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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第11章〜勇者編〜
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増悪

暴れられたら面倒なので、このまま相馬凪と話す事にする。

危険人物には枷が必要よね?



「貴方の事は、ニュクスお母様から全ての全権を私が任されているから、安心してね?ちゃんと貴方に相応しい罰を与えてあげるから。」



この男の処遇は、私の采配で決まる。

全ては私の心次第。

なら、私が何をしようとも、誰も意義を唱える事は叶わない。

すなわち、相馬凪の助けはないという事。



「ふふ、どんな風に勇者様と遊ぼうかしら?色々と候補があり過ぎて、迷っちゃうな。」



期待は膨らむ。



「楽しみね?私の為だけに召喚された、勇者様?」



相馬凪の髪を掴み持ち上げた。

絡み合う視線。

相馬凪の瞳に孕む怒りと屈辱の色。



「あらあら、とても無様で良い顔です事。大丈夫よ、簡単には壊れない様に大事に遊ぶから安心して?」



うっそりと笑う。

簡単に壊してなるものか。

何度も、繰り返し地獄を味わってもらうのだ。



「そう言えば、貴方はそう言う遊びがとても得意だったよね?」



忘れてないわ。

貴方からされた事は、何一つ。



「・・っっ、そ、れは、ど、う言う、意味、だ?」

「ふふふ、」



笑みを零し、相馬凪の耳元へ唇を寄せる。



「ーーー・・日坂弥生で遊ぶのは楽しかったでしょう?」



甘く毒を相馬凪へと囁いた。

日坂弥生。

私のあちらの世界での名前。

覚えている?



「貴方の玩具だった女の名前を忘れちゃったかしら?」



忘れたなら、思い出させてやる。

お前から与えられた苦痛も、絶望も、その身に全て。



「ーーーっっ、ひ、さか、やよ、い・・?」



相馬凪が声を震わせる。

その顔を微笑んで私は覗き込んだ。



「あら、ちゃんと覚えてた?貴方の退屈凌ぎの玩具だった女の事を。」



口元を歪ませる。



「貴方の事だから、玩具の事なんて忘れているかと思ってたわ。」



やった方は、簡単に忘れる。

だって、自分は全く痛みを感じないから。

でもね?



「私は、貴方を忘れた事なんかなかったわ。」



された方は、忘れられないの。

あの時の痛み。

理不尽な日々も、今も私の中に増悪として残っている。

簡単に忘れる事なんか出来ない。



「ふふふ、私が貴方の事を覚えていて嬉しいでしょう?」



相馬凪の髪を掴んでいる手に力がこもった。

忘れてなるものか。



「ーー・・お前の事を絶対に許さない。」



私の瞳に浮かぶ増悪。

どんどん手に力を込めていく。



「うっ、く、」



痛みに苦痛に歪む相馬凪の顔。



「どう?痛い?」



私が受けた痛みは、こんなものじゃない。

もっと苦しんで?

痛みにもがき苦しめば良い。



「相馬凪、私がお前の事を地獄に叩き落としてあげるよ。」

「っっ、」



微笑む私に、相馬凪の顔に恐怖の色が宿る。



「・・・な、なぁ、お前、は、日坂、や、弥生、なのか?」

「ふふ、さぁ?」



空いている方の手を相馬凪の頬へ伸ばす。



「今はまだ、その事をお前が知る時ではないわ。」



相馬凪の頬に食い込む私の爪。



「お前はこれから先、ゆっくりと絶望と言う名の真実をその身で知っていく事になるのだから。」

「っっ、」

「私と遊ぶ日を楽しみにしていて?きちんと、遊んであげるから。」

「ひっ、い、いや、」



恐怖を滲ませ、何とか逃げようとする相馬凪の意識を魔法で眠りの淵に落とす事で刈り取る。

私の魔法で崩れ落ちて意識がなくなった瞬間、ニュクスお母様からの重圧の戒めも解かれる相馬凪の身体。



「ディア様、この男は私が運びます。」



ディオンが私から、意識のない相馬凪の身体を受け取る。

その顔は不愉快そう。



「ディオン、どうしたの?機嫌が悪い?」

「この男をディア様が触れている事が無性に腹ただしいですね。すぐに手を綺麗に洗ってください。」



真顔で言われてしまう。

相馬凪、ディオンからすごい嫌われようだよ?

大変ね、これから先。

ディオンが転移で意識を失っている相馬凪の身体を運び出す。



「い、愛し子様、勇者様はどこへ?」



私に近付く1人の神官。



「彼は私の監視下で罪を償っていただきます。それで、ニュクスお母様もお怒りを鎮める事でしょう。」

「・・・勇者、様としてのお勤めはどうなるのでしょうか?」

「もっともな質問ですね。」



あんな男でも、この世界にとっては希望の光。

失う事は痛いだろう。



「あの者は、すでにニュクスお母様から、ある神罰を受けています。」

「ニュクス様からの神罰を!?」

「それほどまでに、勇者様へのニュクス様のお怒りは深いと言う事か!?」

「ニュクス様へ、あの様な暴言を吐いたのだ、当然だろう。」



周囲に動揺が広がる。



「して、愛し子様、ニュクス様から勇者様への神罰とは何なのでしょうか?」

「ニュクスお母様からの神罰は、勇者としての資格の剥奪。あの者は、もう勇者ではありません。」



にこりと微笑んだ。




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