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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
最終章〜魔族編〜
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勇者の足跡



リュストヘルゼ帝国の皇帝、ガルドフェインが起こした衝撃の戦は敗戦として終わりを迎える事となった。

皇帝の寵妃が魔族であった事実は、リュストヘルゼ帝国の民にも大きな衝撃を与える事となる。

が、私にはリュストヘルゼ帝国の内情など何一つ関係ないので、早速クレイシュナに会う為に聖皇国パルドフェルドへと出向いた。

そんな私達の事を快く迎え入れてくれたクレイシュナと向かい合い、約100年前にいたとされる勇者について聞いてみた。



「勇者様が本当にご自分の故郷へ帰還されたのか、ですか?‥‥私も詳しくは知らないのですが、我が聖皇国パルドフェルドでは、勇者様はご自分のお国に帰られたと伝わっておりますが?」



で、クレイシュナから返ってきた返事だ。



「やっぱり聖皇国パルドフェルドでは、そう伝わってるんだね。」

「えぇ、ディア様は、それが誤りだと疑っていらっしゃるのですか?」



クレイシュナが首を傾げる。



「うーん、疑っているって言うか、疑問?だって、勇者ってこの国の、世界の魔族への切り札だよね?なのに簡単に勇者を元の世界へ帰す事を許すのかなって思ってさ。」

「確かに勇者様のお名前は魔族に対して有効な牽制となりましょう。しかし、魔王を倒されたのですから、世界への脅威は無くなった思い、勇者様の帰還をお許しになったのではありませんか?」

「クレイシュナ、そこが疑問なの。魔王は倒しても、他の魔族が残っていたなら、世界への脅威は消えてないでしょう?それこそ、魔族の根絶やしなんて思想も噴き出しそうじゃない?そうなれば勇者の力こそ使いたいと思うんじゃないかしら?」

「・・確かに、有り得る話ですね。」

「でしょう?クレイシュナ、その当時、魔族は全ていなくなったと確認されていたの?」



マリアを筆頭に、動き出していた魔族の一部。

その魔族達が上手く隠れていたとしたなら、勇者の帰還が許されのも頷ける。

しかし、簡単に聖皇国パルドフェルドが勇者を手放すだろうか?



「‥‥いいえ、魔族の殲滅は出来ていなかった様です。」

「なら尚更、勇者が帰還したって事に疑問だね。勇者の名前は魔族には牽制に使えるし、聖皇国パルドフェルドにとってまだまだ利用価値のある存在よね?私なら自国の王女、又は上位貴族の女性と結婚させたりするけどな。」



政略結婚が一番の鎖となる。

勇者の一生を聖皇国パルドフェルドへ縛り付けることができるのだから。



「後は、国としては勇者の血を引いた子供は欲しいでしょう?それこそ、将来に勇者の力を継承する子孫が生まれる可能性があるんだから。」



それこそ、優秀な子供はたくさん欲しいだろう。

勇者の血筋なら優秀な子供が生まれる可能性が高いのだから。



「勇者が政略的な結婚を望んでいなかった可能性もあるよ?だから聖皇国パルドフェルドの王族達も勇者へ無理強いしなかったって。でもさ、この国の腐敗を知る私としては、絶対に勇者を自国に取り込もうとしたと断言する。」



信頼?

何それって言いたい。

これまでの聖皇国パルドフェルドの王族達に信頼など1ミリも有りはしないのだ。



「ふふふ、私もディア様に同感です。」



言い切れば、クレイシュナは同感だと笑って頷く。



「分かりました、当時の事を記した書物を洗い直させましょう。しかし、当時の聖皇国パルドフェルドの王族や貴族が多く亡くなった為に騒動になり、記録が残っているか分かりませんが‥。」

「‥‥人が多く亡くなった?」



その当時に?

不穏な予感しかないのですが。

勇者の帰還。

そして、その当時に多くの王族と貴族が亡くなった。



「ねぇ、クレイシュナ、それってニュクスお母様の怒りでじゃない?聖皇国パルドフェルドの王族や貴族が勇者に何かしたとしか思えないんだけど!」

「‥‥まさか、と言いたい所ですが、聖皇国パルドフェルドの王族を知る身ととしては否定が出来ないのが心苦しい所です。その可能性はあり得そうですね。」



クレイシュナと苦い顔でため息を付き合う。

おいおい、過去の聖皇国パルドフェルドの王族と貴族達よ。

ニュクスお母様が呼んだ勇者に何をしたんだ?



「まさか、暗殺とか?」

「‥‥。」

「‥‥。」



クレイシュナと2人、表情を無くす。

そうか、否定の言葉が出ないって事は、やりそうなんですね!?

まじか!

勇者ってニュクスお母様が呼んだ人なんだよね?



「だから、その当時に聖皇国パルドフェルドの王族や貴族達が多く亡くなったの?」



神罰の可能性が浮上。

ニュクスお母様が呼んだ勇者を理不尽に害したなら当然の報いだわ。

あくまで可能性の話だが。



「ディア様、聖皇国パルドフェルドの王族の血筋として、この国を統べる者として全力で調べます。これも勇者様をこの世界にお導きくださったニュクス様のご意志を知る手がかりともなりましょうし。私もニュクス様へお言葉を頂戴いただけるようの祈りを捧げます。」

「うん、お願いね、クレイシュナ。私も早速ニュクお母様に聞いてみる」



クレイシュナが勇者についての記録の洗い出しについて協力してくれるとの事なので、私はニュクスお母様に勇者について聞いてみる事にする。



「勇者について、ですか。あの者には本当に苦労をかけました。特に王族達は勇者の血を取り込もうと王女を寝所に送り込むなんて当たり前でしたからね。」



とはニュクスお母様のお言葉。

やはり、過去の聖皇国パルドフェルドの王族達もクズだった模様。



「で、勇者は王女の誘惑には乗らなかったのですか?」

「もちろんです。心優しき好青年でした。その魂も美しく、まさに勇者の名に相応しい子でしたよ。」



ふむ、なるほど。

ニュクスお母様がここまで言うなら、本当に勇者に相応しい人だったのだろう。

会ってみたかった。



「あの、ニュクスお母様。勇者が故郷へ帰ったと言うのは本当ですか?聖皇国パルドフェルドの王族達が、その勇者を故郷に帰す事に疑問なのですが?」

「あら、帰ってないわよ?」

「では、勇者は故郷に帰らず、この世界で暮らしていたのですか?」

「違います。殺されたのですよ、勇者は聖皇国パルドフェルドの王族達に。」



さらりと、ニュクスお母様の爆弾発言。

やはり最悪な展開でした。

まじか。

本当に勇者を聖皇国パルドフェルドの王族達は殺していた何て、驚愕するしかない。



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