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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第11章〜勇者編〜
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顔合わせ

ギルド長との話を終わらせた私達は、そのまま自分達が泊まっている宿へと帰る。

空間収納があるので、買い物は不要なのだ。

すでに全ての準備が整っている私達は、このまま王城へ向かっても良いぐらいなのだが、今日の所は行かない事にする。



「・・いる、のね、王城に相馬凪が。」



部屋の中のソファーへ腰掛け、自分の胸元に手を当てる私。

この手の届く範囲に、あの男がいる。



「っっ、」



震える、私の身体。

もう少しで、私の願いが叶う。

どんな顔をする?

絶望に染まった時、相馬凪、貴方は。



「・・早く、見たいわ。」



あの男へ与えるのは、私以上の絶望を。

それが、私の願い。

希望なのだ。



「ディア様、リッラックス効果のあるお茶を入れました。どうぞ、お飲みください。」



目の前のテーブルの上に置かれるカップ。

アディライトお手製の紅茶らしい。



「ん、ありがとう、アディライト。いただくわ。」



温かな紅茶の入ったカップを持ち上げて、自分の口元へ運ぶ。

一口飲み、身体の力を抜く。



「今日のお茶もとても美味しいわ、アディライト 。」

「ふふ、ありがとうございます、ディア様。」



嬉しそうにアディライトが微笑む。



「ディア様、僕とディオンの2人で街へ買い物へ行ってきます。」

「迷宮へ入る為の準備のフリは必要でしょうから。」



立ち上がる2人。



「ん、2人とも気を付けてね?」

「はい、すぐに戻ります。」

「私達の大切なディア様の事を悲しませたりしません。」



2人に撫でられる頬。



「行ってまいります、ディア様。」

「アディライト達がいるので大丈夫だと思いますが、無茶はしないでくださいね?」

「ただ部屋の中で休んでいるだけんだから、2人が私の事を心配する必要なんかないわよ。」



私の事を心配をする2人に笑う。

本当に過保護。

最後まで名残惜しそうな2人が街の中へと向かった。



「明日から、忙しくなりそう。」



紅茶を飲みながら呟く。

コクヨウとディオンの帰りを待ちながら、私は明日への事へ思いを馳せた。



「ーーーそなた達が、Sランク冒険者なのか?」



翌日。

聖皇国パルドフェルドの皇王、パルファンの前に跪き首を垂れる私達。

一冒険者としての対応である。



「皇王様、冒険者ギルドのギルド長、ミルドレイからの推薦状がこちらのようです。」



恭しく皇王へ差し出す私達の推薦状。

リリスからの情報によれば、推薦状を差し出した男が宰相なのだとか。

皇王が推薦状の内容に目を通す。



「ほう、その年で、Sランク冒険者なのか。」



驚きの声を、皇王が上げる。



「はい、勇者様達の為の即戦力となるかと。」

「ふむ、良かろう。そなた達は明日から勇者様達と共に迷宮へ行き、その力を存分に我らの為に使い、攻略に協力するが良い。」

「はい、皇王様と、勇者様達の為に力が及ぶ限り、尽力いたします。」



深く頭を下げる。

これで第一関門を突破。



「まずは、そなた達と勇者様達と顔を合わせが必要だな。誰か、勇者様をお呼びしなさい。」



皇王が指示を飛ばす。

数分後、この場に近付く数十人の気配。



「ーーー皇王様、俺達をお呼びと聞きましたが何でしょう?」



私の前に、相馬凪達が姿を現した。

嫌な汗が噴き出す。



「・・・ディア様、大丈夫ですか?」



コクヨウに握られる手。



「ん、大丈夫。」



一息つき、私は相馬凪を見上げた。



「そこにいるもの達が、明日から勇者様達の迷宮討伐の協力をしてくれる冒険者です。」

「彼女達が?」



相馬凪達の目が、私達へと向く。



「役に立つのですか?」

「子供もいるじゃん。」

「大丈夫なの?」

「迷宮は、子供の遊び場じゃないぜ?」



幻影の指輪で魔族の特徴を消したフィリアとフィリオの2人を見て、不安を漏らす勇者達。

あまりの言いように、頭の芯が冷えた。



「失礼ながら、彼女達も優秀な冒険者です。今の勇者様方よりも。」

「何だと?」



不快げに顔を歪ませる相馬凪。

私達の視線が絡む。



「ですが、ニュクス様から選ばれた勇者様方なら、すぐにでも彼女達よりも強くなる事でしょう。その手助けを、どうか私達にさせてください。」



婉然と微笑む。



「・・お前、名前は?」

「ディアレンシア・ソウルと申すます、勇者様。どうぞ、お見知り置きを。」



これが、今の私の名。

貴方を地獄へ突き落とす者の名よ。



「ふっ、ディアレンシア・ソウル、か、気に入った、お前の事。明日からの迷宮討伐にお前達を付き合わせてやる。」

「ありがとうございます、勇者様。私達一同、勇者様の為に誠心誠意に努めさせて頂きます。」



恭しく、相馬凪へ頭を下げた。

こうして、私達は勇者一行と迷宮へ入る事が決まった瞬間。

地獄への入口は開いた。




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