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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第8章〜外交編〜
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閑話:ミンティシア⑥

ミンティシア side





お姉様達の暴挙を止められなかった私。

同じ王女として、お姉様達の暴挙をを止められたはずなのに、何もできなかった私。

こんな自分ではだめだ。

この国の王女として、私も変わらなければいけない。



「ふむ、それはそうだが、しかし、そなたは交渉事にはまだ不慣れだろう?」



テーブルの下で私は拳を握る。

しかし、俯かない。

お父様の瞳を、しっかりと見返す。



「それでも、私に使者をお命じください。」

「だが、そなたの身に万が一の事があれば、いかがする?」

「っっ、そ、れは、」

「婚約が整ったばかりの第二王女を、外交の為とは言え危険に晒す訳にはいかぬ。」



言葉を失う。

数ヶ月後に私は、お父様が決められた方と婚約する。

完全なる、政略結婚。

もしもこれから他国との婚約の話が持ち上がれば簡単に破棄される、危うい私の嫁ぎ先。



「ーーでは、ミンティシア様の護衛を私から推薦させて下さいませ。」



萎みかけた、私の意思。

が、ソウル様の言葉に浮上する事になる。



「ミンティシア様を必ず守れる優秀な護衛がおりますの。その者達をミンティシア様の護衛に推薦させてください。」



誇らしげに微笑むソウル様。

優秀な護衛?

そんなソウル様に、私は首を傾げざるおえない。

ソウル様のお側にいる方達の事だろうか?

お父様も優秀な護衛の事が気になるのか、ソウル様の提案に興味を示す。



「その護衛に推薦したい者とは、一体、誰だ?」

「はい、王様。精霊王たる方達の護衛では、いかがでしょうか?」



私の予想の斜め上の、ソウル様の回答。



「「「「は?」」」」



変な声が、私達の口から零れ落ちた。

・・精霊王様?

全くもって、理解が追いつかない。



「い、今、そなた、精霊王、と、言ったか?」



一番最初に立ち直ったのは、お父様。

さすが、お父様である。



「実際に王様も彼女達とお会いして話してみて下さいな。」



言って、虚空に目を向けるソウル様。

・・え、もしや、この場に精霊王様が来られる、の?

愕然とするのは一瞬。



「サーラ、アーラ、ここへ来れる?」



虚空に向かって知らぬ名を呼んだソウル様の側に、2人の妖艶な美女が降り立った。



「私達を呼んだかしら、ディアちゃん?」

「ふふ、私達に用?」



親しげに、ソウル様に微笑む妖艶な美女。

目の前の妖艶な美女のお2人が、精霊王様である事は疑う余地もない。

それほどまでの、圧倒的な存在感。



「急に呼び出してごめんね、2人とも。でも、来てくれてありがとう。」

「まぁ、良いのよ?」

「私達の誰かを呼ぶかもしれないと、前もって知らせてくれていたのだから、気にしないで?」



ニュクス様に続いて、この国で敬われるのが、精霊王様。

その方々が、今、目の前にいらっしゃる。

私達の想像を超えた現実に、倒れてしまうかと思った。



「っっ、精霊王、様。」

「ディアちゃん、今度、一緒に出掛けましょうよ。」

「それは良いわね!どうせなら、ピクニックが良いわ。」



震える声を出すお父様に構う事なく、ソウル様に向かって楽しげに話し続ける精霊王様達。

思い知る。

ーーー一国の王だろうと、彼女達の前では取るに足らない小さな存在なのだと。



「ーーサーラ?アーラ?」

「「・・・。」」



おっとりと、ソウル様がお2人の名前を呼ぶ。

途端に口を噤むお2人。

その事に、私は驚きを禁じ得ない。

精霊王様達は、リグラルドセル大陸をお創りになられた女神であるニュクス神様の次に尊い存在なのだ。

その精霊王様が、ソウル様のお言葉に従っている?



「王様の為に、ミンティシア様の護衛を引き受けてくれないかな?」

「「・・・。」」



そんな尊い存在であるお2人が、ソウル様にお言葉をお聞きになり、初めてお父様に目を向けた。

これが驚かずにいられようか。

・・・ソウル様、一体、今日は後どれだけ私達を驚かせるおつもりなのですか?



「お前が、この国の王?」

「は、はい、左様です、精霊王様。」



青い髪の精霊王様、ウンディーネの問いに、お父様が声を震わせて頷いた。



「まずは、ディアちゃんに誠心誠意の謝罪は?」

「くだらないお前達の国の事情にディアちゃんを巻き込んだ件について、心からの謝罪は必要ではなくて?」

「お前のディアちゃんへの謝罪は本当の気持ちなの?打算目的の謝罪ではなく?」

「違うと言うなら、ディアちゃんに対して、ちゃんと態度で示しなさいな。私達に嘘は通じないわよ?」



お2人の瞳に宿る怒気。



「こちらに来なかった、火と土の精霊王2人もずいぶんと怒っていたわよ?」

「えぇ、お前がディアちゃんを利用しよとした事を、ね?」



ほとばしる威圧感に、私達は死を覚悟した。



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