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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第10章〜海竜編〜
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海竜と友になる

アディライトへ平伏す、街の人達。

満足である。



「ディア様、そろそろ宿に戻り、身体を温めねばなりませんね。雨に濡れてお身体が冷えておりますし、早急に温めなければ風邪を引いてしまいます。」



しかし、アディライトは無視。

自分へ土下座で謝罪する住民達の事など、全くアディライトは眼中にもない模様。



「さぁ、ディア様、宿へ戻りましょう?」



アディライトに促される。

自分へ土下座する街の人達の存在など無いと言わんばかりに私の心配ばかり。

視線さえ向ける事もない。



「うん、そうだね、宿に戻りましょうか?」



私も同じ。

アディライトの事を『厄災の魔女』と貶める街の人達への復讐する目的を達成させたので、興味が無くなった。



「アディライトや皆んなも雨に濡れてしまったし、宿に戻って一緒に温まりましょうか。」



アディライトの提案を受け入れ、私達は宿の方へと歩き出す。

土下座したままの住人達を置き去りにして。

しばらく、そうしていれば良い。

私の大切なアディライトに向けた武器や暴言は、簡単に許せるものではないから。



「今回の事はありがとうございました、海竜様。協力していただき、感謝いたします。」



雨に打たれて冷えた身体をお風呂で温めた私達は、海竜へと向き合う。

竜の姿のまま小さくなった海竜と共に泊まっている宿へ戻って来た私は改めてお礼を伝える事にしたのだ。

大変助かったからね。



「我にお礼など不要だ。そなたは我を魔族の魔の手から救ってくれた恩人なのだからな。」



私の前でふよふよ浮く海竜は気にするなと首を横に降る。

なんてプリティーなんでしょう。

あまりのミニマム海竜の可愛さに私の顔が綻ぶ。




「まさか、魔族に呪いを施されるなど不覚を取った。今思い出しても、怒りしかないわ。」



ご立腹なご様子。

魔族に利用され、この街や他の国を巻き込んだ計画に使われそうになっのだから、無理もない。

怒るのも当然だ。



「ああも簡単に魔族に呪具の魔道具を嵌められるとは、我も今回は油断した。」



海竜の声に魔族への怒気がこもる。

屈辱だよね?

この世界の安定を見守ってきた海竜が、魔族に呪具を嵌められてさ。



「心中、お察ししますよ。」

「うむ、今回のそなたの茶番に付き合ったのは、そのお礼だ。ゆえに、我に礼は不要だ。」

「はい、分かりました。」



私は頷く。

今回の事は、お互いの利害が一致したからできた事。

呪具に精神を侵された海竜の事をリリスから聞かなければ、この計画は違うものになっていただろう。



「しかし、そなたは良くもあんな昔の出来事を繰り返そうと思ったな?」

「ふふ、必要な事だったのです。海竜様を信仰するこの街で、アディライトの忌み名を払拭する大きな出来事が。」



海竜に乙女として選ばれる事。

これほどまでに、インパクトのある茶番劇はあるだろうか?



「策士だな、そなた。」

「あら、お褒めにあずかり光栄ですわ、海竜様。」



呆れる海竜に私は微笑んだ。



「で、海竜様、あの魔族の女は、どうなさいますか?」



コクヨウとディオン、フィリアとフィリオの4人にお願いして、海竜へ呪具を嵌めた女の魔族の事は無力化して捕らえてある。

命までは、まだ奪っていない。



「うん?あの女魔族の身柄を我にくれるのか?」

「はい、私はお渡ししてもかまいませんよ?海竜様があの魔族を欲しいとおっしゃるのであれば、どうぞ、お好きにしてくださいな。」



あの魔族の女性は私の敵じゃないし?

何の感情もない。

冷たいだろうが、私の大切な子達に手を出していないので、あの魔族の女性の事は海竜が好きにしてって感じ。

無関心と言えば良いだろうか?



「ほう、そなたからのその好意をありがたく受け取ろう。」



上機嫌で海竜が笑う。



「ふむ、またそなたには借りができてしまうな。」

「お気になさらず。」

「いや、それでは我の気がすまぬ。」



あら、律儀。

本当に気にしなくても良いのに。



「では、卑小な人間である私の友となり、困った時には助けてくださいませんか?」

「そんな事で良いのか?」

「はい、海竜様が私の友となり力を貸してくだされば大変助かりますもの。」



海竜の威光は絶大だ。

その名の威光は、この先の私達の力となるだろう。



「良かろう、そなたと友となり、一大事の時は力になろう?其方達への礼として、何か有れば我を呼ぶか良い。力になるぞ。」

「まあ、それは本当ですか?海竜様、ありがとうございます。」



強力な見方をゲット。

こうして、私達は遊戯を結ぶ事に。



「ふむ、そなたからは不思議な臭いがするな。」

「・・・?不思議な、臭い、ですか?」



自分の身体の臭いを嗅ぐ。

臭いのかしら?



「いや、体臭の事ではなく、もっと別のーーー」



海竜が言いかけた瞬間。



「それ、私達の加護と神気によるものよ。」

「本当、鼻が利くわね、海竜。」



唐突に私達の側に2つの強い神気が降り立つ。



「ーーーっっ、なっ、闇の精霊王様と、光の精霊王様!?」



海竜が目を見開く。



「あら、海竜、小さい姿で可愛いわね?」

「海竜、しばらくそのまま小さい姿でいたらどう?」



2人の精霊王がクスクスと笑う。



「な、なぜ、闇と光の精霊王様であるお2人がここに!?」

「ふふ、それはね?」

「ディアちゃんが私達の愛おし子だからよ。」

「なっ!?」



絶句して言葉を失う海竜。

固まる海竜の姿に楽しげに笑う精霊王達の事を、私は微笑ましい気持ちで見つめた。




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