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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第13章〜帝国編〜
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傲慢の少女は真実へ歩き出す


それは切なる願い事。

愛する者と、最後まで一緒にいる事。



「ーーー・・分かりました。ニュクスお母様の愛し子である、ディアレンシア・ソウルが、その切なる願いを必ず叶えましょう。」



彼は罪人だ。

本来なら、罪人である彼の願いを叶える必要など私にはない。

だけども私も思うのだ。

死した後も、私も愛する人と側にいたいと。



「愛し子様!?」

「なっ、その者は罪人なのですよ!!?」

「そうです。いくら魅了の力で操られていたとしても、罪人の願いを叶えるなど!」



上がる批難の声。

いくら被害が少なかったとは言え、目の前の男は憎いに違いない。



「その気持ちは分かります、あの者は貴方方の愛する国を、家族を危険に陥れた原因の1人です。許せないでしょう。憎いでしょう。」



ガルドフェインが死ぬ未来は確定の事。



「しかし、彼は罪を己が死ぬ事で償うと言っているのです。皆様は、これ以上、彼にどの様な償いを求めているのですか?」



罵り、罵倒する権利が彼等にはある。

それほどの事をガルドフェインは起こしてしまった。



「彼と寵妃を引き離せば満足ですか?それとも、彼の目の前で寵妃の身体を八つ裂きにする事をお望みなのでしょうか?」



復讐をするなとは言わない。

抗えない程に憎み、増悪を抱える事もあると知っているから。



「そんな手で、家族に、友に、仲間と抱き合い、祖国に守ったと言うのですか?きちんと自分達が罰を与えたと詳細を話して?」



落ちるのは簡単だ。

一瞬で、その場所へたどり着いてしまう。



「リュストヘルゼ帝国の皇帝、ガルドフェインは死をもって罪を償わせます。貴方方が無闇に手を血に染める必要はありません。貴方方の手は、大事なものを守る為にあるのですから。」



これ以上、その手を血に染める事はない。



「戦犯であるリュストヘルゼ帝国の皇帝、ガルドフェイン。死をもって罪を償いなさい。さすれば、私が貴方の願いを叶えます。罪を償いし貴方の願いを。」

「心より感謝する、ニュクス様の愛し子よ。」



ガルドフェインが深く頭を下げた。



「・・マリア、我が最愛。」



事切れたマリアの身体を掻き抱いたガルドフェインは、その首に短剣の刃を滑らせる。

噴き出す血飛沫。

それなのにガルドフェインは笑っていた。

幸せそうな表情で。



「ーーーお疲れ様、リュストヘルゼ帝国の皇帝、ガルドフェイン。そして、寵妃マリア。」



重なり合う2つの遺体。

こうして、戦は終焉を迎える事となった。

と言っても、戦後の後処理は終わる事なく大量にある訳で。



「リュストヘルゼ帝国とガルムンド王国の休戦協定でしばらく国の上層部達はは忙しくなりそうね。」



ガルムンド王国の王宮の一室を与えられた私達は、戦後処置を国の上層部達に心の中で激励しつつ、ゆっくりと休む事としよう。

色々と動いたから急速も大事だよね。



「ロッテマリーとルルシェルは満足できた?あれだったら、もう少し遊べるように私が手配するけど?」

「うふふ、大丈夫ですわ、ディア様。彼等の心をへし折る事が出来たので大満足ですので。」

「そうですね、死にたくないと私達に助けを懇願する様は本当に滑稽でした。この様な機会をくださったディア様には感謝の言葉しかありません。」

「なら良かった。」



本人達が満足しているなら、私がこれ以上何かする事はない。

心をへし折られた2人の復讐相手達は、これから先の人生をボロボロの身体で頑張って生きていって欲しいね。

クレイシュナも彼等には同情などしないから、怪我の回復を頼まれても不可能。

絶望の人生の幕開けであ。



「ディア様。ロッテマリーとルルーシェルの復讐が終わった今、どうなさるのですか?まさか、寵妃が告げた()()()をお調べになりませんよね?」



不安そうな表情のコクヨウに微笑む。



「あら、調べるのも楽しそうだと思うけど、コクヨウは反対?」

「事実かも分からない寵妃の妄言など危険すぎます。ディア様の身に危険が及ぶかも知れない事に関わって欲しくなどないですよ。」

「ふふ、心配してくれてありがとう。でも、気にならない?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて、ね?」



寵妃マリアが尋問の際に語った事。

リュストヘルゼ帝国からルーベルン国の間に有る、暮らすには厳しい砂漠地帯に多種族と暮らす魔族達がいると言う驚きの事実。



『あいつらは魔王様を倒した者達と暮らす裏切り者だ!同胞と言えど、あの地で朽ち果てるのがお似合いだわ!』



そう吐き捨てたマリアは、奴隷の身の落ちていたので、彼女が嘘を言える訳がない。

マリアの語った事は真実だと思って良いだろう。

生き抜く事も大変な地に魔族の生き残りが多種族と共存している。

その事実は驚きの一言だった。



「会ってみたいわ、その地に暮らす魔族や多種族達とも。面白い話が聞けると思わない?」



そう、魔族の真実とか、ね?



「おかしいと思わない?魔王を倒した勇者は元の世界に帰ったと伝わっているけど本当なのかしら?」



疑問が残る。

魔族の生き残りがいるのに、勇者の帰還を許すだろうか?



「あのクズな聖王国国王の親族だよ?真実だけを伝えているとは考えられないんだよね。」



なら、勇者の帰還の真相は?

自分達の魔王を倒した多種族と暮らす魔族の生き残りの目的は何?



「ねぇ、皆んな。本当に魔王は勇者に倒されたの?」



真実は闇の中。

答えを知る者は、この世にはいない。



「調べる価値はあると思うの。私達は真実を。それがこの先の生まれるであろう魔族達の、フィリアやフィリオの子供達の未来の為になると思うから。」



幸せになる未来を与えたい。

誰にも害されず、蔑まれず、普通の幸せな日常を。



「だから、皆んな、手伝ってくれる?」

「もちろんです。」

「ディア様のお望みのままに。」

「私達はディア様の願いを叶える為にいるのでからお任せください。」

「「頑張る~!!」」



コクヨウ、ディオン、アディライト、フィリオ、フィリアの5人が問題ないと笑い。



「我らは主人であるディア様の手足。」

「どうぞ、ご遠慮なく私達をお使いください。」



ロッテマリーとルルシェルの2人が遠慮なく自分達の事を使えと答えた。



「ありがとう。」



彼等の主人として、家族の代表として艶然と皆んなからの好意を受け取る。

これが私達のあるべき姿。

在り方。



「ーーー・・さぁ、真実を見つけに行きましょう。」



傲慢な少女は歩き出す。

この世界の真実へと。


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