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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第13章〜帝国編〜
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間話:皇帝の復讐(後編)




ガルドフェインside




何故、こんなにもマリアに執着するのか。

私の想像が正しければ、それはマリアによる魅了の力なのだろう。



「ふっ、あの時のお前との出会いも、マリアお前の計画通りの事だったのだろうな。」



頭が重い。

思考が散乱していく。



「っっ、まだ、ダメだ。マリア、私は、」



何も伝えていない。

大切な事は何一つ、マリア、お前へ。



「っっ、必ず、私がこの世界に復讐を果たします、魔王様!」



同じ復讐者。



「そうしたら、貴方様は私を褒めてくださいますよね?」



泣いていた。

恋しいと、ただただ、その姿を追い求めて。

私が失った感情。

マリア、君が思い出させてくれていた。



「マリアは心から愛しております、陛下。ガルドフェイン様。」



なら、その嘘にこの身を委ねよう。

ーーー・・例えこの身をマリアへ差し出したとしても。



「マリア・・?」



混濁していた私の意識が浮上した時、マリアの姿はなかった。

なぜ私の意識は回復したのか。



「・・まさか、マリアの身に何かあったのか?」



ふらつく身体で動き出した私が知らされたのは、我が国がガルムンド王国へと進軍したと言う事実。

ゆっくりと、確実に復讐に動いているのだ、マリアは。



「で、戦場はどうなのだ?」



返ってきた返事は、我が国が劣勢であり、マリアの正体が魔族だとニュクス様の愛し子が宣言したと言う最悪な展開だった。



「陛下、寵妃様が魔族などと言う妄言、本当なのですか?」

「だったらどうする、宰相?」

「なっ、やはり陛下は知っていらしたのですか!?本当に寵妃様が魔族であると?知っていて、今まで我々にも隠してたいたのですか!?」



真っ青になる宰相に鼻を鳴らす。



「ニュクス様の愛し子がマリアの事を魔族だと言うなら、そうなのかも知れないな?で、どうする?事実だと公表するか?我が国は魔族と関わっているとして滅ぼされるかも知れないな?」

「全責任は陛下にあります!お分かりでしょう!?魔族に唆されて貴方様は他国へ宣戦布告して開戦したのですから!!」

「私に全責任がある?おかしな事を言う。お前だって最終的には開戦する事を許可したではないか。それなのに、全ての責任を私に被れと?」



薄く笑い、宰相に近付く。



「宰相、国を思うなら私を殺してでも、止めるべきだった。そうだろう、宰相?」



しかし、宰相はしなかった。

なぜなら、宰相にとって、国よりも自分の方が大事だったからだ。



「なぁ、お前は何をした?ただ粛清される事に怯え、お前は私の言う通りに動いただけだろう?逆賊と言われようとも、愚王と思ったなら私を殺せば良かったのだ。そうすれば、国の平穏は保たれたかも知れないぞ?」



まぁ、マリアが許さなかっただろうが。

それでも、マリアの計画は遅れとなり、計略は潰えたかも知れない。



「なのに、お前は私だけが悪いと言うのか?自分にも何のお落ち度もないと?全ては私やお前の、我が国全ての責任だろう?」



くつくつ笑い鞘から剣を抜く。



「こんな腐った国など、この世から滅びてしまえばい良いのだ。そう思わないか、宰相?」

「っっ、陛下、何を、」

「あの世で待っていろ。私も直ぐにお前と同じ場所へ向かおう。」



私の計画は潰えた。

なら、私が生きる意味はマリアだけ。

宰相の胸に剣を突き刺す。



「か、は、」



血を吐き、倒れ伏す宰相を最後に一瞥した私は身を翻す。

向かうはマリアの元へ。



「マリア、どうだ?お前の計画は叶いそうか?」



飛龍を駆けさせ、マリアの元へと向かう。

だが、その時のはすでに遅く。



「っっ、マリア。」



マリアが捕われた事は周知され、歯噛みする。

間に合わなかった。

もう全ての計画は終わりを迎えたのだ。



「ならば、マリア。」



終わりにしよう。

この復讐の幕引きは、この私がする。

それがお前への償い。



「ふっ、お前は勝手な事をするなと怒るのだろうな?」



お前が覆い隠した性格は知っているぞ?

激情が激しく。

そして、そんなお前は寂しがりやだと言う事を。



「っっ、すまぬ、お前の怒りと憎しみを消してやれず、許してくれ!」



私の腕の中で、マリアが弱々しく微笑む。

それは、この腕に抱くマリアの命が尽きかけている証拠で。

涙が滲む。

この血に濡れた私の手では、最初からマリアの事を救う事など無理だったのだ。



「・・馬鹿な、人。」



そんな私の頬に伸びるマリアの手。



「私の、復讐に利用、されて、本当、に、馬鹿、よ。」



違う、マリア。

復讐に利用したと言うなら、私もマリアの事を利用した。

己の中にあった国への復讐に。



「ーーー・・あぁ、あんたの腕の中で終わるのも悪く、ないわね。」



なぁ、マリア。

お前は知っていたか?

その言葉で私がどれほど嬉しかったか。

少しでも、私の事を好ましく思ってくれていたのだろうか?



「私はこの国へ復讐する。マリア、君は私と共に代わりにこの国と世界に復讐をしてくれる存在だったのだ。」



事切れたマリアの頬を撫でる。

無能の王となり、国の全てをこの手で壊す。

それが私の復讐。



「その復讐も終わった。なら、もう良いよな?」



全てを、この世界に置いていこう。



「愛してる、マリア。」



この世界で唯一の私の理解者。

そして同じ復讐者。

お前が私を利用する為だったと分かっている。

それでも、私が無能でも側にいてくれた人。



「ーーーこの身を好きにしてくれていい。だから頼む、私達の亡骸を離さないでくれ。」



最後に願う。

マリアと最後まで一緒に。

私の願いは叶ったから、どうかマリアの心がこれ以上悲しむ事のない様に側にいさせてくれ。

銀髪の少女に願った。




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