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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第9章〜大会編〜
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ゲスナンが誘惑されていた頃。



「・・そう、愚かにも声に耳を傾けたの。」



リリスからの報告で、私はゲスナンが甘い誘惑に落ちた事を知った。



「ディア様、どうされますか?」

「何もしなくて良いわ。ルミアには悪いけど、この事も断罪の理由になるもの。」



ルミアは自分の手でゲスナンの事を叩きのめしたいだろうが、断罪の切り札は多い方が良いのだから。

ゲスナンの引き続きの動向の監視をリリスの配下に任せ、次の日から迷宮内でのルミアとルルキのレベル上げに数日を費やす。

彼女達の頑張りとリリス達のスパルタな指導で、私の予想を遥かに上回るレベルとなってくれた。



「予想外だわ。」



2人の頑張りに驚嘆するしかない。

これほどのレベルになるのは、どれほどの過酷さだったなの。



「お褒めにあずかり、恐縮です。」

「頑張りました、ディア様!」



誇らしげなルミアと、得意げな表情のルルキ。

その顔は、自信に満ち溢れている。



「ふふ、これなら、作る武器も最高の物が出来そうね?」



出来上がる武器の良し悪しは、作り手の精神面に大きく影響すると言う。

かく言う私も、しっかりとした作る武器のイメージがないと、良いものは出来ないだろう。



「必ず、ディア様のご期待に答えます。」

「あら、頼もしい言葉ね、ルミア。なら、さっそく大会へ出す武器の構想を練りましょうか?」

「はい、ディア様。」



ルミアが頷く。

今回の大会は、ルミア主導で行う。

私とルルキは、ルミアの手助けとしてのアシストにだけ徹する。



「まず、ルミアに聞きたいんだけど、大会で披露する作品は武器と防具、どちらの方を作りたい?」

「そう、ですね、武器、でしょうか?」

「それはなぜ?」

「・・倒したい相手がいるから、だと思います。」



伏せられる、ルミアの瞳。



「鍛治師として、こんなの不純かもしてませんが。」



その顔が、少しだけほろ苦いものへと変わる。



「ルミア、恥じる事はないわ。」

「え?」

「ゲスナンは、復讐相手であり、良い意味で貴方のライバル。そのライバルを倒したい、上に立ちたいと思う事は、決して悪いものではないもの。」



向上心は人を育てる。

良い暮らしがしたい、贅沢したいと夢見る事は誰にだってあるだろう。

それを、ただ夢で終わらせるか、叶える為に努力出来るかが、その人の人生を大きく変える。



「ルミア、もっと貪欲になりなさい。」

「っっ、ディア様。」

「それこそ、私の側に侍るものに相応しい。」



私は貪欲だ。

今よりも、もっと幸せになりたいと思っているのだから。



「何も恥じる事なく、ルミア、貴方の全力でゲスナンを倒しなさい。」

「はい、かしこまりました、ディア様。」



深く、ルミアがこうべを垂れた。



「頭を上げなさい、ルミア。貴方の中にある構想の続きを聞かせて?」

「まず、私が作ろうと考えているのは、剣です。」

「ふむ、剣、ね。」



この世界でも、オードソックスな武器だ。



「ひとえに剣と言っても、たくさんあるわ。どんな剣をルミアは考えているのかしら?」



短剣、長剣。

その他にも、用途によって様々な剣がある。



「実は、それを悩んでいるのです。今までの大会でも、たくさんの剣が出たので、少し趣向を凝らしたいですが、その案が思い浮かばず。」



困った様に眉根を寄せるルミア。



「ロングソードで、持ち手に趣向を凝らすのが無難でしょうか?」

「無難のものではダメよ。」



ルミアの案を首を振り、きっぱりと否定する。

今回の大会の目標は優勝なのだ。

生半可の作品では、大会へ出す事は許可できない。



「ゲスナンを徹底的に叩きのめすなら、誰の目にも明らかで圧倒的な物を作り出しなさい、ルミア。」



やるなら、徹底的に。

そこに、一切の妥協は許されない。



「はい、ディア様のお言葉、肝に銘じます。」



恭しく、ルミアが頷く。



「ルミア、一般的な剣と呼ばれる武器について教えてくれる?」

「・・?はい、分かりました。」



不思議そうな顔をしながらも、色々な種類の剣と呼ばれる武器について、ルミアは詳しく教えてくれる。



「ーーーです。」



この世界で、一通りの剣と呼ばれる武器について語り終えたルミア。

その中に、あの武器がなかった。



「・・ねぇ、ルミア、貴方、刀って知ってる?」



首を傾げるルミアを見上げる。



「刀、ですか?」

「そう、知ってる?」

「いえ、言葉的に、剣に類似するようですが、私は知りません。」

「へぇ、」



知らないと言うルミアの言葉に、私は確信した。

この大会で新しい武器の誕生を。



「では、ルミア、刀を作ってみない?」

「刀を、ですか?」



困惑を滲ませるルミア。

これは、一度でも刀を見せた方が良いだろうか?

と言う事で、さっそくルミアに見せる刀を私のスキルで作ってしまおう。

スキルを発動させ、刀を作成する。



「っっ、これが、刀。」



うっとりと、ルミアが頬を染める。

そんなルミアの横で、ルルキの瞳が輝いているのも、2人の中に流れるドワーフとしての血のせいなのかもしてない。



今年最後の更新です。

来年もよろしくお願いします。

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