のやり場が困ってしまう。

羞恥に目をさ迷わせていれば、コクヨウの顔が私に近付く。



「んっ、っっ、」



コクヨウによってまた塞がれる唇。

それでも、全ての水を飲み干すことは不可能で、零れ落ちてしまう。



「ーーー・・零れて、しまいましたね。」



くすりと笑ったコクヨウが、私の口から零れた水を舌で舐め取った。



「っっ、なっ、」



コクヨウの行動に固まり、絶句する。

ーーー・・とっても破廉恥です、コクヨウ。

ヤバい、エロい、鼻血出る。

確かに、私はコクヨウと一線を超えたよ?

でも、甘過ぎじゃないですか?



「っっ、」



羞恥心に視線が彷徨う。

あまりの恥ずかしさに、コクヨウを直視できない。



「ふふ、照れてらっしゃるんですか?ディア様、頬を染めて可愛いです。」

「ぐっ、」



可愛いのは、コクヨウの方だ!

声を大して言いたい。

が、今のコクヨウは、まさに大人の色気を醸し出す男。

こちらが何を言っても全く勝て気がしない。



「・・・狡いわ。」



あんなに可愛かったはずなのに、急にこんな男の顔をするなんて、コクヨウは本当に狡いと思う。



「狡い?」

「っっ、だって、つい先日までは、あんなに可愛いコクヨウだったのに変わりすぎだよ!」



胸が苦しい。

戸惑いが大きくて、どうすれば良いの?



「可愛い僕がお好きですか?」

「うっ、」



首を傾げるコクヨウに、言葉が詰まる。

可愛いコクヨウと、こうして私の事を翻弄するコクヨウと、どちらが良いと聞かれても困ってしまう。



「どっちも、コクヨウだもの。そんな事を聞かれても、答えられないよ。」



私の事を翻弄するコクヨウも、本当の彼だもの。

どっちかなんて、選べない。



「ちょっと今までのギャップで戸惑ってるだけで、今のコクヨウも、その、好き、だよ?」

「ふふ、ありがとうございます、ディア様。」



あ、今の顔、今までコクヨウだ。

ほっとする。

表情を緩ませる私の頬に触れる、コクヨウの手。



「僕も、弱いディア様も、凛としているディア様の事も大好きです。どんな貴方の事も、愛しています、ディア様。」

「ん、ありがとう。」



私の頬を優しく撫でるコクヨウの手に擦り寄り、目を瞑った。



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