イメージ
私がスキルで作った刀に大興奮する、ルミアとルルキの2人。
「どう?私が育った場所では、この刀って結構有名な武器だったんだけど。」
主に、歴史的な意味で。
今でも、あちらの世界で刀を骨董品として愛でる為に収集している人はいるんじゃないかな?
「素晴らしいです、ディア様!!なんて、綺麗な剣なんでしょうか!ディア様、ぜひ、私に刀を作らせて下さい!!」
「なら、大会に出す武器は刀で決まりね?」
「はい、刀で勝負します!」
ルミアが息巻く。
こうして、大会へ出す武器の候補は決まった。
大会の当日まで、残りあとわずか。
あまり時間に余裕はない。
「ーーーディア様、いかがでしょう?」
が、私の中に焦りはなかった。
ルミアから差し出され刀は、確実に良い出来へとなっているのだから。
必ず、ルミアは最高の物を作り上げるだろう。
「んー、」
差し出された刀を見て唸る。
「・・これも、ディア様のお気に召しませんか?」
「気に入らなくはないけど、ルミア、この柄の模様を、もう少し華やかにしたいわ。」
「柄、ですか。」
「あと、刀を収める鞘も凝りたいわね。」
「むむ、」
途端に渋くなる、ルミアの顔。
「ディア様は、鞘にも拘るのですね?」
「もちろんよ。鞘だって、武器の一部であり、大切なものよ?」
鞘だって、武器の一部だ。
侮ってはいけない。
「良い、ルミア?上手く使えば、鞘は攻撃を防ぐのにも使えるし、打撃をも与えられるのよ?」
「おお、なるほど!!」
ルミアの瞳が輝く。
「まさか、鞘にその様な使い道があったなんて!!」
鞘へ熱い視線を、ルミアが注ぐ。
「ルミア、刀と鞘は一対なの。1つで2つの武器である事を忘れない様に。」
「はい、ディア様。」
大事そうに、鞘に収めた刀をルミアは抱き締めた。
さらに数日。
「っっ、ディア様、出来ました!!」
私の元へ駆けてくるルミア。
その腕には、大事そうに一振りの刀を抱き締めている。
「ルミア、出来たの?」
「はい、ご覧下さい。」
頬を蒸気させ、ルミアは私へと刀を差し出す。
私は刀へと視線を向ける。
「まぁ、」
思わず、感嘆の吐息を落とす。
ルミアが作り上げた刀は、今までで一番美しかった。
「柄は、これ、雪の結晶?」
「そうです、ディア様をイメージしました。」
「私を?」
私は雪の結晶のイメージなのだろうか?
首を捻る。
「私の中のディア様は、凛として、カッコ良くて、でも、花の様に手折ることの出来ない神聖な方。」
「それで、私は雪の結晶だと?」
「ふふ、雪って、掴むことは出来ないじゃないですか?手に掴んだ時には、もうただの水です。」
だから、至高の私の相応しいのだと。
ルミアは嬉しそうに微笑む。
「悔しいのは、使える色合いが少ない事ですね。」
溜め息を吐き出すルミア。
「ディア様に相応しく、もう少し水色か、銀色系が使えれば良かったのですが。」
がっくりと、ルミアが肩を落とす。
「もう少しだけ製作時間がないのが、本当に悔やまれます。」
「ふふ、色々な鉱石で試していけば良いわ。」
使える鉱石は大量にある。
「今度は、ミスリルを多く使ってみるもはどう?あれ、銀色に近い色をしているでしょう?」
「うーん、柄にも、ミスリルを、ですか。」
ルミアが思案し出す。
「贅沢、ですが、良い案かもしれません。」
「ミスリルはたくさんあるから、遠慮する事はないわ。どんどん使って、良い物を作ってちょうだい。」
「かしこまりました。」
こくりと、素直にルミアは頷く。
貴重な鉱石を使う事より、刀を最高の形で完成させれれるかの方がルミアにとって大事なのだろう。
「次は、剣の方ね。」
ゆっくりと鞘から刀身を抜き出す。
現れる刀身。
「うん、とっても綺麗ね。」
申し分ない出来栄えだ。
となると、刀の次は切れ味である。
試し切りを行う為に、迷宮へ転移する私達。
「す、凄い。」
さっそく行った試し切りは、思っていた以上のものだった。
上位のモンスターも、一撃である。
「さすが、オリハルコンを使っただけの事はあるわ。」
刃こぼれ1つない。
「オリハルコンをディア様が出された時は、驚きましたけどね。」
ルミアが苦笑する。
「あら、使えるものは、出し惜しみなんかしないわよ。」
「さうよう、ですか。」
「ルミアも、またオリハルコンを使うなら言ってね?いつでも融通するわ。」
「ありがとうございます。」
嬉しそうに、ルミアは大きく頷いた。
「さて、試し切りも文句なく終わったし、時間の許し限り、もう少しだけ改良していきましょうか?」
刀に魔法を付与させるのも楽しそう。
ルミアには、もう少しだけ頑張ってもらいましょうか。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
よろしければブクマ、良いねボタン、感想、そして誤字報告お願いします




