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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第13章〜帝国編〜
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真夜中の会談

一瞬で変わる、視界。

ルインを連れ、私達はガルムンド王国の王宮内に借りている一室へと戻って来た。



「・・愛し子様、ここは?」

「ガルムンド王国の王宮内の一室です。」

「なっ、ガルムンド王国の王宮内!?一体、どうやって!?」

「ルイン様、落ち着いてくださいませ。事は急を要しますので、私の転移の魔法でガルムンド王国へ飛びました。」



戸惑うルインに微笑み、残っていたアディライト達へと視線を向ける。



「アディライト、何か変わった事は?」

「何もございません。」

「そう、下手したら寵妃がガルムンド王国内へ刺客を送って来るかもと考えていたんだけど、私の杞憂だったようね。」



国の統治者の暗殺ほど、動揺させるものはない。

この期に仕掛けて来る可能性も視野に入れて、アディライト達をガルムンド王国の王宮内に残していたのだ。



「っっ、まさか、寵妃様が暗殺者を放つと!?」

「えぇ、その事を少し懸念していたのです、ルイン様。その暗殺者がリュストヘルゼ帝国の者であれば、ガルムンド王国の怒りも増し、戦いは更に熾烈なものとなっていたでしょう?」

「・・確かに、そうなれば両国の争いはさらに壮絶なものになりますね。」



ルインが顔を硬くする。

寵妃の魅了で洗脳されたアルトを見て、その可能性もあり得たと理解したのだろう。



「ルイン様、早急に寵妃の策を潰しましょう。」



部屋のドアへと誘った。

私達一同は、ヒューイットの居場所を兵達に聴きながら、廊下を歩いていく。



「・・あの、愛し子様。先ほどから、兵達に私の事を見咎められないのですが、どうしてでしょう?」



リュストヘルゼ帝国の紋章入りの甲冑とマント姿。

戦争を仕掛けているリュストヘルゼ帝国の姿を見て、ルインの事をガルムンド王国の兵達が見咎めない不自然さに首を捻る。



「今のルイン様の姿は兵達に見えておりません。ヒューイット様に会う前に騒動になりますから。」



私の隠蔽魔法だ。

この魔法で、ルインの気配、声、足音、臭いまで覆い隠している。



「・・愛し子様は何でも出来るのですね?」

「ふふ、努力しておりますから。自分の大切なモノを誰にも奪われないように。」



私の原動力。

そして、生きる力なのだ。



「愛し子様!?こんな夜更けにいかがなさいました!?」



ヒューイットがいる部屋の前で警護している側近の護衛官が私の登場に驚きの声を上げる。



「先触れもなく、申し訳ありません。急ぎ、ニュクスお母様の愛し子としてヒューイット様にお話ししたい事がございましたて、お取り継ぎいただけますか?」

「はっ、確認して参ります!少々、お待ちください!」



私が愛し子としてと告げれば、ヒューイットへ確認する為に部屋の中へ消える、側近の護衛官。

護衛の鏡だ。

誰であろうとも、護衛する主人の許可なく部屋の中に不用心に入れないにだから。



「許可が降りました。どうぞ、中へお入りください。」



待つ事、数秒。

護衛官の手によって開けられた扉を私達は潜る。



「ーー愛し子様、この様な夜更けにお話とは、何か緊急な事でしょうか?」



部屋の中に集うのは、ヒューイットの側近。

今のガルムンド王国を運営して支えている、首脳陣達である。

円卓のテーブルで話し合い中だった彼等は、疲れ切った様子ながらも、椅子から立ち上がり私の事を迎え入れた。



「はい、ニュクスお母様の愛し子として、大切な事をヒューイット様や皆様にお伝えに参りました。お忙しい所、申し訳ございません。」



淑女の礼で感謝の意を示す。

リュストヘルゼ帝国との防衛や戦略を立てている忙しい所に乱入したのだらか、当然の事。



「いえ、お気になさらず。このような夜更けに来るのですから、愛し子様として大事なお話が我々にあるのでしょう。」



ヒューイットは私へ椅子に座るよう進める。



「お心遣い、ありがとうございます、ヒューイット様。実は、大事なご報告と皆様に会っていただきたい方がいるのです。」



椅子に座り、私は神妙な表情で首を傾げた。



「会っていただけますか?」

「我々に?一体、どなたでしょう?」

「リュストヘルゼ帝国のルイン・カウベリン辺境伯様です。」



ぱちりと指を鳴らし、ルインへの魔法を解除する。

現れる、ルインの姿。



「「「「っっ、!?」」」



リュストヘルゼ帝国の紋章入りの甲冑とマント姿のルインに、ヒューイット達は立ち上がり、臨戦体制になってしまう。



「落ち着いてくださいませ、皆様。ルイン様は敵ではございません。」

「しかし、愛し子様!この者の祖国は我が国に宣戦布告をし、兵を国境まで差し向けているのですよ!?」



ルインに向かう視線は厳しい。

その気持ちは分かる。

いきなりの宣戦布告をしたリュストヘルゼ帝国への憤りも。



「ヒューイット様、ルイン様の身柄は、私の庇護下におります。この意味、お分かりになりますか?」



私が連れて来た意味を考えろ?

ルインを殺せば、それ即ち、私の逆鱗に触れると。



「まずは、勝手にヒューイット様達に知らもせずルイン様をガルムンド王国の王宮にお招きした事を謝罪いたします。ですが、ニュクスお母様の愛し子として、ルイン様がヒューイット様達、ガルムンド王国に対して害意を持っていない事を約束いたします。」



ルインの指揮下の手駒となっていた兵の気配が途切れれば、寵妃は確認に動くだろう。

怖いのは、寵妃の計画が早まる事。

ヒューイット達の説得に時間を取られ、ガルムンド王国の準備が終わらない事だ。



「事は急を要する為、こうしてルイン様を皆様に引き合わせました。どうか、これからする話をお聞きになって欲しいのです。」



寵妃の計画の阻止。

その為の内密の会談を、こうして儲けたのだ。



「今からする話は、これから起こる戦いにも関わる事。世界中の未来にも関わる重要な話と心得てください。」



失敗は許されない。

だから、新たな混乱の種になり得るルインを、ヒューイット達に討たせる訳にはいけないのだ。

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