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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第12章〜獣人編〜
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落ちる、ロウエン

竜人族であるヒューイットは、とても義に厚く、民の為なら率先して戦場に立つ事も厭わない男である。

王よりも、武人である事を誇り、長年、国に仕えてきた。

が、今の力に驕り高ぶり、人間や多種族を見下す王家や貴族に嫌気がさし、一族を連れ、辺境に引っこんでしまった。



「そのヒューイットが王位に就くのに相応しいと、リリスは言うのね?」

「はい、ディア様。」



リリスが調べ、相応しいと言うなら、問題ないだろう。

ひとつ頷く。



「分かった、そのヒューイットに接触し、王位に就く気はあるか確認してちょうだい。王家や貴族の腐敗を憂いているなら、立つ様にと。」



逃げず、戦え。

この国の、住人として。



「かしこまりました、直ちにヒューイットと接触いたします。」

「リリス、その時に迷う様なら、ニュクスお母様の愛し子の私の怒りに触れた事を教えなさい。それで、国が危ういと分かる事でしょうから。」



それでも迷うなら、ヒューイットは王位に向かない。

他の人間を探し出す事になる。



「あぁ、後、ヒューイットは竜人族だったわね?」

「はい、さようです。」

「なら、カイザーからもらった鱗を持って行って?同じ竜として、役に立つと思うの。」



リリスにカイザーの鱗を手渡す。

こうして、ガルムンド王国の新たな王としてヒューイットが候補に上がった。



「ヒューイット様、後の事をお任せしても?」

「はい、もちろんです、愛し子様。この度は、愛し子様と、精霊王様方には大変なご迷惑と不快なお気持ちにさせた事、獣人族の代表として深くお詫び申し上げます。」



私達へ深々と頭を上げるヒューイット。

出来た人である。

ゴミの様な王は、最後まで私達に謝罪はなかったもの。

器が違うことが窺い知れると言うものだ。



「謝罪をお受けいたしますわ。私達に暗殺者を差し向け、冤罪を被せようとした方以外の獣人族に対して何のわだかまりは有りませんのでご安心を。」

「感謝いたします。」



そのまま、罪人達や関与した者達の情報をヒューイットへ預け、私達は王宮を後にする。

もちろん、冒険者ギルドの屑の事も伝え済み。



「ーーーディア様、お借りしていた海竜、カイザー様の鱗をお返しいたします。」



一件落着。

新たな王となるヒューイットと、その一族達に後始末を任せ、宿に戻ってきた私へリリスがカイザーの鱗を差し出して来る。



「ふふ、カイザーの鱗は役に立ったかしら?」

「はい、この鱗を見せれば話をすんなりと聞いてくださいました。さすが、竜の鱗だと感心いたしました。」

「そう、リリスの役に立ったなら良かった。」



竜人族は竜からなった種族。

故に、竜人族ならカイザーの鱗に反応すると思った。



「リリス、しばらくヒューイット達の力になれるよう、手を貸してあげてくれる?」

「ディア様がお望みでしたら。」



首肯するリリス。

しばらく、監視と手伝いをリリスへ任せる。



「あの、ディア様、お話は終わりましたか?実は、ロウエンがディア様に会いたいと参っているのですが。」



アディライトがロウエンの訪問を告げた。



「・・そう、リリス、王宮のことは全て貴方に任せるわ。お願いね?」

「はい、かしこまりました。」



私の影に消えるリリス。



「アディライト、私の用は済んだから、ロウエンを部屋に入れてあげてくれる?」

「はい、ディア様。」



アディライトへ指示し、ロウエンが来るのを部屋の中で待つ。

待つこと数分。

アディライトの案内で、部屋中へ入って来たロウエンが私の前に姿を表した。



「久しぶりね、ロウエン?」

「っっ、」



微笑めば、くしゃりと崩れるロウエンの表情。

泣き腫らした目は、今のロウエンの心情を表している。



「お爺様の事、残念だったわね?」

「知って・・?」

「えぇ、最後に会わせてあげられなくて、ごめんなさい。」

「あんたのせいじゃ無い。」



ゆるゆると、私は何も悪く無いんだと首を横に振るロウエン。

あんた呼ばわりのロウエンに、私以外の全員がピクリと眉を動かすが、手で押し留めておく。



「で?ロウエンは何しに私の元へ来たの?」

「お、れ、1人になって、」

「えぇ、それで?」

「っっ、何でかな?爺さんを失って悲しいのに、あんたの事が頭から離れないんだ。」

「・・そう、いらっしゃい、ロウエン。私の元へ。」



ロウエンへ手を差し出す。

そんな私の元へ、ロウエンが飛び込んで来る。



「っっ、あぁぁ、」



ソファーに座る私の太ももに顔を埋め、泣きじゃくるロウエンの髪を撫でた。



「大丈夫、私がいるわ。」



言い聞かせる。

まるで、洗脳の様に。



「どうする?ロウエンは、私の側に居たいかしら?」



無言でロウエンが頷く。



「ふふ、なら、ちゃんと言葉にしなさい?私のモノになる、と。」

「っっ、なる。あんたのモノに、俺は。」

「ふふ、良い子ね、ロウエン。私の可愛い、番犬さん。」



私の手の中に落ちた、ロウエン。

こうして、私はロウエンの事を手に入れた。

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