クズの所業
クズは何処までもクズだった。
ニュクスお母様が呼んだ勇者を殺害するとは、本当に愚かと言うか、アホとでも言えばいいのだろうか。
神罰を与えられるのも当然である。
「あれ?では、今の聖皇国パルドフェルドの王族の血筋はどうなっているのですか?」
「今の聖皇国パルドフェルドの王族の血筋は、当時まだ幼かった皇子の子供達ね。まさか幼子まで親の罪に問うのは違うとも思ったけど、あの時に聖皇国パルドフェルドの王族の血筋は全て消滅させておくべきだったわね。」
うん、本当にそう思う。
いい事しないもん、聖皇国パルドフェルドの王族達は。
まぁ、貴族も同じだけど。
「他にも当時幼い王女も数人生かしたけど、教訓は活かされないものね。幼子であった皇子とは違い、きちんと皇女達には両親達が次々と謎の死を迎えた事は記憶に残っていたでしょうに。」
「全く理解せずにいたんですね。」
または、ニュクスお母様の神罰とは考えていなかったか。
勇者を殺した事に関わった者達はニュクスお母様の神罰で皆死んでいただろうから、原因の究明は出来なかった?
「うーん、でも、勇者の帰還の知らせが出た後に、大量の原因不明の死人が多く出たんですよね?普通なら、尋常ない力が働いたとしてニュクスお母様のご意志なのだと考えそうですけどね。」
「何人かは勇者の帰還と王族や貴族の突然死を紐付けていた者はいたわ。でも、一部の者達が勇者を害した何て考えもしなかったでしょうね。」
「確かに敬虔な者達からしたら、ニュクスお母様が呼んだ勇者を害した何て考えませんよね。」
可笑しいのは、動いた者達の方だろう。
しかし、そのせいで聖皇国パルドフェルドにとっての不幸となり、何の教訓も生まれなかったのだからどうしようも無い。
「ニュクスお母様、クレイシュナだけは、その血に負けない治政者となりましょう。」
「そうね、あの子だけは真っ当だわ。聖皇国パルドフェルドの王族には期待していなかったけれど、あの子なら私の聖女としても大丈夫そうね。母親の血のおかげかしら?」
おいおい、ニュクスお母様からここまで言われるなんて、相当だよ?
民としては愚かで無能な為政者は要らないもんね。
「ですが、ニュクスお母様。何故、聖皇国パルドフェルドの王族達は勇者を殺したのですか?こう言っては何ですが、勇者は利用価値があったと思うのですが?」
「勇者が残る魔族の殲滅に消極的だったからです。このまま意見が合わず、勇者が自分達と決別して魔族側に立つ事を恐れたのでしょう。勇者の優しさを利用して人質を取り、逃げられない様にして殺したのです。その事実を隠す為に勇者は故郷へ帰った事にされました。愚かな事をしたものです。」
ニュクスお母様の目が冷たく光る。
相当怒っているらしい。
「あの時、私は聖皇国パルドフェルドの王族達に天罰を与えました。勇者を殺した者や、それに関わった者達は全員が黄泉へと旅立ったのですよ。勇者を殺した事を知らないもの達にとっては突然、多くの人間が死んで混乱した事でしょうね。」
あらら。
自分が呼んだ勇者が理不尽に殺されたんだもの、ニュクスお母様が怒るのも当たり前だ。
本当、聖皇国パルドフェルドの王族達は碌な事をしない。
「そんなバカはブチっと断罪して正解でしたね、ニュクスお母様。生きていても碌な事をしませんもの。」
「本当よ。お情けで生かしたその血筋が、今度は私の可愛いディアちゃんに愚かな事をしたんだから学習しないと言うか、私の事をバカにしているのか理解に苦しむわ。」
「何も考えていないのでは?」
「アホだから?」
「はい、アホだからです。」
私とニュクスお母様の発言をクレイシュナが聞いたなら、笑顔で彼女も同意するだろう。
今のそれほど、元聖皇国パルドフェルドの王族達はバカでアホなので。
私達の共通認識です。
「ニュクスお母様、ご安心ください。クレイシュナには、次世代の教育をしっかりしてもらいます。彼女が育てる子なら決して、ニュクスお母様を失望させないでしょう。」
断言できる。
クレイシュナの手によって、ニュクスお母様への絶対服従の次世代が爆誕すると。
もちろん、私も手伝いますとも。
「これ以上。ニュクスお母様の憂いる事が聖皇国パルドフェルドで起きる事はないでしょう。」
それを許す私やクレイシュナではない。
徹底的な教育を施す予定だ。
「まぁ、それは頼もしいわね。さすがは、私の選んだ聖女だこと。」
「ニュクスお母様、是非そのお言葉は直接クレイシュナへ言ってあげて下さい。とても喜ぶと思うので。」
咽び泣く事だろう。
そして、クレイシュナのやる気が上がる。
ガチで。
「‥そう?ディアちゃんがそう言うなら、後で神託としてクレイシュナへ伝えましょう。」
「ありがとうございます、ニュクスお母様。」
よし、これでクレイシュナのやる気が上がり、仕事の疲れも吹き飛ぶ事だろう。
良かったね?
「そうそう、ディアちゃん。エストア国へ行くのでしょう?」
「あぁ、はい、そこに魔族が多種族と暮らしていると聞いたので、会いに行ってみようかと思っています。フィリオとフィリアと同じ同族ですし。」
「そう、気をつけるのよ?あそこは生きていくのも大変な土地だから色々と準備をしてから行きなさい?」
「はい、そうします。」
エストア国は暮らすのも大変な不毛な土地らしいしね。
準備はしっかりしていこう。
いざとなったら、転移で帰還する事も視野に入れておこう。
「ディアちゃん、何か困った事があったら、いつでも私の元へ来なさい?いっつでも助けになるわ。」
「はい、ニュクスお母様。とても心強いです。」
最強の守り手です。
ありがとう、ニュクスお母様。
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