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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第8章〜外交編〜
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閑話:ミンティシア⑦

ミンティシアside




私達は知らぬ内に精霊王様の逆鱗に触れていた。

その怒りが、この国の民にとって悪い方へ向かわなければ良い。

私は死を覚悟し、そう願う。

この首を差し出してでも、目の前の精霊王様へ慈悲を請わねばと。



「サーラ、アーラ、王様からは正式な謝罪をもらってるから、もう許してあげて?」

「・・ディアちゃんが、そう言うなら。」

「・・仕方ないわね。」



王家滅亡を回避してくれたのは、ソウル様。

しぶしぶ、精霊王様のお2人は怒りを鎮めて下さる。

私達は安堵の息を吐く。



「ーーあの、王様、一体、先ほどから様子が変ですが、いかがなさいましたか?」



その時、ずっと黙って側に控えていた古参の侍女が訝しげに声を上げた。



「言っておくけど、それに、私達の姿は見えていないわ。」

「もちろん、私達の声も聞こえてないわよ?」



精霊王様達の目線に先には古参の侍女が。

どうやら、ご自分達の姿や声、話の一部の内容なども聞こえなくしているようだ。



「余計な者に私達の姿を見られ、ディアちゃんの迷惑にはなりたくないもの。」

「この意味、お前は分かるわよね?」



笑顔の威圧。

とてつもない、攻撃力である。

精霊王であるお2人の笑顔と言う名の威圧感に屈服したお父様は、側に控える侍女達をその場から遠ざけてしまう。

賢明な判断である。

これ以上、精霊王達のお怒りを買う訳にはいかない。



「王よ、忠告しておくわ。」

「婚姻でディアちゃんを王家に取り入れようと欲を出そうとしない事ね。」



お2人からの忠告を肝に命じて。

ここまで、精霊王様たるお2人に溺愛されるソウル様。

末恐ろしいと言わざる得ない。



「私達は、ディアちゃんの幸せを何よりも望んでいるの。」

「もし、この国がディアちゃんの幸せを奪うつもりなら容赦はしない。」

「っっ、肝に命じます。」



お2人の精霊王達の忠告にお父様は了承を示した。

そんなお父様をみっともないと思わない。

一国の王として英断である。



「なぜ、ディアレンシア嬢を思う気持ちが許されないのでしょうか?」



が、私のすぐ上の兄。

この国の第三王子、アレンお兄様がお父様を固まらせる事になる。



「ディアレンシア嬢、私は貴方が好きです。」



突然の告白で。

・・・アレンお兄様が、ソウル様を好き?



「あ、アレンっっ、!?」



焦るお父様の声がするが、私の視線はアレンお兄様に向けられる。

人はこれを、ガン見と言う。



「ーーまぁ、」



頬を染め、私は口元を扇で覆った。

アレンお兄様が、ソウル様に恋されていたなんて!

瞳を潤ませる。

女子は、恋物語が一生好きなのです。



「っっ、」



私の横で倒れそうになっているお母様にも気付かず、固唾を飲んでアレンお兄様の恋を見守る。

ソウル様は、アレンお兄様になんと答えるの?



「わ、私も!」

「私だって!」



張り合うように、声を上げる他のお兄様達。

・・・お兄様方も、ですって!??

胸のトキメキが止まらない。



「王子殿下方、申し訳ございませんが、そのお話はお断りさせて下さいませ。」



儚く散る、お兄様方の恋心。

きっぱりと、ソウル様はお兄様方に断りを告げた。



「ーーでは、私の為に大切なご自分の家族を、今この場で切り捨てて下さいな。」



冷たく、突き放すかのように。



「え?」

「出来ますでしょう?私の為に、夫となる為に条件を満たす努力をして下さるのですから。」



困惑するアランお兄様に、ソウル様はゆるりと口角を上げる。

出来るなら、やってみろと。



「私の夫になる条件は、ご自分の全てを捨てられる方だけですの。」



半端な愛は必要ない。

ご自分に最も必要なのは、最愛なのだと。



「アレン王子、私の為にご自分の大事な国を、家族を、今お持ちの全てを捨てれますか?」

「それ、は、」

「ーーふふ、出来ませんでしょう?」



だから、断りだと笑う。

お前では、ご自分の夫には相応しくないのだと。

ソウル様から感じるのは、狂気。

愛への強い渇望。



「いつか、アレン王子殿下は、私より家族を、この国を選ぶ時が来るでしょう。」



歌うように、ソウル様が言葉を紡ぐ。



「この国の為に、他国から、自国から高貴なご令嬢を第2、第3の妻として娶る必要が出てくるかもしれません。」



その血を少しでも多く残すこと。

何よりも、それは私達王族の大きな義務。

務めでもある。

お兄様達も、それが王族としての役目と分かっているはずなのだ。



『ディアレンシア嬢、私は貴方が好きです。』



それでも、お兄様達は恋焦がれた。



『わ、私も!』

『私だって!』



ソウル様と言う、美しく狂気を身に隠した華の事を。

ダメだと、いけないと分かっていても、お兄様達はソウル様の事を恋い焦がれてしまったのです。




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