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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第11章〜勇者編〜
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偽りの聖女

集まる、リアナ皇女への不信感。

本当に聖女なのか?

なら、どうしてニュクス様は聖女と嘯く小娘とリアナ皇女へ詰問するのだろう?

周囲の様々な疑惑の目がリアナ皇女へと向く。



「ーーーっっ、あ、たくし、は、」

「ご自分が聖女であると周囲に偽ったのですよね?リアナ皇女殿下?」



私はリアナ皇女の言葉を遮る。

一斉に私へ集まる視線。



「だって、本当の聖女様は貴方の妹君である、クレイシュナ皇女殿下ですもの。そうでしょう?」

「っっ、」



私の指摘にリアナ皇女が身体を震わせた。

クレイシュナ皇女殿下。

皇国が戯れに手を出した侍女が生んだ皇国の第五皇女である彼女が本当の当代聖女であるのを、ただ母親の身分が低い為に真実は隠されている。



「なっ、クレイシュナ皇女殿下が本当の聖女様!?」

「事実なのですが、リアナ皇女殿下!?」

「我らを謀ったのですか!?」

「お答えください、リアナ皇女殿下!」

「貴方が聖女様なのですよね!?」



周囲の貴族達から非難や怒号を浴びるリアナ皇女。

涙を滲ませ、俯いてしまう。



「皇王様は、この事実をご存知だったのですか!?」



その矛先は、皇王へと向く。



「わ、私は知らぬ!リアナが聖女だと言われ、信じていただけだ。」



必死に首を横に振って否定する皇王。



「あら、それは可笑しいですね?リアナ皇女殿下が聖女なのを不審に感じて意見した神官を、皇王様は処罰しているじゃないですか。」



私の口が釣り上がる。



「リアナ殿下が聖女であるのか不審に感じている者がいるのに、皇王様とあろうものが真実を調べなかったと?言われた事だけを信じて?」

「そ、それ、は、!?」

「貴方はリアナ皇女殿下が聖女でないと不審に感じていながら、放置していたのですか!?ニュクスお母様の信託を賜る大切な聖女様の事なのに?」

「っっ、」

「言われた事だけを信じ、何もしない王は必要ですかね?」



責める私に戦慄く皇王の口元。



「ディアちゃん、パルファンはその娘が聖女じゃないと知っていたわ。その事実を知りながら、身分の低い母親から生まれた娘が聖女では、皇国として外聞が良くないからと言う理由で真実を闇に葬ったのよ?」

「っっ、す、べて、ご存じ、で・・?」

「私はニュクス。この世界に生きる全ての母である事を忘れたか?」



皇王をニュクスお母様が見据える。



「聖女の隠蔽に関わった者全員の事を私は知っているわ!」



次々とニュクスお母様が名前を上げていく。

ニュクスお母様が上げた名前の中には、この国の皇妃や親族、一部の貴族と鑑定持ちまで。

名前を呼ばれた者達が、一様に顔を青ざめさせていく。



「パルファン、偽の聖女について何も私が言わなかったのは、ちゃんと信託を民に伝えていたから。だが、私にも限界があるのだ!」



ニュクスお母様が厳しく告げる。



「しかも、今、この世界には私の大切な愛し子がいる。だからこそ、パルファン、お前の罪を正し、この世界の安念を何よりも私は求めていると知れ!」

「・・・あっ、あぁ、」



崩れ落ちる皇王。

絶望が皇王の顔を染めていく。



「皇国の勇敢なる兵達よ、女神ニュクスの名において命ずる。今、私が名前を挙げた聖女の名を偽る事に関わった者達は神敵である!」



ふわりと、浮き上がったニュクスお母様の髪が風に揺れる。



「神敵である者達を、全員残らず捕縛せよ!」

「「「はっ!」」」



ニュクスお母様の命令で一斉に動き出す兵達。

次々とニュクスお母様の口から上がった名前の者達が兵達により捕縛されていく。



「ひっ、い、嫌!」

「この手を離せ、この、無礼者!私はこの皇国の皇妃ぞ!」



リアナ皇女が、皇妃が兵達に抗う。



「わ、私は何も知らぬのです、ニュクス様!」

「どうかニュクス様、お許しを!」

「ニュクス様、冤罪なのです!」



捕縛された中には、ニュクスお母様へみっともなく縋ろうとする者さえいる。

ニュクスお母様から視線を向けられる事さえないのだが。

自業自得なのだが、哀れである。



「ディアちゃん、後の事は全て任せても良いかしら?」

「ふふ、もちろんです、ニュクスお母様。私に後の事はお任せください。」

「ありがとう、私の愛し子。」



光の粒となり消えていくニュクスお母様の身体。

その神々しい光景を、敬虔な信者である者達は平伏して見送った。



「さて、と。」



ぐるりと周囲を見回す。

未だに地面に潰されたままに相馬凪に、涙を流してニュクスお母様の姿を追う者、捕縛される事に抵抗しようとして失敗すると言う光景が広がっている。



「まずは、勇者様から、ね。」



相馬凪へ近付いた。



「ーーーねぇ、勇者様?私の声は聞こえてるかしら?」

「っっ、」



ピクリと反応する相馬凪の身体。



「あぁ、良かった。ちゃんと私の声が聞こえてるね。」



安堵に微笑んだ。




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