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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第8章〜外交編〜
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閑話:ミンティシア⑨

ミンティシア side




その襲撃は、余りにも突然だった。

が、私の国の兵達が動く前に、側に控えてくださっていた精霊王様のお力で、無力化されていた襲撃。

突然に襲われ、終わったてしまった襲撃者達への対応。



「「「なっ!!?」」」



唖然。

そして、困惑。

あまりの不思議な出来事に、兵達がお互いの目を見合う。



「ーーー落ち着きなさい、我が国の兵達。」



私は馬車から降り立つ。



「どうやら私達には、神の加護があるのでしょう。何も動揺する必要は有りません。」



精霊王様が私の護衛なのは、誰にも秘密。

悟られてはいけない。

ゆっくりと落ち着きを取り戻す、兵達。

その場に膝をつき、兵達がニュクス神様へと感謝の言葉を紡ぐ。



「ーーーっっ、」



倒れ伏す襲撃者達の姿に、私は顔を顰める。

馬車への襲撃を想定していたけれど、こうして実際にあってみると、衝撃は大きい。



「その者達を捕らえ、残党の確認を!」

「はっ、」



兵の隊長が出す指示に慌ただしくなる、この場。

襲撃者の捕縛。

そして、残党の有無の確認。

兵達がする事は多い。



「姫様、馬車へお戻りを!!」



侍女に促され、私は馬車の中へ押し込まれる。

・・何も心配いらないのに。

とは言え、精霊王様達の存在を知らない侍女にとって、外は危険な場所なのだろう。

溜息を吐き出し、私は馬車の中で1人大人しく腰を下ろした。



「・・・それにしても、」



この馬車を狙った襲撃者達は、ただの山賊なのか。

それともーーー



「・・・他国からの妨害なのか。」



身を引き締める。

この外交は、何があっても成功させるのだと。



「王女、外へ出ては危ないわよ?」

「そうよ、あまり無茶はしない方が身の為よ?」



決意を新たにする私の横に、2人の精霊王様が降り立つ。

私はお2人に微笑む。



「私の事は大丈夫です。お助けいただき、ありがとうございます、精霊王様方。」

「貴方の為じゃないわ。」

「ディアちゃんのお願いだもの、お礼の言葉はいらないわよ。」



素っ気ないお2人に、浮かぶ苦笑い。



「それにしても、あれだけの戦力で、私達を止められると思ったのかしら?」

「ふふ、舐めれたものね。」



襲撃者に対して冷たく微笑む、精霊王のお2人。

身が竦む。



「王女、先へ進みなさい。」

「もう襲撃者達は近くにいないから、安全よ。」

「はい、精霊王様。」



精霊王様達が仰るのなら、もう他の襲撃者はいないのだろう。

安心して馬車を進められる。

精霊王様のお言葉に従い、私は馬車を進めさせる。

そして、6日後。



「ようこそティターニア国へ、ミンティシア王女殿下。ティターニア国を治めます、ユリーファと申します。」



精霊王様のご尽力で襲撃者を呆気なく撃退した私達一行を出迎えてくださったユリーファ女王陛下。

この邂逅の日から人間である私の生涯が終わるその時まで、ユリーファ女王陛下と長く親交を深める事となる。

外交夫人。

私がそう呼ばれる様になるのは、少し未来の話。



「ーーーっっ、アレンお兄様。」



初めての外交を無事に終えた私や家族に深い悲しみが訪れる。

ルーベルン国第三王子、アレン死亡。

突然のアレンお兄様の死に、私達一家は悲しみに暮れた。



「どうして?あんなに健康だったのにっっ、」



病死だった、アレンお兄様。

そんな兆候さえなったのに、アレンお兄様は突然亡くなってしまった。

認めたくない現実に、私は涙を流す事しかできない。



「泣くな、ミンティシア。」



葬儀の日、アレンお兄様の眠る棺の前で泣く私に、隣に立ったお父様はおっしゃった。

泣き腫らした目で、私はお父様の事を見上げる。

どうして、そんな事をおっしゃるの?

悲しむなと言うのか。



「アレンは、幸せになる為に死んだのだ。だから、その様に泣く必要はない。」

「・・・え?」



幸せになる為に死んだ・・?

お父様がおっしゃる言葉の意味が分からず、私は困惑の表情を浮かべる。



「いつか、お前にも分かる日が来る。」

「お父様・・?」



優しく微笑んだお父様に、私は首を傾げた。

この時のお父様は、気付いていらっしゃったのですね?

アレンお兄様の、死の真相について。



『レオンハルトと申します。』

『ティアラローズでございます、陛下。』



『魔の森』を治める『寵愛の女王』と呼ばれる方の名代で、お父様に今は亡きアレンお兄様に似た幼いレオンハルト王子と、ティアラローズ王女が我が国へ訪れるのは、まだ数十年先の事である。

私が真実を悟るのは、その日。



『アレンは、幸せになる為に死んだのだ。だから、その様に泣く必要はない。』



お父様の言葉の意味を知る。



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