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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第13章〜帝国編〜
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戦を呼ぶ者

驚き、固まるルイン。

ロッテマリーの事を、ルインは凝視し続ける。



「・・マリー、生きて?」

「はい、こうして私は生きております、ルインおじ様。そして、ルルーシェルも。」



視線を向けられたルルーシェルも被っていたフードを外す。



「お久しぶりでございます、カウベリン辺境伯様。ロッテマリーお嬢様にお仕えしておりました、ルルーシェルですが、覚えておりますでしょうか?」

「あぁ、マリーの側にいた子だね。そうか、君も生きて・・・」



ルインが目元を隠す。



「まさか、君達が生きているなんてっっ、」



肩を震わせた。



「っっ、君達は死んだ者だと思っていた。君達の事を迎えに行った者の話では、2人共ひどい欠損があり、長く生きられないだろうから放置した、と。」



助けられなったことへの嘆き。

何も出来なかったことへの後悔。



「我が友であるカインが愛した者達を全て失ったのだと思っていたのだ。」

「ルインおじ様、ディア様、ディアレンシア・ソウル様は私とルルーシェルの命の恩人の大事な方。どうか、お話をお聞きくださいませんか?」

「・・分かった、話を聞こう。」



頷いたルインは落とした剣を拾いあげると鞘へ納め、テーブルの上に置く。



「良いのですか?」

「うん?」

「剣を手放して。不用心なのでは?」



首を傾げて指摘する私に、ルインは小さく笑った。



「どうやら、ロッテマリーは私よりも強くなっている様だ。そんな彼女がいるのに、私が武器を持っていても意味が無いだろう?」



自分では、今のロッテマリーに負ける。

そう分かっているから、こうして武器を手放すのだとルインが告げる。



「それに、君は私の旧友の忘れ形見達の命の恩人だと言うじゃないか。そんな君達を攻撃できやしないよ。」



ほろ苦い表情を浮かべた。



「まず最初にお礼を。旧友の忘れ形見の2人のことを救ってくれた事、心より感謝する。」



私へと頭を下げる。



「ーーーさて、彼女達と積もる話もしたいが、今は君達の話を聞こうか。何故、こうして危険を犯してまで私の元へ?」

「端的に申します。貴方達の計画は相手に筒抜けですので、中止してください。」

「何だと!?」



ルインが目を見開く。



「まさか、そんな、事実なのか?」

「はい、間違いありません。貴方の仲間の中に、あちらの間者がいますので。」

「っっ、バカな、皆、今回の計画を知るのは私の信頼の厚い者達だ。まさか、我々を裏切るなど、」

「信じられないと?」

「・・あぁ、俄かには信じられない。」

「でしょうね。今回の計画に対して、貴方方は細心の注意を払っていましたから。」



情報漏洩。

計画の発覚。

ルイン達は、自身の計画がバレぬ様に皇帝ガルドフェインの命に従うフリをしてきたのだから。



「ですが、魔法で操られていたら?どんなに貴方や他の者を慕っていても、操られてしまっていては相手に情報は渡ってしまいます。」

「・・我々の中にいる間者も魔法で操られていると?」

「はい、そうです。」

「しかし、誰が?皇帝陛下は相手を操る様な魔法は得ていなかったはずだが。」

「皇帝陛下でなくても、側にいられるではありませんか。」

「っっ、まさか、」

「そのまさか、寵妃マリア様です。」



にこりと微笑む。



「寵妃様が我々の仲間を操っていると?」

「さようです。」

「しかし、寵妃様が何故?皇帝陛下の為か?」

「いいえ、ご自身の為です。今回の各国への宣戦布告を含め、すべての元凶は寵妃様なのですから。」



戦は怒りを。

そして、新たな戦を呼ぶ。

終わりなき戦果。



「もしも、このまま戦火が広がればどうなりますか?争いは怒り、憎しみ、そして新たな敵を作り出します。」



最後に残るのは?



「寵妃様の狙いは、この世界の終焉。全ての人間、種族の根絶やしでしょう。」

「・・なぜ、寵妃様が世界を滅ぼそうと考える?」

「彼女が、魔族だからです。」

「なっ、魔族、だと!?皇帝陛下の寵妃様が、か!?」

「寵妃マリア様の本当の名はマリージュアと言います。強い魅了の力を持った魔族です。」

「魅了!?」

「はい、その魅了は皇帝陛下へ、その他にも使われているでしょう。」



王宮に残る者は、ほとんど彼女の操り人形。

理性が残っているか五分五分。



「っっ、皇帝陛下も魅了されていると?」

「可笑しいと思いませんでしたか?リュストヘルゼ帝国が大陸の覇者となる事を願っていると言っても、各国に同時に宣戦布告するなどと。」

「確かに、各国への宣戦布告をする事を告げられた時の皇帝陛下の様子は早急に戦火を広げたがっている風に思えた。しかし、それも、大陸統一への欲だと思っていたのだ。」



ルインが呻く。



「私の話を簡単には信じられないでしょう。ですから、貴方が信じられる方にも証言してもらいます。」



虚空に視線を向ける。



「皆んな、少し来てくれるかな?」



降り立つ6つの神気。



「なっ、まさか、精霊王、様・・?」



突如降り立った精霊王である皆んなの姿に、ルインが言葉を失った。

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