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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第10章〜海竜編〜
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素直な気持ち

増えた私への暴力。

相馬凪はそんな私を、ただ笑って見ているだけ。

私は目を閉じた。



「っっ、だって、私の言葉なんて、誰も必要ないでしょう?」



唯一、私に許されたのは逃げ。

全部を投げ捨てて、あの世界から逃げ出す事。

お母さんからもらった自分の命を大事に出来ない事は悲しかったけど、それだけが私に許された最後の希望だったの。



「・・っっ、私の何が、ダメだった?」



声を張り上げれば良かった?

自分は何も悪くないと、無実なんだと冷たい目を向ける人達に泣いて縋れば正解だったの?

誰も信じてくれない、真実の言葉を並べて?



「・・もう、分かんないよっっ!」



何が正解で。

私の進んだ選択の何が間違いだった?

誰か、教えてよ。



「私は、どうすれば良かったの・・?」



自分の進むべき未来が分かる人なんかいないだろう。

だからこそ、悩む。

この選択が自分にとって最も最善の道なのか、と。



「・・・他には?ディア様が今、心の中で思っている事を全て私に吐き出してみてください。」



ディオンに頭を撫でられる。

・・今、私が心の中で思っている事?



「良い、の・・?」



声が震える。

私の本音を、素直な気持ちを吐き出しても、ディオンは許してくれるの?



「・・嫌な顔をしない?」



怖い。

全てを曝け出す事が怖くて仕方がないの。



「怖がらないで、こうして私達がディア様の側にいるでしょう?」

「ん、」



ディオンに握られる、私の手。



「・・怖い。」

「何が怖いのですか?」

「相馬凪。」



その名前だけで、自分の身体が震える。

あの男が怖い。

私がクラスメイト達に虐められる姿を心底、楽しんだと言わんばかりに笑いながら見つめるあの男が。



「それから?」

「・・私の大切なものを、相馬凪に取られそうで怖い。」



お気に入りだったペン。

新しいノート。

相馬凪の主導のもと、虐めに加わったクラスメイト達によって全て奪われていった。

最後に私に残ったのは、自分の身体だけ。



「ディアの大切なものとは?」

「・・皆んな。」



やっと手に入れた、私の大切な家族達。

それさえも奪われるの?



「私達の事をディアは取られたくない?」

「ん、」

「ずっと、側ににいて欲しいですか?」

「っっ、うん、」



ディオンの背中に腕を回し、縋り付く。



「離れたくないっっ、!」

「ーーー・・良く言えました、ディア。」



深く、抱き締められた。



「私達は、ディアの思っている事を聞きたい。あぁして部屋に1人で引きこもるのではなく、ご自分の身体を傷付けるのではなく、こうして向き合って欲しいのです。」



ディオンが私の顔を覗き込む。



「ディアの事が、何よりも大切なのです、私達は。」

「・・うん。」

「もう、あんな事は二度としないと約束してください。」

「・・ん、約束する。」



こくりと頷く。

頷く私に、ディオンと、後ろのコクヨウが安堵の息を吐く。



「それで、ディアはどうしたいのでしょう?」

「・・どう?」

「あの男と会いたいですか?」

「っっ、」



どくりと、嫌な風に心音がなる。

あの男に会う?



「ディア、どうしたいのか言ってみて?」

「ーーーっっ、会い、たく、ない。」



血の気が引く。

涙を滲ませて首を横に降る私の身体の震えが止まらなくなる。

怖い。



「分かりました、大丈夫ですから。」



相馬凪の存在に怯えて身体を震わす私の事を宥めるように、ディオンに撫でられる頬。



「ディアが会いたくないと言うなら、私達で対応策を考えます。」

「・・本当?」

「可愛い妻のおねだりですからね。」



上機嫌にディオンが笑う。



「どんな力を使っても、そのおねだりを叶えてみせますよ。」

「僕も、愛おしいディアの為に闇の精霊王様の加護を利用しても構いませんし。」



2人の瞳が残忍に光る。



「あの者は、私の愛しきディアの敵ですから。」

「ディアの心の中を占める害悪となっている存在は、早急に排除が必要ですよね?」

「っっ、」



2人が醸し出す怖い雰囲気に、私の体が粟立つ。

・・なんか、怒ってる?



「あぁ、そんなに怖がらないでください、ディア。」

「何も考えず、自分の心を癒す事をディアは優先してください。」



怯える私ににっこりと2人が微笑んだ。

聞くなって事かな?

とても気になるが、2人が私の害意になる様な事をする訳がないから、放っておく。



「大好きですよ、ディア。」

「大丈夫、ディアは私達に全てを任せてくだされば良いんです。」



蕩けるような2人の表情に私は力を抜いた。



「コクヨウ、ディオン。」

「はい?」

「何です?」

「お腹が空いた。」



空腹を私のお腹が訴えてくる。

安心したからかな?



「ふふ、それは良かったです。」

「直ぐにご飯にしましょうね?」



2人は破顔した。



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