表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
最終章〜魔族編〜
424/424

エピローグ




魔の森の中心部。

その屋敷は、そこに(そび)え立っていた。




「ディアお母様~。」



駆けて来る少女。



「レイシー、そんなに走ってどうしたの?」

「レオンハルトとティアラローズの2人が外交に行くというのは本当ですか?」

「まぁ、聞いたの?本当よ。」



レイシーが唇を尖らせる。



「狡いです、ディアお母様。私だって、まだ外交を任せてもらっていないのに。」

「ふふ、それで拗ねているの?」

「拗ねてません。」



ぶいっと、レイシーが顔を背けた。



「レオンハルトもティアラローズも、まだ幼いのに外交を任せるなんて、どうしてですか?」

「2人に外交を任せたのは、お祖父様がいるからよ。」

「お祖父様って、ルーベルン国にいるの?」

「そうよ、秘密だけどね。」



子供達には秘密。

レオンハルトも、ティアラローズも知らない。



「むぅ、それでも狡いです。」

「あらあら、そんなにレイシーも外交がしたいの?」

「違います!お母様のお役に立ちたいのですわ。」

「まぁ、立派に優し子に育ったわね、レイシー。」



レイシーの事を抱き締める。



「もう、子供扱いしないでください。」



言いながら、逃げない。

可愛いことだ。



「レイシー、貴方は私の後を継ぎたい?」

「んー、分かりません。それに、ディアお母様の血を受け継いだ子供もいますし。」

「あら、貴方の事も私は本当の子供と思っているわよ?」

「…ありがとうございます。」



照れるレイシー。



「なら、俺と結婚して、ディア母様の後を継ぐのも良いんじゃない?」



その声に振り返る。

息子である、レクティファールとルクシオンがいた。



「レクティファール!?」

「あらあら、レイシーに求婚?」



レイシーが驚きの声を上げ、私は楽しげに笑う。



「ディア母様は反対?」

「いいえ?ただ、無理矢理はダメよ?」

「もちろん、レイシーの気持ちを蔑ろにはしないよ、母様。」




微笑むレクティファールは、レイシーの前に、跪く。



「レイシー、好きだ。結婚してくれ。」

「~~っっ、バカ!」



真っ赤になったレイシーが背を向け走り出す。




「逃げられたね、レクティファール。」

「楽しむな、ルクシオン。」



双子の兄である、レクティファール。

双子の弟である、ルクシオン。

仲の良い兄弟だ。



「レクティファール、レイシーを追いかけないの?」

「母様、レイシーが恥ずかしがり屋だって、知っているでしょう?」

「しばらくは、レクティファールに合わない様に逃げ回るでしょうね。」



肩をすくませるレクティファールと、呆れるルクシオン。



「周りを固めますよ。」

「レクティファールは、レイシーを逃す気がないから。」



楽しげに2人は笑い合う。

コクヨウに似た、レクティファール。

ディオンに似た、ルクシオン。

私の最初の子供達。

2人とも私にとって、とても大切な我が子だ。



「あらあら、レクティファール。あまり性急すぎるとレイシーに嫌われるわよ?」

「ですが、うかうかしてレイシーの事を他の誰かに奪われるなんて嫌です。」

「ほどほどになさい。」



レイシーも、レクティファールの事を嫌っていない。

嫌っていたら、はっきり言う子だもの。



「ルクシオは、ユリーファとはどうなの?」

「大切な婚約者と手紙のやり取りを欠かしてませんよ。」

「そう、大切になさいね?」




ルクシオは、ディオンの妹であるユリーファと婚約している。

ルクシオが18になったら結婚する予定だ。



「あと、2年で結婚ね。」

「えぇ、待ち遠しいです。」



ルクシオも、この婚約を喜んでおり、母親としても嬉しい限りだ。



『お兄様、ルクシオをユリーファのお婿さんにくださいませ。』



ルクシオンが生まれた時のユリーファの興奮は凄かったのよね。

何回も2人を合わせ、ルクシオンがユリーファの事を気に入った為に婚約となった。



「2人仲が良くて、お母様は嬉しいわ。」



子供達も大きくなってきている。

親離れは寂しいが、健康に大きくなってくれて嬉しい。



「僕達がいなくても、母様には父上達がいるではないですか。」

「そうですよ、いつまでも仲の良いんですから、子供としては見ていられませんよ。」

「うふふ、お父様達は私の事を大切にしてくれているだけよ。」



薔薇色の頬で微笑む。



「はいはい、いつまでもお幸せに。」

「また妹か弟が増えるんじゃありませんか?」

「あり得るな。」



呆れる2人。



「さて、そろそろ、レイシーを探しますか。」

「頑張れ、レクティファール。」

「では、母様、失礼します。」

「私もユリーファに手紙の返事を返しますので、失礼します。」

「えぇ、レクティファール、レイシーをよろしくね。」



2人を見送る。



「ーー2人も大きくなりましたね、ディア。」

「もう立派な大人ですね。」



その声に振り返る。



「貴方達に似たわ、コクヨウ、ディオン。」



私の側に寄る、コクヨウとディオン。



「お一人ですか?」

「オリバーとアレンは一緒では?」

「オリバーはシルフィオーネの相手をしているわ。アレンはレオンハルトとティアラローズの教育をしてるわね。」



シルフィオーネは、まだ幼いオリバーとの娘。

ぐずるシルフィオーネの相手をオルバーはしている。

そして、レオンハルトとティアラローズはアレンとの子供で兄と妹の兄妹だ。

今回の外交の為、アレンが教育を施している。



「おや、では、我々がディアを独占できますね。」

「そうですね、いつも子供達に貴方を取られますから。」

「ふふ、やきもち?」



楽しげに笑う。

幸せだ。

こんなにも、毎日が。



「コクヨウ、ディオン?」

「はい?」

「何です?」

「愛しているわ、貴方達を心から。」



愛しき人。

この心を、貴方達にあげる。

だから、貴方達も永遠に私の事を愛してね?

私は、そう。

ーー貴方達の寵愛者。





よろしければブクマ、良いねボタン、感想、そして誤字報告お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ